

2003年12月26日(金) タイ バンコク郊外 フューチャー・パーク・ランシット
インターナショナル女子ライトフライ級王座決定戦 ムエタイ 2分5R
ナムワーンノーイ・サックブンマー〔アールサヤーム〕(タイ)赤
VS
渡辺久江〔渡邊久江〕 わたなべひさえ(AJジム)青
2004年6月27日(日) 東京 竹芝ニューピアホール
ライトフライ級 キックボクシング 2分5R
大島椿 おおしまつばき(JMTC/J-NETWORKレディース2位)赤
VS
ナムワーンノーイ・アールサヤーム(タイ)青
本日は、歌うムエタイ姫ことナムワンノーイ選手の日本人選手との対戦を見てみましょう。
ナムワンノーイ選手はローティーンのころからムエタイのリングで活躍し、いくつかのベルトを取りつつ、アイドルグループ『4TEEN フォー・ティーン』の看板として芸能界デビュー。2002年〜2004年ぐらいまでは歌手活動とムエタイをかけもちしていました。渡辺選手と戦った当時の年齢は16才。
渡辺久江選手は前年の2002年に黎明期の女子MMAでデビュー。この試合までに12戦をしていますが、半分以上がMMA(というか当時は『女子総合』と呼ばれていたもの)で、ボクシングが3試合。キックボクシングはわずかに2試合のみという状況でした。23才。
結果はスプリットで渡辺選手の判定勝利。日本では「快挙」「すごい」とする報道がある一方で、「相手は(アイドルの)キワもの」と書くライターもいたりしました。当時はネットの動画もなく、試合の本当のところはわかりませんでした。
現在、この動画で第3ラウンドまでを見ることが出来ます。ムエタイで大事な後半を見れないのは残念ですが、それでも興味深い内容です。
ムエタイの基準で普通に見ればナムワンノーイ選手が多数のキックと的確なヒザ蹴りでとても有利な戦い方をしていますね。いい選手です。決して「キワもの」ではありません。正当な技術とガッツを持った選手です。この当時の彼女が現在にタイムスリップしてきてもかなりいいところまで行くと思います。
そして、キック2戦しかしていなかった渡辺久江選手の戦いぶりも見事。この当時のパンチはまだ粗いですが、ローは非常に効果的。数は少ないながら高い蹴りもヒザ蹴りもちゃんと出せているし、ムエタイでも戦える素質があることが分かります。当時はいまと違って立ち技業界が低迷期で、彼女にキックやムエタイの試合機会があまりなかったのが惜しいです。
前半のペースのままではナムワンノーイ選手の勝ちですが、動画には入っていない第4、第5ラウンドでおそらく渡辺選手がパンチとローで逆転したのでしょう。通常はパンチとローキックでは勝てませんが、かなり押しまくって相手の様子にダメージが認められれば勝てることもあります。
次の動画は、ナムワンノーイ選手が来日しての対大島椿戦です。キックルールではありますが、ナムワンノーイ選手が蹴りまくって完勝。大島選手もいい選手ですが、それをナムワンノーイ選手が上回っているのが分かります。最後は女子総合の藤井恵選手とのエキシ。
動画の前半にはナムワンノーイ選手の12才ぐらいからの試合がありますが、試合ごとにお客さんが増えているのがわかって面白いです。2000年代初期の女子ムエタイの貴重な記録です。
現在もタイの歌姫として活躍中のナムワンノーイ選手、というか、歌手のクラテーさん。もう、ムエタイに戻ることはないでしょうが、彼女が正当な実力者だったことは覚えておきたいです。
インターナショナル女子ライトフライ級王座決定戦
ムエタイ 2分5R
×ナムワーンノーイ・サックブンマー〔アールサヤーム〕(タイ)
判定 1−2
○渡辺久江〔渡邊久江〕 わたなべひさえ(AJジム)
渡辺久江選手の判定勝利
ライトフライ級 キックボクシング 2分5R
×大島椿 おおしまつばき(JMTC/J-NETWORKレディース2位)
判定 0−3
○ナムワーンノーイ・アールサヤーム(タイ)
ナムワーンノーイ選手の判定勝利

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