Boxing
2013年2月27日(水)川崎市とどろきアリーナ
ホープフルファイトvol.13
OPBF東洋太平洋バンタム級タイトルマッチ 8回戦
王者 東郷理代 とうごうりよ(アルファ)
VS
挑戦者 三好喜美佳 みよしきみか(川崎新田)
OPBF東洋太平洋バンタム級チャンピオン東郷理代選手のタイトル初防衛戦が2月27日におこなわれました。東郷選手は日本ボクシング界きっての女子強打者。その豪打は間違いなく世界クラスと言えます。
そのことを一番良く知っているのは本日の挑戦者の三好喜美佳選手自身でしょう。なにしろ三好選手はデビュー2戦めにこのハードパンチャーとの試合を組まれ、初回に右ストレートで仰向けに倒されKO負けという地獄を味わっているのです。
しかし、その後、大成長した三好選手は一年後の再戦ではドローにまで漕ぎ着ける善戦。三度めの対戦ではレフリーの不適切なストップでTKO負けとされてしまいましたが、今回ついに雪辱のチャンスがタイトルマッチという舞台で実現となりました。
川崎新田ジムのホームとどろきアリーナには同じ川崎のプロスポーツとして協力関係にある川崎フロンターレのサポーター軍団もかけつけ、会場は川崎カラーに染まります。そんな中、フロンターレユニフォームで登場した挑戦者。背番号は344(ミヨシ)。
第1ラウンド 基本に忠実にさかんにジャブを出しながら前に出る三好選手。王者東郷選手もキレのある左で挑戦者を牽制。
さらにアッパーを多用する厳しい攻撃。短期決戦のゲームプランなのでしょうか、最初からかなりのパワーと手数です。開始早々挑戦者には試練の雲行き。
しかし、残り30秒を切ったころ、わずかのスキを見逃さずに放った三好選手の右が王者を直撃。東郷選手をロープまで追い込んで逆襲。わあっと沸く場内。
ペースを持ち直したところでラウンド終了。全体的に王者の回でしたが、コーナーに帰る挑戦者は両手を高く突き上げて会場にアピール。
第2ラウンド 勢いよく飛び出した挑戦者はチャンピオンにほとんどゼロ距離まで体を近付けてボディーを打ちます。
少しでも距離があくとチャンピオンの正確なパンチがヒット。依然として手数が多い両者。ハイペースな試合となりそうです。
後半になるとウィービングとダッキングでやり過ごしてから打ち返す三好選手のパンチがタイミングが合って来ました。
第3ラウンド 足とボディーワークを使って徹底的に動き回る挑戦者。
王者東郷選手はパワーパンチの機をうかがっているのか、上体はあまり動かさないため三好選手のパンチがたびたびヒット。
東郷選手の重いパンチは脅威ですが、打たれると早めのクリンチでダメージを蓄積させない三好選手。
第4ラウンド パワーでは及ばないものの手数と積極性で良く対抗しているチャレンジャー。
常に動いているためか、ヒットがあってもダメージはそれほど深くはないようで、まったく止まらずにすぐに反撃に出ます。
ここまでのオープンスコアは、ジャッジ1者が王者東郷選手の2ポイントリード、残りの2者が三好選手の2ポイントリード。1-2と評価が分かれる接戦。
第5ラウンド 細かいジャブを打ちながら良く動く三好選手。中間距離では同じ位置に頭を置かず、接近戦では相手の顔の隣りに自分の顔を置くほど近付いてボディー攻撃。中間距離を好む強打者対策としては実に効果的なボクシングです。
問題はこの動きのクオリティーをどこまで保てるか。一撃で試合を決められる武器を持つ相手には一瞬のスキも見せられません。
王者東郷選手は強打者にありがちなラフな攻めはせず、しっかりとコンパクトに打ってどのラウンドでもヒットをマーク。ペースを握っているのは三好選手ですが、勝利の決め手はパンチの内容。それをジャッジがどう評価するか。これは採点の難しい試合になっているでしょう。
第6ラウンド いままでガンガン突っ込んでいた三好選手が少し手を休めてバックステップで距離を取ります。リードを奪っている余裕?後半に向けての体力温存でしょうか?
と思いきや、後半には再び意を決したように接近戦に出る三好選手。一時の静寂は試合を組み立てるためのチェンジ・オブ・ペースか?
第7ラウンド まるで第2ラウンドに戻ったかのように、東郷選手にぴったりくっついて接近戦に持ち込む三好選手。
とは言っても下位戦線の最終ラウンドによくあるような棒立ちの殴り合いではなく、両者とも打撃にも防御にもフォームが崩れないのは、さすがはタイトルマッチ。
ヒット数でチャレンジャーが押し切ったかに見えましたが、判定は…
1~2ポイントのきわどいスプリットでの判定勝利は三好喜美佳選手。
大激戦の結末は三好喜美佳選手がKO負けから実に5年めのリベンジ成功、さらにチャンピオンベルトを奪取するという劇的な結末となりました。
三好、東郷両選手の激戦に大きな拍手をおくります。素晴らしい試合でした。
OPBF東洋太平洋バンタム級タイトルマッチ 8回戦
×王者 東郷理代 とうごうりよ(アルファ)
判定 1-2
○挑戦者 三好喜美佳 みよしきみか(川崎新田)
スプリットデシジョンで三好喜美佳選手が勝利。新チャンピオンとなりました。
(77-75、75-77、76-77)
本日の対戦の結果、両選手の戦績は以下のようになります。
東郷理代 とうごうりよ(アルファ)14戦9勝4敗1分8KO
三好喜美佳 みよしきみか(川崎新田)14戦8勝5敗1分3KO
関連記事 OPBF東洋太平洋バンタム級タイトルマッチ 川西友子 vs 東郷理代 結果 ボクシング女子
関連記事 三好喜美佳 vs インレック・シットサイトーン バンタム級8回戦 詳細 ボクシング女子
関連記事 技巧派対ハードパンチャー 菊川未紀 vs 東郷理代 6回戦 詳細 ボクシング女子
関連記事 激闘の再現ならず 三好喜美佳 vs 東郷理代 Ⅲ ボクシング女子
関連記事 天空ツバサ vs 三好喜美佳 54.2kg契約 6回戦 詳細 ボクシング女子
コメント
勝敗は別にして、お互いに死力を尽くした激闘に感動しました。今後も両者を応援したいと思います。再戦、再々戦を期待します。できれば世界タイトルマッチで!