Boxing
2016年9月21日(水)東京 後楽園ホール
Dangan Ladies Vol.2
第10試合WBO世界ミニフライ級タイトルマッチ
王者 池原シーサー久美子 いけはらしーさーくみこ(フュチュール)
VS
挑戦者 江畑佳代子 えばたかよこ(ワタナベ)
第9試合 フライ級 6回戦
ペッチパヤ[ペッパヤー]・モークルンテップトンブリ(タイ)
VS
箕輪綾子 みのわあやこ(元ボクシング日本代表/ワタナベ)
第8試合 スーパーバンタム級 6回戦
ペッターピー・モークルンテープトンブリー(タイ)
VS
後藤あゆみ ごとうあゆみ(ワタナベ)
第7試合 51.5kg契約 4回戦
吉田実代 よしだみよ(EBISU K’s BOX)
VS
小関有希 こせきゆうき(K&W)
第6試合 54.0kg 4回戦
若狭与志枝 わかさよしえ(花形)
VS
ドッグマイパー・ギャットポーンペット[ドグマイパー・ギェトポムペット](タイ)
第5試合 47.9kg契約 4回戦
樽井捺月 たるいなつき(アルファ)
VS
郷司利也子 ごうしりやこ(川崎新田)
第4試合 バンタム級 4回戦
石川海 いしかわうみ(UNITED)
VS
ペットルークターン・モークルンテープトンブリー(タイ)
第3試合 47.0kg契約 4回戦
青木沙耶香 あおきさやか(EBISU K’s BOX)
VS
鈴木菜々江 すずきななえ(シュウ)
第2試合 アトム級 4回戦
髙橋菜々 たかはしなな(M.T)
VS
穐丸早樹 あきまるさき(K&W)
第1試合 フライ級 4回戦
石井愛世 いしいいとせ(高崎)
VS
池本夢実 いけもとゆめみ(琉球)
キビキビした非常にスピーディーな進行で、女子大会のかったるいイメージを一新した『ダンガンレディース』さんが、二回目の興行をおこないます。
今回のメインであるWBOタイトル戦は、池原選手と江畑選手の新鮮味の無い日本人対決で、正直ガッカリです。
が、そこは『ダンガンレディース』さん、今回は「ひと味違うタイ人ボクサー招聘」という仕掛けを用意したようです。
ご存知のように、ムエタイ王国のタイにはプロの女子ボクシングというものは事実上存在せず、いままで来日してきたタイ人選手のほとんどはボクサーではありません。
今回来日する4人ももちろんボクサーではありませんが、いままでとは違うのは、もしも今回のカードをムエタイルールで戦うなら全員が確実に勝つということです。
タイ人なんだからそんなの当たり前じゃないか、と思うひともいるでしょうけど、いままで来てたタイ人の多くはムエタイルールで日本のボクサーとやっても勝てないレベルがほとんどだったと思います。その多くがムエタイファンでも聞いたことも見たことも無いひとたちばかりでしたからね。
しかし、今回の4人は違います。まず、4人のうちの3人はクルンテープトンブリー大学でスポーツ学科を専攻している学生です。だから、アスリートの基本は出来ています。
また、ドグマイパー選手はムエタイのマイナータイトルを持ち、世界王座戦の経験もあるかなりの実力派。ペッターピー選手は前ムエタイ世界王者でタイの最強の一角です。
どうやら、いままでは「タイから弱いの呼んでねー」という世界だったのが「強いの呼んでね!」に変わったようですね。このメンツを見ると。
が、どこまでいってもルールも技術も違う他競技の選手ですから、ボクシングでは勝てません。事実、ペッパヤー選手は何回目かのボクシング来日ですが一度も勝ってません。今回も箕輪選手が相手ですから無理でしょう。
でも、本人のモチベーションしだいで程度は変わるでしょうけれど、ドグマイパー選手は若狭選手を手こずらせるでしょう。ペッターピー選手は後藤選手を苦しめるでしょう。その結果「タイ人もやるじゃない」という印象を残すかもしれません。
それで、今後、タイ人の招聘が増えるかもしれないですね。
でもね、ボクシングに本気の日本人と、ムエタイに専念しているタイ人が、ボクシングで対戦してなんになりますか?
ボクシングの素人にボクシングで勝っても日本選手は強くなんないですよ。そのことは先日、タイ人ハンターの某選手が証明したじゃないですか。
タイ人が日本のボクシングでいままでよりも粘る試合をしても、それは彼女たちの本業のムエタイにはなんにも関係ありません。間に入ったマッチメイカーや、あっせん業のジムがもうかるだけで、彼女たちにはたいした収入にもならないでしょうしね(日本と同じく選手には試合を選ぶ権利はないので命令されたから彼女たちは出るだけです)。
タイではいくらでも出場機会はありますからみんなすでに何十戦のキャリアの持ち主なんで、いまさらボクシングに何度か出たってリング経験としては無意味。
技術的には体系が違うのでさらに無意味。
頭だけをグラブで打ち合うボクシングはムエタイよりもダメージが蓄積して選手生命を縮めるので本当に無意味。
というわけで、日タイ選手ともに意味無いでしょう。
これまでよりも歯ごたえのあるタイ人ボクサーを見せたいという関係者さんの熱意は買いますが、長い目で見てこんなことやってもロクなこと無いです。
タイ人選手はムエタイ業界にまかせてください。
ペッターピー選手やドグマイパー選手はムエタイで見たい選手なんです。ボクシングに呼ばれるとそのあとしばらくは来日出来なくなるので、お願いですから呼ばないでください。
選手は強くならず、ファンは見たいカードを見れず、全員にとって時間の無駄です。
ボクシングにはボクサーだけを呼んでください!!お願いします!!!
池原シーサー久美子 いけはらしーさーくみこ(フュチュール)11戦8勝1敗2分3KO
江畑佳代子 えばたかよこ(ワタナベ)15戦9勝6敗5KO
ペッチパヤ[ペッパヤー]・モークルンテップトンブリ(タイ)
箕輪綾子 みのわあやこ(元ボクシング日本代表/ワタナベ)デビュー戦
ペッターピー・モークルンテープトンブリー(タイ)
後藤あゆみ ごとうあゆみ(ワタナベ)4戦4勝3KO
吉田実代 よしだみよ(EBISU K’s BOX)4戦4勝
小関有希 こせきゆうき(K&W)5戦3勝2敗1KO
若狭与志枝 わかさよしえ(花形)3戦3勝2KO
ドッグマイパー・ギャットポーンペット[ドグマイパー・ギェトポムペット](タイ)
樽井捺月 たるいなつき(アルファ)4戦4敗
郷司利也子 ごうしりやこ(川崎新田)7戦3勝4敗
石川海 いしかわうみ(UNITED)デビュー戦
ペットルークターン・モークルンテープトンブリー(タイ)
青木紗耶香 あおきさやか(EBISUK’s)5戦2勝3敗1KO
鈴木菜々江 すずきななえ(シュウボクシングジム)2戦1勝1敗
髙橋菜々 たかはしなな(M.T)デビュー戦
穐丸早樹 あきまるさき(K&W)デビュー戦
石井愛世 いしいいとせ(高崎)5戦2勝3敗1KO
池本夢実 いけもとゆめみ(琉球)1戦1勝
*日時 2016年9月21日(水)開場17:30 開始18:00
*場所 東京 後楽園ホール
*料金 VIP指定席15000円/S指定席10000円/A指定席8000円/B指定席6000円/先着自由席4000円
*問合せ DANGAN 03-3221-8121
当ブログのイベント告知は正式のものではありません。
イベントの内容、日時、場所、料金については必ず主催者にお問い合わせください。
関連記事 小田美佳 VS 花形冴美、神田桃子 VS 秋田屋まさえ、氷室笑香 VS 天海ツナミ、ソーンサワン VS 江畑佳代子 ほか 結果 Dangan Ladies Vol.1 ボクシング女子
コメント
日本のボクシングは、わざわざ海外からムエタイの選手を呼ぶぐらいなら、日本のムエタイ選手がリングに上がってもいいのでは。
日本のムエタイ選手には、ムエタイ世界王者サオシンと接戦を繰り広げたAZUMA選手など、強い選手はいます。
>maruさん
まったくそのとおりですね。日本のボクシング界はすごい変なんです。
国内に対しては「他競技の選手はそれをやめてから来なさい」国外には「他競技の選手だれでもウェルカム」ですからね。
吉田実代選手はボクシングをするためにシュートボクシングをやめましたし、男子の白鳥大珠選手はムエタイをやめました。
「ムエタイ王国のタイにはプロの女子ボクシングというものは事実上存在せず」は、大げさではないですか?
ティラポーン・パンニミット、ウィンユー・パラドーンジム、ノンムアイ・ゴーキャットジム、アマラー・ゴーキャットジム、ウサナコン・ゴーキャットジム、サムソン・トー・ブアマッドなどの存在を、どうお考えですか?
もちろん、実力の低い選手を、かませ犬のように日本のリングに上げる悪習は、理解していますが、タイにも女子ボクシング文化はありますし、強い選手も、確実に存在するのではないですか?
>シンイチさん コメントありがとうございます。
ウィンユー選手は例の極悪小関戦さえなければ順調にキャリアを伸ばしていったかもしれません。ウサナコーン選手やサムソン選手には光るものがありました(ます)。でも、タイ国内ではしょうもない試合がほとんどなので、光るものがあってもそれを磨くことが出来ません。
ぶっちゃけ、タイのボクシングというのは男女とも国内では不人気すぎて商売にならないので、選手を日本や韓国、メキシコなどの外国に派遣して外貨を稼ぐことが主な目的のビジネスになっています。
たとえばカニター選手やアマラー選手の戦績を見るとそのことが良く分かります(BoxRec Kanittha Kokietgym または BoxRec Amara Kokietgymで検索してみてください)。彼女たちは海外では10回戦をしているのに、国内ではデビュー戦の選手とかムエタイ選手などを相手に、せいぜい6回戦しかしていません。一見、無意味ですが、「試合やってるよ」「連勝してるよ」というアリバイ作りにはなるのです。その「実績」で海外に呼ばれて負けて帰り、また国内で無名選手に連勝してインチキな勝ち星を積み、海外に呼んでもらって負けて帰って来て・・・。これが「外貨獲得用タイボクサー」の典型です。
タイのボクシング界はたんに彼女たちを海外に派遣して稼ぎたいだけ。彼女たちはそんな使い方をされていると気が付いているのかどうか?気が付いてみんなやめていったのかもしれませんね。ゴーギアットジムもこのビジネスに興味を失ったのか消えていきましたし。
というわけで、タイにはプロの女子ボクシングというものは事実上存在しないのです。
駆け出しの頃のJBC女子ボクシングではそんなタイ人ボクサーでも脅威になったこともありました。
が、今後はそんな水準の相手は日本の女子ボクシングではもう通用しないでしょう。
なるほど、「事実上存在しない」という表現の理由が理解できました。納得が行きました。
この事実が、もっと広く広まり、認識されてほしいですね。
ただ、個人的には、あまりネガティブにではなく、恵まれない環境の中で精いっぱいやっている…と言う部分も一部分はあるだろうな、という視点も、やっぱり持ちたいです。
いや、個人的には…です。あくまでも。
それに、タイ人女子ボクサーの周囲に問題点が存在するという事実には、変わりの無い事ですから。
一回目の評判が良かったのでボクシングライズのお試し入会も兼ねて今大会を視聴しようと思ってたのですが
メインがイマイチでがっかりしました
残念です
ただタイ人祭りの前座は今までのタイ人とは違ってムエタイでそれなりに実績があるタイ人ということなので少し楽しみができました
まあでも管理人様の指摘どおり、こんなことをいつまでも平然とやってるようでは、タイと日本の女子ボクシング界双方にとって良くないですね
特に海外で出稼ぎするために見栄えのいい戦績の噛ませ選手作りに精を出しているようではタイのボクシング凋落も当たり前だと思います
日本は女子ボクシングが盛んなメキシコやアルゼンチンから選手を呼ぶことは出来ないのでしょうか?
また、世界戦では日本人同士の対戦を連発するのに、世界戦にたどり着くまではタイ人ばかりを選んで日本人同士の対戦を避けるのもおかしな傾向だと思います
>シンイチさん
うちは格闘技ブログにしては文章が多すぎるので少なくしたいなと思う反面、簡単に書きすぎると当然ながら伝わらないわけで、そのへんなんとかしたいです。
今回のことは前々から書きたいとは思っていてもタイの女子ボクシングについて読みたいひとはいないのではと思っていましたが、いい機会なので新しい記事をひとつ書いてみますね。
>あかささん
ボクシングライズ、いい試みですよね。同様の企画が出ては潰れるなか、これは続いてほしいです。
「世界戦では日本人同士の対戦を連発するのに、世界戦にたどり着くまではタイ人ばかり」ほんとうにそうですね。
関係者のみなさんは、冷静に自分たちのやっていることを見つめてほしいと思います。