あのアクシデントからの決着戦でさらにバージョンアップした宮尾綾香　宮尾綾香VS 池山直　ＷＢＡアトム級暫定王座決定戦　試合経過　ボクシング女子

　Boxing

２０１８年１１月２０日（火）東京　後楽園ホール
VICTORIVA Vol.3

ＷＢＡアトム級暫定王座決定戦　１０回戦
宮尾綾香　みやおあやか（元ＷＢＡアトム級王者／ワタナベ）
ＶＳ
池山直　いけやまなお（元ＷＢＯアトム級王者／フュチュール）

　約２年前、当時池山選手が持っていたＷＢＯ世界アトム級王座に、宮尾選手が挑戦する形で実現したふたりの対決は、ラウンド中に宮尾選手が右のヒザを痛めて試合続行不可能というアクシデントによって中断されました。

　長期の療養を経て帰ってきた宮尾選手と、ＷＢＯを失って無冠となった池山選手が、空位のＷＢＡアトム級暫定王座をめぐって後楽園のリングで激突。

　試合は、ゴング直後に飛び出した池山選手のアグレッシブな動きでスタート。スロースターターのイメージがある池山選手にしては珍しい・・。

　と、思っていると、その直後に池山選手のアゴを宮尾選手の右が撃ち抜き、池山選手がダウン。予想外の試合展開です。

　リスタート後の池山選手はダメージを感じさせることもなく試合を続けますが、スタートダッシュのゲームプランが狂ってしまったことは大きな誤算でしょう。

　しかし、ここでボクシングファンの脳裏に浮かんでくるのは、３年前の宮尾選手と小関桃選手の戦いでしょう。あの一戦でも今回と同じように、第１ラウンドで宮尾選手が小関選手からダウンを奪いましたが、それでギアを上げ過ぎた宮尾選手が、持ち味のヒット＆アウェイを忘れて不用意に相手に接近戦を仕掛け、いいように打たれて逆転負けとなった痛恨の試合です。

　ですが、この日の宮尾綾香選手はその同じ轍は踏まず、近付き過ぎない距離を維持した冷静な戦い方。

　池山選手の攻撃を読んでかわすディフェンステクニック、華麗なフットワークで優勢を維持。

　ただ、以前の宮尾選手と違うのは、相手の攻撃を避けるフットワークが必要最小に抑えられ、すぐに攻撃に戻れる距離にいることです。

　また、パンチ自体も強化されている感じで、アトム級としては十分説得力のある打撃戦を展開。

　打撃戦と言ってもディフェンスの優れた両者の戦いなので、ド突き合いではなく、相手のパンチをギリでかわして反撃するハイレベルなもの。

　ひらりひらりとかわす華麗なテクニックの持ち主の宮尾選手でも、片手はアゴを守っているのが分かります。攻撃するときでも距離のあるときでもガードしてるんですよね。

　一発で試合をひっくり返せる軽量級屈指のハードパンチャー池山選手の反撃がいつ炸裂するのか、最後まで予断を許さない試合でしたが・・

　宮尾選手は無事１０ラウンドを完走して判定勝利。

　『暫定』という文字は付いてはいますが、３年ぶりに宮尾選手のもとに戻ってきたＷＢＡアトム級のチャンピオンベルト。

　「正規王者を倒してわたしが本当のチャンピオンになります」と宣言する宮尾綾香選手。

　選手生命が危ぶまれる大アクシデントを克服して、よくここまで来たなあと感心してしまいます。しかも、以前よりもバージョンアップした新しいスタイルを身に付けて。

　今後の活躍に期待します！

ＷＢＡアトム級暫定王座決定戦　１０回戦
○宮尾綾香　みやおあやか（元ＷＢＡアトム級王者／ワタナベ）
判定　３－０
×池山直　いけやまなお（元ＷＢＯアトム級王者／フュチュール）
宮尾綾香選手の判定勝利
（９６－９３、９７－９２、９７－９２）
（池山直選手は第１ラウンドにダウン１）

宮尾綾香　みやおあやか（元ＷＢＡアトム級王者／ワタナベ）３１戦２３勝（うちタイ人３）７敗１分６ＫＯ（うちタイ人３）
池山直　いけやまなお（元ＷＢＯアトム級王者／フュチュール）２６戦１８勝（うちタイ人１）５敗３分５ＫＯ（うちタイ人１）

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