Boxing
2018年4月17日(火)東京 後楽園ホール
DANGAN211
第5試合 47kg契約 8回戦
黒木優子 くろきゆうこ(元WBC女子世界ミニフライ級王者/YuKO)赤
VS
神田桃子 かんだももこ(元OPBF女子アトム級王者/協栄)青
入場時には笑みも見せていた両選手ですが、ゴングが近づくにつれてだんだんとコワイ顔に。
キャリアの長さで言えば神田桃子選手が上回りますが、ブランクの時期が何度かあったために、この時点では黒木優子選手が元世界王者、神田選手が元東洋王者で、黒木選手の方がひとつ格上。ノンタイトル戦ではありますが、神田選手にとっては大きなチャレンジ。
本来の階級も神田選手がアトム級、黒木選手がその上のミニマム級(ミニフライ級)ということで、ご覧のような体格差もあります。
神田選手は初回から勢い良く飛び出していきますが、サウスポーにかまえた黒木選手はジャブで神田選手の接近をはばみます。
神田選手はリングを動きながら何度も接近にトライしますが、そのたびに飛んでくる黒木選手のリードブロー。
かつての黒木選手はデビュー後何戦たっても効果的なジャブが打てず、それが大きな課題だったのですが、この日の試合を見た人はそんな過去は信じられないでしょう。
プロボクサーなのにジャブを打てない人がいるというとすごく驚かれるのですが、日本のプロボクサーには珍しくありません。いくらでもいます。
ジャブを打てない人が多くいる理由は、
1.ジャブは連打が基本なので非常に体力を消費するため、どうせ体力を使うなら利き腕のパンチを出そうと思い、ジャブは練習しないし、実戦でも省略する
2.利き腕のパンチに比べて、ジャブの威力には自信がないため、出しても意味がないと考えて練習をしないし、実戦でも省略する このふたつです。
しかし、ジャブが打てなくても利き腕のパンチが強力な人は、それでもなんとか勝っていけるのです。黒木選手がまさにそのパターンで、ジャブが打てないのに勝ち続けていたのでした。
こうなると、ますますジャブの必要性が感じられなくなり、多くの選手はジャブが打てないまま終わってしまいます。
しかし、黒木選手は違いました。彼女は、リードの右をふんだんに出して試合のペースを握り、大事な左は要所だけに効果的に使って効果的にポイントを奪う技巧派に変わっていったのです。正直、ここまで変わるひとはめったにいません。素晴らしい成長だと思います。
右のリードを浴びた神田桃子選手は早くも第2ラウンドには左目のあたりが腫れてきます。黒木選手のジャブは手数だけではなく、その威力もなかなかのようです。
黒木選手はあまり自分からは行かず、ほとんどの場合、攻撃を仕掛けるのは神田選手なのですが、
距離がつかめている黒木選手は冷静にこれをかわして、的確に反撃を入れることができます。いいボクシングしてますよね。
それでも前に出ることをやめない神田選手に、黒木選手はいよいよ主武器の左ストレートを出し始めます。やはり強烈です、このパンチ。
が、一向にひるまない神田桃子選手はすごい勢いで黒木選手を追い回します。
神田選手は突然ダッシュしてのランニングパンチという奇策を繰り出しますが、これも逆転打には遠く・・。
最後まで鋭い右のリードブローと、左の重いロングショットで優勢を保った黒木選手が大差判定勝利。
このブログはなんでこんなにジャブだのリードブローだの言ってるのだろうと思う人は、ボクシングレイズさんの会員になって有料動画でこの試合を確認してください(ボクシングレイズさんの回し者ではありません、MJ)。ジャブがどんなに有効な武器かがわかるでしょう。
黒木優子選手、素晴らしいボクシングを見せてくれてありがとうございます!あなたの大進歩を確認できてうれしいです。今後の活躍が楽しみです。
最後はこんなポーズも決めてくれた黒木選手。プロらしくなりましたなあ。
もちろん、この試合が最後まで面白かった理由は神田桃子選手の妥協しないファイトでした。体格の面で不利なマッチメイクでしたが、神田選手のガッツはファンの心に届いたと思います。本来の階級なら、もっといい場面もあったでしょう。正直、なにかひとつ武器が欲しいところですが、神田桃子選手はこれからもうひとつ伸びる年齢にいます。女子はここからパワーや技術がもう一段伸びるのです。そういう例をいくつも見てきました。頑張ってください、期待しています。
第5試合 47kg契約 8回戦
○黒木優子 くろきゆうこ(元WBC女子世界ミニフライ級王者/YuKO)
判定 3-0
×神田桃子 かんだももこ(元OPBF女子アトム級王者/協栄)
黒木優子選手の判定勝利
(79-73、79-74、78-75)
黒木優子 くろきゆうこ(元WBCミニフライ級王者/ユーケーオー)24戦18勝(うちタイ人3)5敗1分8KO(うちタイ人2)
神田桃子 かんだももこ(元OPBF東洋太平洋アトム級王者/協栄)22戦10勝(うちタイ人4)10敗2分4KO(うちタイ人3)
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