観客席視点からの立ち技系女子格闘技
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「ヒジで相手を切ってみたい」「相手を切るのが好き」という選手はリングに上がる資格はない 一般の格闘技ファンのための100の大事なことがら その34

 「ルールとお互いをリスペクトしていい試合をするように」と試合の前にレフリーは言います。試合が成立するのはルールと対戦相手がいるからなので、これは格闘技の基本ですね。

 それなのに最近は「ヒジで切ってみたい」「切るのが好き」とか言うのを「売り」にしている一部選手がいるようです。

 これはまったく相手をリスペクトしてないから出る言葉で、選手としては失格です。

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写真素材 足成
 西洋の選手の一部には「ヒジで切り合うのがすごい」みたいな価値観があるようですが、本来、戦場には流血TKOとかレフリーストップなんてものはありませんので、武術的には流血信仰はまったくの邪道、好意的に見ても勘違いとしか言えません。

 ましてや「血を見ると興奮する」とか「ゾクゾクする」「流血は美」とか言っているのは単なる変態。何をか言わんや。あきれて絶句です。

 前にも書きましたが、普通の試合で、その流れに関係なく最初からヒジで切ってくるタイ人はまずいません。ムエタイでヒジで切るのは追い詰められた選手の最後の手段なんです。

 ヒジで切るのは、ヒジで倒すより簡単です。パンチで倒すより簡単です。蹴りで倒すより簡単です。だから、劣勢の選手でもそれは可能であり、最後の逆転の手段としてそれは残されているのです。

 ムエタイは最後まで勝敗が分からないのが面白い勝負とされるので、試合終盤の逆転のための最終兵器としてヒジで切るのもありなのです。

 しかし、最初からヒジで切って一方が優位に立ってしまったら、序盤や中盤の技の攻防が不必要になり、レフリーがいつ止めるか止めないかだけのツマラナイ試合になります。

 だから、そんなことをやると「試合をぶちこわしやがって」とドヒンシュク。次から試合に呼ばれません。対戦を断られます。

 もちろん、勝つことがすべての試合の時は、そんなこと言ってられませんから、遺恨試合とか、トーナメントとか、賞金マッチとか、テレビマッチとか、絶対負けられない時は切ろうが倒そうが勝てばいいのです。

 でも、なんにもかかってない試合で無意味に相手を切るのはただのバカ

 切りたかったら言葉の通じる同じ国の相手を切ってください。そのあとどんな人間関係になるのか味わってください。

 言葉が通じず、二度と会うこともないからと、タイ人選手の顔面を面白半分に切らないでください

 彼女たちは切られて平気なわけではありません。切られるのに慣れてなんかいません。遊びでやっているのではありません。「ふつうは切り合わない」というムエタイの常識の範囲でプロとして勝ち負けを争っているのです。

 彼女たちは意味もなく切り合って次の試合が組めなかったらその月の収入がなくなるのです。ですから、基本、流血戦はしないで技術で戦います。

 タイ人を毎試合のように意味もなく流血させている白人女子選手がいます。彼女は試合に生活がかかってないので、自分が切られても平気で笑っています。

 しかし、相手は平気ではありません。女子選手はファイトマネーが安いので、ひと試合でも負傷キャンセルになればたちまちお金に困ります。

 困らない白人の彼女は毎試合のように切ったり切られたりを続けて、自分の階級での対戦を次々と断られ、いまは2、3階級上の相手と当てられて苦しい戦いになっています。

 これが現実なのです。ムエタイは無法のジャングルでは無いし、ムエタイ女子は血に飢えたアマゾネスじゃありません。

 流血戦をやりたかったら同じような趣味の相手を見つけて自分たち同士でやってください。「わたしたちって血だらけでスゴくない?」とか言いながら、ブラッディ・エルボー・ゲームを続ければいいでしょう。

 ムエタイの本国、タイと違うことがやりたいのなら、タイ人を巻き込まないでください。

 また、前にも書きましたがメディアの皆さんは「女子なのにヒジで切るからすごい」みたいな民度の低いヨイショ記事を書かないでください。

 よろしくお願いします。

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