Boxing
2010年6月14日(月) 後楽園ホール
ダイヤモンドグローブ Wタイトルマッチ
OPBF東洋太平洋フライ級タイトルマッチ 10回戦
王者 四ヶ所麻美(フラッシュ赤羽)
VS
挑戦者 マルネーレ・ベラーノ(フィリピン)
精悍な表情で入場する四ヶ所選手の腰にはOPBFの真っ白なベルトが巻かれています。このベルトをかけてのはじめての防衛戦。王者はどんな戦いを見せるでしょうか?挑戦者はかつて山口直子選手にKOで敗れているベラーノ選手。
第1ラウンド開始から基本に忠実にジャブを放ち、ときおりステップインからの右ストレートを出してくるベラーノ選手。
これに対し王者四ヶ所選手は、離れた距離に立ってゆっくりと左腕を曲げ伸ばししたり、回転させたりの動作を繰り返すだけで、ほとんどパンチを打ちません。
フットワークもボディワークもなく、かなりの時間をガードを開けて突っ立ったままの王者に挑戦者は遠慮なく左右を打ちます。
挑戦者は数ヶ月前にこのリングでKO負けを喫した悪夢を完全に忘れたかのように伸び伸びとしたボクシングを展開。
打たれてから思い出したようにガードを上げてステップバックする王者。
4ラウンド終了時、7ラウンド終了時のオープンスコアはいずれも三者三様(引き分け1、王者1、挑戦者1)のドロー。
回を重ねるたびに客席からの拍手は少なくなり、「とにかく打て」「打たないと勝てないよ」「ガードの上からでもいいから打って」という声が飛びますが四ヶ所選手のボクシングは変わりません。
四ヶ所選手はさすがに最終回は前に出る姿勢を見せますが、反撃されて詰め切れません。
10ラウンドを通して手数と有効打、リング支配は挑戦者でしたが、全員が日本人ジャッジによる最終的な判定は3-0で王者の勝利。
前にも書きましたが、お客さんはボクシングが見たくて来ているのであって「日本人が勝ちましたショー」を見たいわけではありません。このような判定を見るたびに「今は本当に21世紀なのだろうか?」と時代が逆流している気分になります。どんなスポーツにも地元判定はあると言われますが、ここまで徹底して地元びいきが定着している格闘技は、いまどきそうそうないでしょう。
誰ががどんなに擁護しても、試合内容の悪さは本人が一番よく分かるもの。勝利者インタビューに「まだまだ未熟ですみません」と答える王者の暗い声がそれを裏付けています。
不景気の最中にチケットを買って来てくれるお客さんたちに代金分の内容を見せるのは当然のことです。もちろん、いい試合を見せることが一番ですが、それが出来ない場合は負けを負けとして見せるのも代金のうちなのです。
それを出来ないリングは消えますし、消えるべきでしょう。
「打たないと勝てないよ!」と必死で叫んでいたお客さんは、打たなくても3-0で勝ちになる現実を見てどう思ったでしょうか?
OPBF東洋太平洋フライ級タイトルマッチ 10回戦
○王者 四ヶ所麻美(フラッシュ赤羽)
判定3-0
×挑戦者 マルネーレ・ベラーノ(フィリピン)
ユナニマスデシジョンで四ヶ所麻美選手が勝利。
96-95、96-94、96-94
この試合を含む両者の戦績は以下のとおりです。
OPBF東洋太平洋フライ級チャンピオン
四ヶ所麻美(フラッシュ赤羽) 5戦4勝1敗2KO
マルネーレ・ベラーノ(フィリピン) 7戦4勝2敗1分1KO
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