観客席視点からの立ち技系女子格闘技
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2009年に第2回女子プロボクシング大会G Legendは必要?

 Boxing

FINALLY 最近、ひとに会うと、年のはじめということもあってでしょうか「ことしもG Legendみたいな女子ボクシングの大会が開かれるといいね」と言われることが何回かありました。でも、QR的には・・・そうは思わないんで。

 一般的に、女子のプロ格闘技って、試合を組むこと自体が非常にむずかしいのです。男子の大会に女子マッチを組むと、その分、男子のカードが減りますね。たとえば、3試合女子カードを作ると、6人の男子選手の出場機会が無くなる。するといろんな不満が出てくる。

 ですから、キックや総合の大会の中での女子マッチは、普通は1試合、多くても2試合ぐらいが限度と言われています。でも、それでは、女子の選手の出場機会が少なすぎて選手の育成が出来ません。そこで、キックや総合の世界では、女子だけの団体というものが必要になってくるわけです。

 しかし、女子だけの大会の運営は、すごく大変。キックの女王といわれた熊谷直子選手の全盛期でも、女子だけのキックボクシングの大会は2回しかありませんでした。その後、『ガールズショック』や『天空』といった女子大会がありましたが、いずれも短命。このような女子キックの歴史を考えると、現在の『J-Girls』さんの活躍はじつに驚異的で、きっと、すごい情熱でいろんな御苦労を克服しておられるのだと思います。

 こうした事情と女子ボクシングを比べてみると、そんな苦労をしてまで女子大会を開くメリットがあるのかということになります。キックや総合では、男子大会の中での女子のワクが小さすぎるために女子団体の必要性が有りましたが、ボクシングの場合は、現状を見ると、充分に女子にも出場の機会が有りますね。

 ボクシングはキックや総合とくらべものにならないくらいに大会が多いので、女子のカードも組みやすいのだろうと思います。また、もちろん、急速に女子への理解が深まっているということもあります。

 去年は、男子といっしょの大会で、女子が2試合~4試合おこなわれたことが何度もありましたし、中には過半数が女子の試合であったり、男子を押さえて女子がメインを飾った大会もいくつかありました。これはボクシングだけで見られることで、キックや総合では、絶対にありえないことです。

 こんな恵まれた状況にあるボクシングで、女子だけの大会をやる必要がありますか?

 また、女子だけ大会には、運営の苦労以外にもデメリットがあることも見逃せません。

 キックや格闘技の女子だけ大会を形容する場合に「華やか」ということばが使われることが多いですが、これは別の言い方をすれば「空気が甘い」ということで、「殺気がない」ということにもつながり、格闘技的に言えば致命的な欠陥です。

 なぜ女子大会がそうなるのかについては、長くなるのでここでは触れませんが、男子の大会のなかで、いろんな選手に出会い、ハングリーな、血に飢えた空気を共有することは、選手として絶対に必要なこと。海外には女子だけ大会はほとんどありません。海外に呼ばれて雰囲気にビビることのないように、ふだんから慣れておかなければなりません。

 さらには、日本、そして、世界の頂点を目指そうという高いモチベーション、高い技術を持った人たちと同じリングに立つことが、大変な刺激になります。

 そして一番大事なことは「なんだよ、女子マッチかよ」的な感じのお客さんに「女子マッチはすごい」と思わせる機会があることです。

 女子だけ大会には女子に理解のある人しか来ないので、何回大会を開いても女子への新しい理解者は生まれないのです。

 アメリカでは去年の6月に『FINALLY』という女子だけのボクシング大会が開かれて、話題になりました。しかし、その大会は、普通の大会ではなくて、世界タイトル保持者がずらりとならんだスペシャルな大会だったのです。日本でもそんな大会が出来るようになる日まで、第2回女子プロボクシング大会『G Legend』は必要ない、と思うのです。

qbar

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