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事件発生!どうするWBO? アン・ソフィー・マティス VS クリスティーナ・ハマー 動画 世界ライトミドル級タイトルマッチ ボクシング女子

 Boxing

2014年7月26日(土)ドイツ デッサウ

WBFedライトミドル級タイトルマッチ
WBOライトミドル級王座決定戦
WBFed王者 アン・ソフィー・マティス(フランス)
VS
挑戦者 クリスティーナ・ハマー(ドイツ)

 WBO、WBFed二団体ミドル級統一王者クリスティーナ・ハマー選手(ドイツ)はデビュー以来17戦全勝。世界的に見ても選手の少ない女子ミドル級ではついに戦う相手がいなくなったようで、昨年はひとつ階級を上げてスーパーミドル級で戦い、今度はひとつ落として7月26日にライトミドル級の世界王者アン・ソフィー・マティス選手(フランス)のベルトに挑みました。

 この試合にはマティス選手のWBFedのベルトがかけられたほか、WBOの王座決定戦にも認定されており、ハマー選手が勝てば現在保持しているミドル級のベルトを含め二団体二階級の同時制覇という偉業。しかし、下の階級に挑んで敗北の場合は現在保持している王座も剥奪となりますので非常にリスクの高いチャレンジであります。

 そしてこの試合で事件は起きました。試合全体を見たい方は最初の動画を、問題の部分だけを見たい方はその次の動画をご覧下さい。


 マティス選手は長身から繰り出す必殺の強打で栄光を築き上げて来たボクサーで、世界最強と言われたホリー・ホルム選手(アメリカ)を失神KOで破った一戦はあまりにも有名。その後、ホルム選手とのリマッチで黒星、技巧派のスターセシリア・ブレークフス(ノルウェー)選手にも苦杯を喫しましたが、その強打に衰えはありません。

 マティス選手はハマー選手にとってまちがいなく過去最強の相手。しかし、ハマー選手はマティス選手にまさるとも劣らないフィジカルの持ち主で、しかも、大型選手でありながらその本質は基本に忠実で正確なドイツボクシング。その技巧を駆使すればマティス選手攻略の目はあります。

 ハマー選手は序盤から高速ジャブを飛ばし、隙あらば右の追撃を狙っていく正統派の戦い方。しかし、少しでも接近すると打ち合いは避けてクリンチ。これは対マティス戦用の作戦なのでしょう。

 両者のキビキビとした動きで緊張感が続きますが、あきらかにハマー選手のクリンチが多い。時にはクリンチではなく、あからさまに相手の腕につかまるようなホールディングもありますがレフリーはハマー選手になんの警告せず、逆にマティス選手になにやら注意を与えています。

 妙な雲行きだなあと思っていると、5ラウンド早々にハマー選手がマティス選手の左腕をホールディング。しかし、これが相手に自分の横を見せ、さらに距離を与える実にマズイ形です。自分より背の低い選手との対戦が多く、相手が自分の腕にぶら下がることはあっても、その逆はなかったハマー選手。実にへたくそなホールディングです。ふだんやりなれないことはやるものではありませんね。

 マティス選手は空いている右手でハマー選手の側頭部に3発4発とパンチ。5発めを叩き込んだところでハマー選手ダウン。そのまま立ち上がれません。マティス選手のKO勝利という状況。しかし、ドイツ人のレフリーは反則の後頭部パンチがあったというジェスチャー。

 試合はマティス選手の反則失格でハマー選手の勝利。マティス選手のWBFedベルトはハマー選手に移行し、新しいWBOのベルトも与えられて微笑むハマー選手。この時点では本人はどんなパンチを受けたか分かっていませんから、なんの屈託も無くニッコリしています。けれども画面で見る限りは反則(ホールディング)をしているのはハマー選手のほうで、マティス選手は側頭部への正当なパンチを打っており何も反則はしていません。

 当然ながらマティス選手陣営は試合の認定団体であるWBFedさんとWBOさんに抗議。その結果、WBFedさんはこの試合を 1マティス選手に反則は無い 2レフリーがハマー選手のホールディングに注意を与えていない 3レフリー以外にジャッジ2名もドイツ人であったなどの理由によりハマー選手の勝利を取り消し、この試合をノーコンテスト(無効試合)であると決定しました。

 WBFedさん、大変良い判断だと思います。ボクシング界では「一度下された裁定は変わらない」といわれますが、その悪癖を断ち切る良識ある最終決定です。

 マティス選手のWBFedのベルトは本人の腰に戻り、王座はいままでのままです。また、WBFedさんは二人の再戦を強く求めています。

 しかし、WBOさんは試合結果や試合内容の見直しに関してなんのアナウンスもしていません。というわけで、二団体が公認したひとつの試合に現時点では「ハマー選手勝利」と「無効試合」のふたつの違った結果があるというなんとも異常な事態になっています。このまま黙っているわけにはいかないと思いますが、WBOさんはいったいどうするつもりなのでしょうか?

 当ブログではWBFedさんの決定通りこの試合は無効試合として扱います。

 なお、Boxrecさんでも無効試合の表記ですが、ウィキペディア(英語版)さんなどではハマー選手勝利扱いというようにネット上でも混乱があります。

WBFedライトミドル級タイトルマッチ
WBOライトミドル級王座決定戦
WBFed王者 アン・ソフィー・マティス(フランス)
無効試合
挑戦者 クリスティーナ・ハマー(ドイツ)

この試合を含む両者の戦績は以下のとおりです。
アン・ソフィー・マティス(フランス)31戦27勝3敗23KO1無効試合
クリスティーナ・ハマー(ドイツ)18戦17勝8KO1無効試合

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