観客席視点からの立ち技系女子格闘技
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メディアは何を伝えているか? プレスリリースの受け売りにご注意

 今回のお題はネットや雑誌の記事のベースになっている『プレスリリース』。

 『プレスリリース』とは、大会の主催者さんやジムの関係者さんが発表する「今度こういう大会を開きますよ」とか、「こういう選手が試合をしますよ」というお知らせのことで、各メディアの担当者さんにメールなどで届けられます。記事を書いている立場の人にしたらとってもありがたいものです。

 というのも、パッと見は単純な大会予定の記事でもイチから書き上げるはけっこう大変なんです。わたしたちもこんなブログをやるようになってからプレスリリースを送ってもらう立場になり、ずいぶん助かってます。内容の正確性もそうですし、外国選手の名前の読み方や経歴など、いろいろ調べる手間がはぶけます。写真などを使わせていただける場合もあって、本当に大助かりです。

 しかし、このプレスリリースは、当然のことながら主催者さんの都合のいいことだけが書いてあるわけで、時にはそれをそのまま使えない場合もあります。

にわとり
 たとえば、世界王者じゃない人を世界王者と書いたり、根拠も無く「最強」と書いたり、タイトルも持って無いのに「女王」と書いたり。それをそのまま載せてしまったら、読者の人はそう受け取ってしまいます。これはまずいです。

 まあ、格闘技業界も商売ですから多少の誇張は仕方ないでしょう。ファンタジーも必要かもしれません。しかし、メディアと名乗る立場なら少なくても特定の選手を誹謗するような表現や、一方的な価値の押しつけ、事実を大きくゆがめる記事は載せるべきではないです。

 過去に、日本、韓国、中国で持ち回りでボクシング女子の大会を開く企画がありました。その時の記事がいうには「いまや女子ボクシングはアジアが最強」「そのアジアで対抗戦をやれば勝った選手が世界最強と言える」「だからこの大会は世界最強を決める大会である」ということでしたが・・・、読んで頭が痛くなりました。

 アジアが強いと言われていたのはアマボクシングだけの話で、プロで世界レベルに達していた人なんて当時はほとんどいませんでした。そしてこの大会はプロの大会なのです。アマ出身者はほとんどいません。プロボクシングでアジアが世界最強なんて、聞いたこともありません。

 当時はアメリカにはレイラ・アリ選手やアン・ウルフ選手がいましたし、ドイツには女王レギーナ・ハルミッヒ選手をはじめ多くの実力者がいました。彼女たちに肩を並べられるような存在がアジア圏にひとりでもいたでしょうか?まったくとんでもない記事です。この文章はしかし、おもな格闘技系サイトで掲載されました。主催者さんが身びいきで書いたガセネタのプレスリリースをどこもそのまま載せちゃったんですね(結局、この大会は韓国での第1回大会で不思議な判定が続出したため中止。運営すら世界レベルじゃありませんでした)。

 まあ、こんなことが別に珍しくもないのが格闘技メディア。いったん表に出た大手サイトの記事でも、どこからか抗議でもあったのか記事が書き直されたり、大部分が削除、なんて例もありました。

 メディアの人は取材拒否をされると仕事になりませんから、いろいろ気を使うのでしょう。

 ウチは試合を見るときはチケットを買って入場します。そしてふつうに観客席にいます。というわけで取材拒否もなんにもありません。

 でも、観客だからといってファン心理や感情にまかせて好きなように書くわけではなく、なるべく公平な視点を心がけています。

 「美人」「女子高生」の連呼、過度に煽る文章、人気選手に便乗するような内容にすればアクセスも伸びるでしょうが、そんな必要もありませんので(笑)。

 好きなものを仕事にしなくてよかった、試合は客席からライヴで見るのが一番面白い、と、いつも思うQRです。

コメント

  1. ミステリオ より:

    分かるような気もするけど美人と書いてアクセスが伸びるならそのほうがいいのでは?

  2. queens of the ring より:

    >ミステリオさん
    コメントありがとうございます。
    わたしたちは格闘技大会の勧誘員でありたいと思っているので、格闘技を見ることの楽しさを伝え、格闘技に関する誤解があるならそれをとき、自然に「見に行きたいな」と思ってもらうのを目的にしています。
    そして見てくれた人たちがリピーターになって、選手の活動がやりやすくなればいいなと思っています。
    日本のメディアはいままでに「美人格闘家」と言うことばで何人も売り出しているんですが、成功した例はありません。話題にはなってもチケットは売れないんです。
    残念ながら美人という言葉に釣られて見に来る人はページを閉じればそれまでで、実際にチケットは買いません。雑誌やネットでの話題とチケットの売り上げは実はあんまり関係無いことは何度も証明されているんですよ。
    でも、アクセスを増やすことを目的としているサイトも世の中には多いですから、そういうところはそういうふうに書くのでしょう。

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