Boxing
2013年5月11日(土)アメリカ アルバカーキ
MAYHEM
IBAライトウェルター級タイトルマッチ
王者 ホリー・ホルム(アメリカ)
VS
挑戦者 メアリー・ミギー(アメリカ)
ボクシング2階級2団体王者でパウンド・フォー・パウンド女子世界最強の称号を持つホリー・ホルム選手(アメリカ)が5月の対メアリー・ミギー戦を最後にボクシングを引退することを発表しました。
ホルム選手陣営はかねてからWBA/WBC/WBO統一ウェルター級王者のセシリア・ブレークフス選手(ノルウェー)に対決を迫っていましたが、その実現の前にホルム選手のほうがフランスの巨人アン・ソフィー・マティス選手に失神KOを喫して王座陥落。
昨年ようやく判定勝利でマティス選手にリベンジを果たして威信を取り戻したホルム選手は、今年こそブレークフス選手と試合をすることになっていました。
複数のベルトを持つ王者どうしの宿命のメガファイトとして期待されたこのカードはラスベガスで7月におこなわれる予定で準備が進行し、アメリカでの女子ボクシング人気回復の起爆剤となること間違い無しの前評判でしたが、なんと今さらのキャンセル、しかも、ボクシングからも引退との衝撃の発表…。
ホリー・ホルム選手はプロキャリアの最初期はボクシングとキックの掛け持ちでしたが、その後はボクシングに専念して実績を残し高い評価を得て、最近は総合格闘技にも進出していました。
ホルム選手は「最近はいつもMMAのジムでトレーニングしています。トレーナーに君は新しい山にチャレンジするべきだと言われたとき、胸のなかにスパークするものがありました。わたしはわたしの心に従ってMMAの道に進みたいと思います。ブレークフス選手との試合はありません。」とコメント。
ブレークフス選手は「ものすごく失望しています。本当のチャンピオンはメガファイトから逃げ出したりはしないものです。」とコメント。
ホルム選手がどこかのMMA団体と契約したとかするとかという話はまだ無いようで、今後の予定は不透明。ただ、ホルムVSブレークフスという世紀の対決が無くなったことだけは確かなようです。
かねてからホルム選手陣営にはプロとして有り得ないような判断ミスや、非常識なおこないが何度か見られていましたが、今回のMMA転身はともかく、対ブレークフス戦キャンセルだけは絶対にやってはいけない大失敗だと思います。
この誤判断はアメリカの女子ボクシングに良くない影を落としそうです。
IBA/WBFed.ウェルター級王者 IBA/WBFed.ライトウェルター級王者
ホリー・ホルム(アメリカ)
総合格闘技戦績 3戦3勝3KO
ボクシング戦績 37戦32勝2敗3分9KO
メアリー・ミギー(アメリカ) 22戦20勝1敗1無効試合11KO
関連記事 3団体統一王者セシリア・プレクフスに挑んだかつての『プレイメイトボクサー』ミア・セント・ジョン 世界ウェルター級タイトルマッチ ボクシング女子
関連記事 アン・ソフィー・マティス vs ホリー・ホルム II 動画 ボクシング女子
関連記事 ホリー・ホルム vs アン・ソフィー・マティス ダイジェスト動画 ボクシング女子
コメント
女子MMAはものすごく勢いがありますからね。
詳細はわかりませんが、ホルム選手の心情を察するに転向は仕方ないのかと思います。
管理人さんは『女子ボクシング人気回復の起爆剤となること間違い無しの前評判』と書いていますが、セシリア戦が実現していたとしても、正直人気回復に繋がる可能性はほぼなかった、それをわかっていたからホルム選手は決断したのだと思います。
アメリカ女子ボクシング復興はロンドンオリンピック金メダリストがプロへ転向するタイミングで業界全体でフルバックアップするぐらいしないと難しそう。
>くりりんさん コメントありがとうございます。
わたしたちも前評判通りには行かないだろうと思っていました。ホルム選手はひとりで後楽園ホールふたつ分ぐらいの会場を満員にするスターですが、それは地元だけの話。プロモーターが彼女をよその会場に出さないで地元に縛り付けていたので全米的には知名度はあっても大スターではないでしょう。
また、逆にラスベガスで成功し、全米的なスターになってしまうとホルム選手のプロモーターは彼女をもっと大きなところに取られてしまうことになり、スターはホルム選手しかいない彼らに取っては死活問題ですね。
ホルム選手はご存知のように世界中の強豪ボクサーをほとんど倒してしまい、もうボクシング路線は終わりが見えて来ているのも事実です。ですから、このさいボクシングをやめさせてMMAに切り替えてもらい、地元のプロモーターもその路線に乗り換えようというプランのような気がします。MMAなら相手がいくらでもいるでしょうし。
その時期が5月であろうと7月のブレークフス戦のあとであろうと大した違いは無いと思いますが、せっかく取り戻した最強の称号をブレークフス選手に傷つけられるのを恐れて今回の発表になったのではないでしょうか。
これはプロモーターの意向で、ホルム選手は原稿を読まされているだけの気がします。
ホルム選手はそんなに簡単に約束を破る人には思えませんし、MMAとボクシングの掛け持ちは前から続けているので、来月どうしてもやめる理由がありません。「やろう」と言われたら本当は断らない人だと思うんですけどね。
MMAへの転向は本人の自由でだれも文句を言う筋のものではありませんが、わざわざ「フレークフス選手とは戦いません」と言ったのがファンとして歓迎出来ないし、ボクシング界全体にとって残念なことだと思います。
管理人様、わざわざ返信有難う御座います。
ホルム選手が地元でしか試合を行わないのは聞いたことがありました。プロモーターの意向だったんですね。
正直な所、私もホルム選手のこのタイミングでのMMA完全転向は「フレークフス選手に負けて最強の称号に傷がついてしまう前に」という管理人様の意見が大部分だと思います。
しかし仮にフレークフス選手に勝ったとしても(負けたとしても)、現在勢いのある女子MMAに比べて反響や見返りがあまり見込めなかった事も現実としてあったと思います。その辺りを天秤にかけての転向だったのでは無いでしょうか。
もちろんだからと言って約束を反故にしていいわけではありませんが、ホルム選手(プロモーター?)の気持ちは個人的には十分汲み取れます。
あと話題が少しそれますが、アメリカの女子ボクシング人気復興についての提案です。
メキシコの人気女子選手にカネロ選手やマルケス選手の前座で試合をしてもらうのはどうでしょうか?
そこで好勝負が繰り広げられれば、人気復興の糸口になる気もします。
一度沈んでしまった人気を盛り返すのは難しいと思います、しかし火はまだ完全には消えていません、ホルム選手の転向を一つのきっかけにボクシング業界が女子ボクシング人気復興に着手してくれることを望みます。