観客席視点からの立ち技系女子格闘技
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格闘技女子の先駆者 山口香さんと柔道界のゴタゴタ

 日本の女子格闘技の先駆者と言われる人は何人か存在しますが、業界の都合で祭り上げられている人や、マスコミ的なキャッチフレーズではなくて、本当の意味でそう呼ぶべき人は元祖YAWARAちゃんこと山口香(やまぐちかおり)さんだと思います。

 今でこそ柔道女子は女子スポーツの正道中の正道として認められていますが、山口香さん以前の日本では「柔道に女子はいらない」「女子がやる意味が分からない」と公然と言う人がほとんどで、女子の柔道に理解を示す人など単なる物好き扱いだったそうです。

 しかし、彼女が日本の柔道女子の歴史上初めて世界柔道で金メダルをとってから世間の意識は変わり、女子の柔道は意味がないなどという人はいなくなり、オリンピックの人気種目にもなりました。

 最近で言えばなでしこJAPANのような役目を果たしたわけです。

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 でも、人気種目になることでかえって歪みが出て来るようにもなりました。たとえば、北京オリンピック直前の世界大会。このとき48キロ級では長年エースの座にあった谷亮子選手をやぶって福見友子選手が日本一となっていたにもかかわらず、日本代表に選ばれたのは谷選手という不可解な人選がなされました。

 日本一の選手を世界への代表にするという原則を曲げて「国民的スター」の谷選手の人気を優先した選手選考だったわけですが、これに正面から批判をしたのが山口香さん。

 「フェアな人選をするべき」「スポーツで大事なのは最低限のモラル」「こんなことをしているとファンが離れていく」「若手が育たない」と的確に問題を指摘。

 当時、柔道界の中にあって、これほどきちんと言うべきことを言ったのは彼女ただ一人であったと思います。

 今回、柔道女子選手に対する指導者の暴力や嫌がらせの問題に対して「指導者を告発した選手の名前を公表しろ」などと精神が壊れているとしか思えないことを言う人もいるようですが、山口さんはその異常な要求を却下し「不必要な公表はしない。選手を守っていく。」と明言しました。

 嫌がらせなどの被害の経験のある人なら、山口さんの言葉の意味は分るでしょう。守ってくれる人がいなければ、被害者はさらにもう一度被害者になってしまうのです。

 今回のことで、誰が正しいとか、正しくないとか、本当の狙いは何かとか、問題のスタート地点からズレた興味本位な報道が今後いろいろ出てくると思います。

 でも、格闘技のファンにとって、そんなことはどうでもいいこと。大事なのは選手と競技。とにかく「現役の選手」を大事にしてほしいと思います。

 結果的にしわ寄せが来るのが選手ということにならないことを心から関係者の方たちにお願いします。

コメント

  1. タサキ より:

    一応言っときますが、代表選考会(世界大会ではありません)で谷選手に勝ったのに北京五輪に出られなかったのは「福見友子」選手ではなく、「山岸絵美」選手です。

    福見選手は代表選考会とは関係のない大会で谷選手に一度勝ったことがあるというだけです。

    山岸選手に対して大変失礼ですので、記事を書き直してくださいね。試合も見ずに聞きかじったことをそのままブログに書くのはやめましょうね。

  2. queensofthering より:

    タサキさま コメント有り難うございます。
    しかしながら、タサキさまは当記事を完全に誤読なさっています。

    この記事では北京五輪(2008年)の話はしておりません。
    その前の『2007年の世界大会に福見選手が出られなかった』ことがここでの話題なのです。

    >福見選手は代表選考会とは関係のない大会で谷選手に一度勝ったことがあるというだけ

    その大会は全日本選抜です。
    通常はその優勝者が世界大会に行きます。
    ところがこの時は優勝した福見選手ではなく敗れた谷選手が世界大会に選ばれたのです。

    なお、福見選手は旧姓田村時代の谷選手にも勝っています。

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