観客席視点からの立ち技系女子格闘技
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神村エリカ RENA 吉田実代 MINA 藤野恵実 ハム・ソヒ 写真で振り返る『Girls S-cup2011』総集編 シュートボクシング女子 

 ShootBoxing

神村エリカ選手
真夏の女子格闘技の祭典『Girls S-cup2011』を神村エリカ選手の見事な戴冠劇で終え、次の動きへと向かい始める女子シュートボクシング。次回大会直前のいま、『Girls S-cup2011』を振り返ってみましょう。


2011年8月19日(金)東京 渋谷AX
『Girls S-cup2011』

MIO vs 山田よう子
相手選手の無茶苦茶な暴走で台無しになってしまったMIO選手のデビュー戦ですが、キャリアも体格もまさる相手にガンガン突っ込んで行く気の強さがMIO選手のいいところ。SBの貴重な即戦力として期待が持てますが、まだキャリアが浅いいまは何をやっても勉強になる時期です。初期のRENA選手がそうだったようにいろんなリングで経験を積むのもいいかもしれません。

48㎏契約2分2R延長1R
MIO(及川道場)赤
反則 1ラウンド
×山田よう子(PUREBRED)青
山田よう子選手がグラウンド状態に持ち込んでネックロック&アームバーをかける、レフリーの指示に応じないなどでレッドカードを2回提示されて反則負け

神村エリカ vs 岡加奈子
純正シュートボクサー代表として奮闘が期待された岡加奈子選手ですが神村エリカ選手の速攻の前に崩されてしまいました。岡選手のいいところが出なかったのが残念ですが、もうちょっと時間を使って戦えるワンマッチルールにくらべて、2分3Rのトーナメントルールはスタートダッシュ型の選手じゃないと厳しいかもしれませんね。

Girls S-cup2011トーナメント一回戦1
神村エリカ(ターゲット/WPMF世界ミニフライ級王者、WMC世界ミニフライ級王者)青
KO 2ラウンド
×岡加奈子(立志会館)赤
神村エリカ選手のKO勝利。準決勝に進出。
(第2ラウンドに岡加奈子選手がダウン2回)

WINDY智美 vs 吉田実代
吉田実代選手
どんな試合になるのか全然予想がつかなかったこのカードは、お互いがじっくりローキックから攻めを構築していくキックボクシングスタイルの試合になりました。はっきり言ってSBらしくないし、トーナメント向けでもない戦い方でしたが、QRとしては最近少なくなっている正統派キックの試合を見た満足感がありました。収穫としてはWINDY選手が立ち技でも健在であることが確認出来たことと、吉田実代選手の成長です。

Girls S-cup2011トーナメント一回戦2
×WINDY智美(パンクラスism)赤
判定0-2
吉田実代(池袋BLUE DOG GYM)青
判定により吉田実代選手が勝利。準決勝に進出。

V.V.Mei vs MINA
吉田選手と並んで光を放っていた新星がこの大会に自分から申し出て出場を勝ち取ったというMINA選手。出場決定のエピソードが示すようにとにかくアクティブなMINA選手は今大会に新鮮な風を送りました。彼女のように「勝ちたい」という一心で目が三角になってるような選手がいるとトーナメントが俄然面白くなりますね。そういう気持ちが必ず波乱を起こしますから。

もちろんMINA選手は気持ちだけの選手ではなくて、ヒザの使い方や、相手に組まれる前に自分から組んで有利に持ち込むこと、組み付かれたら足をロックして引っこ抜かれないようにする、などの投げ技対策をきっちり用意していましたし、それが見事に機能していました。SBや総合の選手じゃなくてもやり方次第で勝ち上がれるということをキック系の選手に示した功績は大きいと思います。

Girls S-cup2011トーナメント一回戦3
×V.V.Mei(フリー/VALKYRIE女子ライト級王者)赤
判定0-2
MINA(秀晃道場)青
判定によりMINA選手が勝利。準決勝に進出。

藤野恵実 vs ハム・ソヒ
藤野恵実 vs ハム・ソヒ
SBについに登場した立ち技と投げの適応力抜群の本命ハム・ソヒ選手。この選手のポテンシャルとキャリアが一番生きるのはSBルールだろうというのは以前から分かる人には分かっていたこと。そんな彼女がいよいよ水を得た魚のように Girls S-cup で大活躍かと思われましたが、その前に立ちはだかったのがガッツとパワーで定評がある藤野恵美選手でした。鮮血をしたたらせながら奮戦する藤野選手の頑張りには鬼気迫るものがあり、ハム・ソヒ選手の表情にはたしかに想定外のとまどいの色が見えました。藤野選手はあきらかに今大会の功労者のひとりです。

Girls S-cup2011トーナメント一回戦4
×藤野恵実(和術慧舟會)赤
判定0-2
ハム・ソヒ(韓国)青
判定によりハム・ソヒ選手が勝利。準決勝に進出。

HIROKO VS 薮下めぐみ
HIROKO選手は対戦予定の選手が何度も変更になり、最後に急遽決まった相手が薮下選手。戦う必然性がうすいこのカードで燃えるような試合を見せろというほうが無理な注文でしょう。いまだに手が合う対戦者に恵まれない未完の大器HIROKO選手。ちょっと気の毒でしたね。

スペシャルワンマッチ 70㎏契約3分3R延長2R
HIROKO(B CREW)赤
TKO ドクターストップ 3ラウンド
×薮下めぐみ(fight chix)青
HIROKO選手のTKO勝利
(薮下選手が膝靭帯損傷の疑いで試合続行不可能)

神村エリカ VS 吉田実代
瞬速のTKO劇となったこの試合、神村選手がノックアウトの直後に友人である吉田選手のもとに駆け寄って無事を確認していた姿が印象的でした。非情なリングスポーツに生きる選手同士のひとコマ。

Girls S-cup2011トーナメント準決勝1
神村エリカ(ターゲット/WPMF世界ミニフライ級王者、WMC世界ミニフライ級王者)赤
TKO 1ラウンド
×吉田実代(池袋BLUE DOG GYM)青
神村エリカ選手のTKO勝利。決勝に進出。
(第1ラウンドに吉田実代選手がダウン2回)

MINA vs ハム・ソヒ
MINA vs ハム・ソヒ
この試合もあふれるような情熱を感じさせるファイトを展開したMINA選手。しかし、ハム・ソヒ選手の一撃一撃の重さとキャリアの蓄積が、少しずつ確実にMINA選手を削っていきました。しかし、削られていたのはハム・ソヒ選手も同じ。足早に控え室へと消えていくハム・ソヒ選手の姿がそれを伝えていました。

Girls S-cup2011トーナメント準決勝2
×MINA(秀晃道場)赤
判定0-2
ハム・ソヒ(韓国)青
判定によりハム・ソヒ選手が勝利。決勝に進出。

RENA vs サーサー・ソー・アリー
RENA選手
持ち味のスピードと豊富なコンビネーションを生かし、見事な機動戦を展開してきっちりとKO勝利を見せてくれたRENA選手。女子格闘技選手多しと言えどもこんな勝ち方を出来るのはやはりRENA選手しかいないでしょう。この人の場合は本来のコンディションに「戻す」と言うよりも、まだまだ地力を「伸ばす」段階にありますし、どんどん伸びるのは間違いありません。この若さで「戻す」話なんかナンセンス。本人もやる気のようですし、面白くなってきました。

サーサー・ソー・アリー選手
そして、敗れたほうのサーサー選手、こちらも今後への可能性を感じさせてくれました。顔つきが少しずつ大人っぽくなり、体も大きくなっている彼女はいまはリングに這いつくばってもまだまだこれからいくらでも大化けの可能性を秘めています。サーサー選手がボディーブローで沈む姿を、若き日のレギーナ・ハルミッヒ選手に重ねた人もひとりやふたりじゃないでしょう。

あのときのハルミッヒ選手もサーサー選手ぐらいの若さでした。そして日本のリングで熊谷直子選手の左ボディーブローで悶絶してKO負けを告げられたのです。あのハルミッヒ選手がその後、世界に冠たるボクシングクイーンにまで成長したのはすべてあの日の敗北のおかげです。

サーサー選手にその気があればいくらでも彼女は大物選手になれるでしょう。そうなって欲しいし、そうなればムエタイはもうひとつメジャースポーツへの階段を上がることが出来ます。しかし、大きな果実ほどそんなに簡単には実らないもの。サーサー選手の再起とムエタイ帝国の輝く未来をゆっくりと待ちたいと思います。

スペシャルワンマッチ 50㎏契約3分3R延長2R
RENA[レーナ](及川道場/Girls S-cup2010世界王者)赤
KO 2回
×サーサー・ソー・アリー(タイ/WPMF世界フライ級)青
サーサー選手のダウン直後にレフリーがKOを宣言
(RENA選手がシュートポイント1、キャッチポイント1獲得)

加藤綾さん
ここでシュートボクシングの歌姫加藤綾さん登場。美しい歌声でクライマックス前の会場を清冽な空気に包みます。

神村エリカ vs ハム・ソヒ
神村エリカ vs ハム・ソヒ
神村エリカ vs ハム・ソヒ
そしていよいよ決勝。一打必倒の威力を秘める両者の拳が乱れ飛ぶ熱戦です。こんなエキサイティングなカードはなかなか見られるものではありません。

神村エリカ選手
自分自身に課した絶対優勝というハードなミッションを素晴らしい遂行力でクリアしてみせた神村エリカ選手。なんと言っても彼女こそがこの日一番の輝きを放っていたスターファイター。

多くの敵を倒し続けてこの日のこのリングで立ち技日本一の称号を獲得した神村選手。しかし、倒したはずの敵はまた立ち上がって最強の座を目指して戦いを挑んできます。有り余る可能性を持ちながらいままでそれを発揮することが出来ずにくすぶっていたハム・ソヒ選手もそのひとりでしょう。彼女は必ず神村選手の前に立ちはだかります。リングを降りるハム・ソヒ選手の目がすでにその日を待ち望んでいるようでした。

Girls S-cup2011トーナメント決勝
神村エリカ(ターゲット/WPMF世界ミニフライ級王者、WMC世界ミニフライ級王者)
判定3-0
×ハム・ソヒ(韓国)
神村エリカ選手が判定で勝利し、Girls S-cup2011トーナメント優勝。
(神村選手がキャッチポイント1獲得)
(ハム選手がシュートポイント2獲得)
(ハム選手が第3ラウンドにダウン1)

さて、今後の Girls S-cup ですが、まず希望したいのが大阪での開催です。すでに Girls S-cup は東京で3回の開催を完了し首都圏で是非見たいと考えていたファンには十分にそのチャンスを与えてきました。次は、関西圏にいるシュートボクシングファンにぜひとも生で見ていただきたいと思います。

もともと女子シュートボクシングは大阪の藤山照美(ふじやまてるみ)選手、石本文子(いしもとふみこ)選手という大きな存在と、東京の中村ルミ(なかむらるみ)選手、神風杏子(かみかぜきょうこ)選手という才能が強い対抗意識で築き上げてきたもの。ですから、シュートボクシングが本当に女子の時代を確立するならやはり関西圏へのテコ入れは必要不可欠。関西圏からの新たな才能の掘り起こしと、ファンの熱い思いの受け皿としてそろそろ大阪興行をおこなう時期が来ているのではないでしょうか。

先の震災のダメージが色濃く残る東日本では正直、格闘技の興行はまだまだ苦戦を強いられるでしょう。しかし、西日本の街はいまでも明るく、日本人が本来持つ生命エネルギーが行きどころを求めて渦巻いています。ここはひとつシュートボクシングもそのエネルギーを汲み取って西と東の橋渡しをおこない日本全体の活性化に向かって一歩踏み出すべきだと思います。アゼリア大正ではなくてもっと大きいスペースで Girls S-cup 大阪大会が行われることをQRは強く希望いたします。

また、今後SBに出場して欲しい女子ファイターは、SBルールに対応出来る素地のある選手としてやはりムエタイ、総合格闘技、そして中国散打など、打撃と組み技のどちらも兼ね備えた分野からの参入が望ましいと思います。

島津悦子選手 ムエタイ選手と言えばすでにSBで猛威を振るっている神村エリカ選手の存在が非常に大きいですが、昨年の戦極で神村選手と戦ったちはる選手の参戦があればさらに盛り上がるでしょう。また、かつてV.V.Mei選手の投げを完封のうえ善戦した試合巧者島津悦子選手(写真:旧リングネーム悦センチャイ)もまだ現役であるなら出ていただきたい選手です。50キロ前後の若手外人選手としてはタイで修行中のイギリス人ムエタイファイターイマン・バーロー選手やエジプト人のダリア・ホスニー選手がいます。彼女たちは必ずいつか日本SB勢のライバルになる存在だと思います。

滝本美咲選手 総合格闘技からはいろんな選手が考えられますが、やはりジュエルス勢が一番可能性が高いでしょうか。石岡沙織選手がSBに再登場してあの見事なコンビネーションを見せてくれれば最高ですが、ハム・ソヒ選手とやり合ったこともある禅道会の滝本美咲選手にも一度SBに出てもらいたいなと思います。

中国散打ではいま武林風で名前を売っているワン・カハン選手やマオ・ニーン選手が見たいですが、彼女たちは50キロ台後半ですからちょっと階級的に無理でしょうか?でも散打ならいくらでも50キロ前後の選手はいそうですよね。

もちろん、国内のキックボクサーの中でもやる気次第で活躍出来る選手はいっぱいいると思います。今年のMINA選手のように。あたらしい可能性はつねにチャレンジから始まるのです。

カメラ 野口昌克

SHOOT BOXING Girls S-cup2011 全試合詳細
ワンマッチ  MIO vs 山田よう子
トーナメント 一回戦 神村エリカ vs 岡加奈子
トーナメント 一回戦 WINDY智美 vs 吉田実代
トーナメント 一回戦 V.V.Mei vs MINA
トーナメント 一回戦 藤野恵実 vs ハム・ソヒ
ワンマッチ  HIROKO VS 薮下めぐみ
トーナメント 準決勝 神村エリカ VS 吉田実代
トーナメント 準決勝 MINA vs ハム・ソヒ
ワンマッチ  RENA[レーナ] vs サーサー・ソー・アリー
トーナメント 決勝 神村エリカ VS ハム・ソヒ

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qbar

コメント

  1. 夜明けのファイター より:

    西日本での開催をぜひぜひお願いします。大阪か名古屋か福岡で。

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