観客席視点からの立ち技系女子格闘技
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富田美里・フジメグの一戦を振り返る

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 先日の富田美里藤井惠の一戦について、いろいろな意見・感想があるようですが、どうも発表されている記事のほとんどが、いろんな思惑や感情に左右されているようで、試合の記事としてはどうなのかな、という印象です。というわけで、ウチはウチなりにここであの試合を検証してみましょう。
富田美里対藤井惠

 まず、前回も書きましたが、一口に言って、あの試合は藤井選手の善戦です。あのルールで戦う限り、藤井選手の負けは当然であって、結果にはなんの驚きもなく、むしろ内容的には、藤井選手の勝つ可能性もかいま見ることが出来たわけで、それを評価したいと思います。藤井選手の負けをことさらに強調し、内容を否定するような論調はまったく支持できません。

 同じく総合のMIKU選手がシュートボクシングのレーナ選手とキックルールで戦ったときは、MIKU選手はキックルールで三試合目でした。そして、そのMIKU選手はレーナ選手と引き分けるのがやっとでした。今回の藤井選手はシュートボクシングでは初めての試合ですから、シュートボクシングの選手を相手にして勝てと言うのは無理な話なのです。藤井選手が総合で15戦の戦績があると言っても別競技ですし、圧倒的に多いキャリアとも言えないので参考にはなりません。

 総合にも打撃はあるとは言え、立ち技の打撃とは本質的に違います。さらに、藤井選手は総合の中でも、打撃に比重を置かないスタイルの選手ですから、打撃オンリーで戦うことには非常に無理があります。

 そこで、投げも絞めも関節技もあるシュートボクシングで戦うからには、そこに活路を見い出したいわけです。あるプロのライターは、藤井選手が投げまくって関節極めまくって圧勝すると思った、とまで書きましたが、ここでもまた総合の経験は参考にはなりません。

 藤井選手は総合の試合ではあまり投げを使っていないのです。また、藤井選手はもともとは柔道の人ですが、打撃用グローブを着用し、道着がないシュートボクシングでは、柔道の投げはそのままでは使えないのです。

 絞めや関節技も同じです。藤井選手が修得しているのはグラウンドでの絞めや関節技であって、立ちで使用した実戦経験はほとんど無いでしょう。シュートボクシング全般を見ても、立ち関節で決まった試合はごくごく少なく、非常に高度な技術が必要なのはファンなら誰でも知っている通りです。

 以上のように、どこから見ても藤井選手に有利な材料は一つもなく、その中で藤井選手は良く戦いました。後退しながらもカウンターのパンチがいくつか綺麗に決まっていました。投げるぞ、という気迫と姿勢は誰にも伝わりましたし、投げてポイントを奪ったら勝てた可能性のある試合です。逆に言えば、ポイントが入らない限り勝ちはありませんでした。判定は妥当でしょう。しかし、敵のリングで勇敢に戦った試合でした。

 そして、富田選手ですが、こちらは反対に、負けられない、勝って当然、というプレッシャーに良く耐えました。藤井選手の意表を突いた動きに良く対応しました。バックを狙われたときの逃げ方は見事でしたし、全ラウンドを通しての攻撃的な姿勢も高い評価になるでしょう。

 しかし、これは金星ではありません。デビュー戦の相手に勝っただけです。富田選手は、この一戦に満足することなく、より高い目標に向かって歩み続けて行くでしょう。期待します。
 
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