Boxing
2014年3月3日(月)東京 後楽園ホール
G-Legend 6
メインイベント
WBAライトミニマム級タイトルマッチ 2分10回戦
王者 宮尾綾香(大橋)
VS
挑戦者 ブアンゲルン・ワンソンチャイジム(タイ)
今回が4度めの防衛戦となる宮尾綾香選手がにこやかにリングイン。
今回のお相手はおそらく日本のボクシングファンが一人として知らないブアンゲルン選手。
彼女は毎度噛ませでおなじみの小関桃選手陣営がタイで調達した挑戦者と同じムエタイジムの所属。たぶんセットで送り込まれて来たのでしょう。そんなわけで、その実力にも戦闘意欲にもなんの期待も持てません。
こんな挑戦者と毎回戦うようになったら宮尾選手も終了なわけですが、前回はフィリピンのスピードスター、強豪グレッチェン・アバニール選手と大激戦を演じたばかりなので、今回は一息入れようという大橋ジムさんの考えなのかもしれません。
しかし、それはお客さんには関係のないこと。プロとしてリングに上がる以上は選手はお客さんに娯楽を提供する義務があります。
このおよそ挑戦者にふさわしくない相手とリングに上がってお客さんを楽しませることが出来るかどうか、それが今回の宮尾選手のテーマであるかもしれません。
宮尾綾香選手は突撃してくる選手にカウンターを合わせたりタイミング良くパンチを入れて崩していくのを得意にしているボクサーです。その意味では、この日セミに登場した小関選手と同じ系列に位置します。しかし、その試合内容はまったく違いました。
小関選手はこの日、全然出て来ない相手を追いかけ回して見せ場の無いまま試合終了となったわけですが、宮尾選手はちょろちょろ追いかけるのではなくて、初回からバッと飛び込みざまに右のオーバーハンドの強襲を見せます。
相手の打ち気を誘って、打って来たところをヒラリとかわしてみせます。パンチだけではなくこういう場面もボクサーの見せ場。
もちろん上下にも攻撃を散らし、二回と続けて同じことはやりません。
相手のレベルどうこう以前に、この宮尾選手の変化のある試合の組み立てに、お客さんは楽しげに手を叩くのです。
まったく打つ手の無くなった挑戦者は、クリンチぐらいしかやることがありません。
だらだらと打ち続けるよりも、宮尾選手のように打つ打たないのメリハリがしっかりあるほうがいい試合に見えます。
宮尾選手が要所要所で印象的なパンチを当てながら、試合はすでに中盤。挑戦者はロープに詰められたり、コーナーに追い込まれたりしながら辛くも試合を続けています。
しかし、第5ラウンド、青コーナーに詰められたブアンゲルン選手は強引に宮尾選手にクリンチ。
このクリンチを続けるのか解くのか挑戦者の集中が曖昧になった一瞬、顔面を襲う宮尾選手のパンチ。顔を覆いながらかがみ込む挑戦者に降り注ぐ無慈悲な追撃。
挑戦者はそのままカウントアウト。宮尾選手のKO勝利で試合が終わりました。
今回は前回と違って、やるかやられるかの果たし合いという緊張感はありませんでしたが、『宮尾綾香のボクシングショー』としてお客さんは十分楽しんだと思います。
このように、相手がアレな場合でもそれなりに見せることが出来るのがプロフェッショナル。いい仕事してます。
WBAライトミニマム級タイトルマッチ 2分10回戦
○王者 宮尾綾香(大橋)
KO 第5ラウンド 1分30秒
×挑戦者 ブアンゲルン・ワンソンチャイジム(タイ)
宮尾綾香選手がKO勝利でタイトル防衛に成功
(カウントアウト)
宮尾綾香 みやおあやか(大橋)23戦17勝5敗1分2KO
ブアンゲルン・ワンソンチャイジム(タイ)
コメント
宮尾綾香といえば、非公認時代にツナミに倒された試合があまりに強烈すぎて(昔話で失礼)
このまま壊されちゃうんじゃないか、とおもった時期もあったんだが、よくぞここまで成長したものだ。
センスの良さとスピードは昔から実証済み。
それに力強さが加わったのなら
次の試合はぜひ観戦したいものだ。