Boxing
我らがワールドカップ日本代表『サムライ・ブルー』は、大会前こそ「史上最弱」「1勝も出来ない」と馬鹿にされ、期待感最低のまま世界の本番に臨みましたが、フタを開けてみれば選手のがんばりによってアフリカの強豪カメルーンを倒し初戦を勝利で飾りました。
翌日の新聞、テレビ、ネットのニュースサイトはどこも恒例の「てのひら返し」で勝った!勝った!と大騒ぎ。「これこそサムライ魂」と持ち上げました。
勝っても負けても騒げば仕事になるマスコミの人たちはそれでもいいかもしれません。しかし、サッカーの好きな人にとっては話はそんなに簡単ではありません。
ボクシングで言ったらラッキーパンチみたいなゴールで勝った試合でしたが、ラッキーパンチで何回も勝てるボクサーがいないのと同じで、ラッキーゴールで何回も勝てるサッカーチームもありません。
試合の勝利を見て「うわーっ!勝ったぞーっ!」と喜ぶのはもちろんいいんですが(QRも喜びました)、その喜びをこれからも味わうためには、本当に日本サッカーが強くなること。それが大事です。
それで、まあ、思うんですが、日本のサッカーやボクシングが強くなるにはナントカの一つ覚えみたいな「サムライ精神」はもういいんじゃないかと。
日本の「文化と伝統」の看板みたいになっているサムライですが、実は日本の歴史の中で、サムライの人口は多い時でもほんの数パーセント。ということは、日本人の大部分の人のご先祖様はサムライではありません。
サムライだ、武士道だと言っても、そうした特殊な階級にいた少数の特殊な職業の人たちの倫理観や価値観であり、日本人全体が「サムライ意識」や「武士道精神」を共有していたような時代は、日本の歴史上は実は一度もありません。
サッカーやボクシングのような明確に勝ち負けのある世界では、なんとなく勇ましいイメージの「サムライ」という言葉がピッタリくるように思われているだけで、実はサッカーやボクシングの強化はもっともっと地味な作業なのです。
サムライはイクサになれば命を投げ出して戦い、勝てばヒーローですが、負ければ責任を取ってハラキリ。
日本のサッカーも、負ければ監督が「責任を取って」辞任。その監督が選んだ選手の多くも彼といっしょにクビ。ボクシングも無理めな世界王座に挑戦に行って負けてそのまま引退というのをよく見ます。・・・サムライのハラキリ文化そのままですね。
でも、負けてやめちゃうことが本当に責任を取ることになるのでしょうか?
負けてこそ学べる貴重な体験が、受け継がれないまま無駄に失われていくのではないでしょうか?
サムライはハラキリでいいとしても、日本人の真のルーツである農耕民族の考え方からすれば、失敗して投げ出すのは最低の行為です。
農耕では失敗しようがなんだろうが、石にかじりついてでも自分たちの田んぼや畑を守らなくてはなりません。
間違いを反省し、失敗の原因を究明し、技術を改良して田んぼや畑を広げていくのが農耕民族のやり方です。そうやって生き抜いて来たのが日本人なのです。
サッカー岡田ジャパンは代表選手選抜の基準や、強化プラン、システムや戦術などが見ている人に伝わらず、何をやりたいのかわからないチームと言われています。
ワールドカップが終われば岡田監督は辞めるでしょう。何をやりたいのかわからないチームは、何をやりたいのかわからないまま解散するのだとしたら、あとには何も残りません。
お辞めになる前に、この数年で得た経験などを、誰にでも分かるカタチで本などにまとめてあとに残すことを岡田監督にはお願いします。それが今後のサッカー界の田んぼや畑になり、明るい未来を作るのです。腹を切ってハイさよなら、は勘弁してください。
2008年に「ブーム」を目指してスタートしたJBCさん体制の女子ボクシングは、既存の選手を次々失い、新人選手、ファンの支持、スポンサーの獲得に失敗し、戦力維持のための最低試合数さえ確保出来ず、ついに「全国トータルで一ヶ月に1試合」という異常事態にまで落ち込んでいます。
コネと力関係だけで世界戦や東洋戦が組めてしまう日本のボクシング界のシステムは、プロ意識不十分な未熟な選手を実力に見合わない大舞台に送り込み、それを見た一般のお客さんたちは「女子ボクシングは面白くない」という結論を出しました。
女子ボクシングをスタートするにあたっての支援システムや中・長期の育成強化プランなどを何も持たず、現有戦力での突撃だけを繰り返しながら消耗し、今、女子の試合は消えていこうとしています。
なんで育成の前に世界挑戦なのか?プロの心得さえない者をプロ扱いするのか?
これは女子だけに限ったことではなく、ノープランの一発狙いのサムライ運営は男子でも同じ。そうした興行で評価を落とし、ファンの支持、スポンサーの獲得に失敗しているのは男女共通です。
草木もはえないとは、このことでしょう。
外国のボクシングや、ほかのスポーツにも、選手の育成法やイベントの運営論、ファンとのコミュニケーションを学び、アマチュアとの対立をやめ、アマからプロへの健全なレールを築き、遅れている技術の発展を促し、公正な運営を心がければ、長い時間はかかっても必ず結果はついてくると信じます。
「今は不景気だから」の言い訳からは何も生まれません。自分の足もとに新しいタネをまいて育てましょう。サムライの多くも、実は半農だったのです。
コメント
この間の内山選手とツナミ選手のW世界戦、興行面では酷かったらしいですね。花束贈呈ナシ激励賞ナシ、しまいには内山選手の試合が何故だかメインじゃなくてセミ!内山選手の試合終了後に大半の観客が帰りだしたらしいですね。これじゃ選手が可哀想ですよ。JBCのあまりの頭の硬さには呆れます。JBCも女子を強化したのなら、一度女子キックでも観戦してみるといいのですよ。今女子キックは興行面で成功してる様ですし、ある意味参考になるはずですから。今日本のスポーツ界は女子選手の活躍が目に付きますが、ボクシングだけが遅れてますよ。今サッカーのW杯で盛り上がってますが、周囲の中には岡田ジャパンよりなでしこジャパンの方が見応えある話も聞きます。JBCも頭を柔らかくしないと、置き去りになりますよ。そうでなくてもボクシング人気は下降してるのですから。
日本のボクシング界はいろんな意味で頭が固いですね。ツナミ選手の試合順が男子ノンタイトルより前だったということはその象徴でしょうか。
個々の大会の試合順とか演出は基本的にはそれぞれのジムがやっていることでJBCさんではありません。でも、JBCさん認定のリングアナウンサーを使わなければならないという規定があるので、イメージ的にはJBCさんがやっているように見えますね。
日本の女子キックは、まだ興行的に成功しているところはないかもしれません。でも、明るく活発な感じを与えることには成功しているので、これは成功への第一歩になるでしょうね。
その明るいイメージは次々に新人がデビューしていることからきていると思います。
これは、キック系に人材を提供しているキックジム、空手道場、格闘技ジム、ムエタイジム、テコンドー道場などが、ボクシングのジムとは比較にならないくらい女子に好意的で偏見が少ないという理由がありますね。
そして、ライバル団体やほかの格闘技の団体への選手の参加が自由ですので、試合機会が多く、話題として取り上げられることにもつながり、リングが活性しています。★続く★
★続き★
女子キックのちゃらちゃらした演出は発展へのブレーキだと思いますし、戦力的に海外に大きく遅れを取っている事実はボクシングとかわりませんが、現在成長過程の有望選手数人がいますので将来は楽しみですね。
サッカーの話で言えば、QRも岡田ジャパンよりもなでしこジャパンのほうが好きです。大好きです。ハッキリした戦略が見えますし、着実に強くなっていて見ていて楽しいです。
もしも、ボクシング界に本当になにかを見習う気持ちがあるのなら、女子レスリングが最適でしょう。
プロレス会場でのエキシなど、地味で、ある意味屈辱的ともいえるPR活動をなんとも思わずにやる情熱、長い年月をかけた選手育成、そして、開放的でつねに新しい情報を豊富に提供し続ける姿勢。
財政的に決して恵まれなかったなかで、現在の成功を勝ち取るまでの苦労は半端なものではなかったでしょう。
まさに自分の手で田んぼを開いて畑をおこし、種をまきながらここまで来た人たちです。
日本レスリング協会さんは本当に素晴らしいと思います。
日本のレスリング界は完全に男女逆転してしまいました。勿論、まだ色々課題や危機感はあるはずです。柔道だって女子選手の活躍で保ってます。サッカーだって男女逆転はそう遠くないでしょう。今年スタートした女子プロ野球だって予想以上の人気らしいです。一般社会だってこの不況の中女性を管理職に昇進させたら、業績向上した企業だってあります。運送業や建設業だって女性を採用したら、会社が華やかになったとか、男性従業員がやる気出し始めた話だって聞きます。ボクシング界も他のスポーツ界や一般社会に目に透さないと、本当に置き去りにされますよ。女子選手だって頑張ってるのですから。