10月6日に吉田実代選手と高野人母美選手の試合がありました。この試合が決まった時、当ブログQRでは希望の光に輝く本当のガチカードと書きました。
いまの日本の女子ボクシングには(特に6回戦以上のBやAのクラスには)やる前から結果が分かるインチキ試合が溢れかえっていて、見る価値が無いものが多すぎます。
具体的には、タイの素人バイトさんを使った勝率約100パーセントの鉄板カードが代表的ですが、タイトルマッチでも対戦相手が明らかに経験不足だったり、下の階級の体格の小さい選手だったりということが多く、最初からいい試合になる可能性がほとんどありません。
そんな中で、高野選手と吉田選手の試合はどちらが勝つか簡単に予想がつかず、しかも、どちらも絶対に勝ちを狙っている状況での一騎打ちで、さらに、世間の注目度も高く、久々にヒリヒリするような期待感に満ちていました。
結果は、吉田選手が高野選手の距離には一切立たず、最初から最後まで猛然と突き進んではクリンチという、実に泥臭い戦法で僅差の判定勝ちを引き寄せ、日本女子王座の獲得ということになりました。
内容的にはともかく、ガチ度は100パーセントの純粋な戦いで、その意味では実に面白い試合でした。全然名勝負では無いし、振り返ってもう一度見たいという試合でもありませんが、見ていた時は純粋に勝負として面白かったです。「リアルな勝負」が見られました。
ここからもう一度スタートだと思います。日本の女子ボクシングは。
嘘とデタラメを離れたガチの勝負として。
今回の高野選手と吉田選手の試合には、日本の等身大の女子ボクシングの実力をはっきり見せてくれたということで、実に大きな意味がありました。
高野選手のパンチは1発で流れを決定する威力を持つ本当にすごい武器なんですが、そのことを吉田選手はよく知っているので、十分に警戒してああいう戦法を取りました。
以前、ハードパンチャーの小関有希選手とリマッチを戦った時も吉田選手は前進戦法を使いましたが、その時は進みながらも結構打っていました。しかし、今回はあまりにも猛ダッシュなので一回の前進に1発ぐらいしか手を出していないという状態。それだけ高野選手のパンチに警戒を払っていたということです。
ダッシュして高野選手のフトコロに入ったら、すぐにクリンチ。これでは高野選手はまったくパンチを出すチャンスがありません。
では、高野選手は突進してくる相手をどうすればよかったのか?ふつうに考えて、左右に自分が動いて攻撃線をはずし、サイドの死角から反撃ですよね。
これは試合のなかで偶然にそのような形となった一瞬なんですが、この相手との角度を偶然じゃなくて意図的に作り出し、側面からあのパンチを叩き込めば高野選手の勝機となったでしょう。
しかし、そういう動きが実際に可能なのかと言えば、いまの日本の女子ボクサーでちゃんとそれが出来そうなのは全階級でも天海ツナミ選手、宮尾綾香選手、小関桃選手、藤岡奈穗子選手ぐらいしか思い浮かびません。
そのぐらいのレベルなんですよ。日本の女子ボクシング。
どうしてその程度になってしまったのかと言えば、
6回戦以上になると日本選手同士を戦わせない
かわりに外人選手を呼ぶ
まともな外人選手は高いので呼ば(呼べ)ない
安いインチキなアジア選手を呼ぶ ということが原因なのは明白です。
結果、世界のレベルを知らないままにアルゼンチンやメキシコやドイツの選手と戦い、無策にも相手の正面に立って、手も足も出ないで完敗。
当たり前ですよ。
まともな外人女子選手を呼べないのは、マッチメイカーにその能力が無いのと、安く呼ぶと自分の取り分も少なくなるのでそういう仕事はしたくないということなのでしょう。
いまどき、海外のボクサーや、マネージャーと、関係者ならメールひとつでいくらでも交渉なんかできるのですが、日本の業界では海外の選手を呼ぶ時は「マッチメイカーを通す」というお約束があるので、わざわざ無能で悪質な彼らに一枚噛ませてしまい、タイのバイトさんをつかまされてしまうのです。
また、業界が日本女子と海外女子の大きな実力差を一切認めようとせず、いつまでも現状を受け入れないのも問題です。
以前、アルゼンチンからジェシカ・ボップ選手とエリカ・ファリアス選手が来日して、富樫直美選手、小関桃選手、ライカ選手を相手にスパーで圧倒的な実力差を見せた時も、冨樫選手の所属していたワタナベジムの会長さんはその差を認めなかったそうで・・。ボップ選手はトップ中のトップですから比較するのは酷ですけど、でも、明らかに埋めがたい差がありました。
今回、古川夢乃歌選手がアルゼンチンでレオネラ・ユディカ選手にほとんど一撃も与えられず、自由自在に動かれて完敗しましたが、ボクシングメディアの報道は「古川夢乃歌がアルゼンチンで善戦」「レフェリー、ジャッジともアルゼンチン人という完全アウェーのなか、2階級制覇を狙い初回から果敢にプレスをかけた」だそうです。
どこが善戦なんですかね?まったく1ラウンドも取れない内容で。プレスなんて少しもかかっていませんけどね。ジャッジがナニ人だろうとこれは大差判定の試合だと思いますよ。
もう、海外の試合でも簡単に動画が見られる時代なんですから嘘はやめましょうよ。
ふだんは噛ませのアルバイトさん、「世界タイトルマッチ」でも国内選手とやらせ、海外の選手に負けても事実を認めないぬるま湯体質。
そして、まともな外人選手を適正価格で呼べない三流マッチメイカーが利権を持っているいまの業界の制度。
こんな状態では日本の女子ボクシングは強くなれるわけがありません。
うちは業界となんのつながりもない単なるファンの立場なので本当のことを書けますけど、ライターさんは何も書けないでしょう。
こうしてメデイアが死んでいくと、そこはもう終わりなんですけどね。
コメント
ナベキン「古川のWBAは剥奪かも・・・」。
いや、その前に返上しないと。ちなみにすでに暫定王者ミラノがいます。
小関選手も、アトム級王座保持したまま?黒木に挑戦とか。
藤岡選手 12・1後楽園ホール 一度は流れた IBF JLM級王者バーリエと WBO女子LF級王座決定戦予定。なおWBA F級王座の方は、古豪Iサンチェス選手が暫定王者に。
>g1j2p5i5さん ワタナベ会長そんなことを言っているんですか。剥奪は「かも」じゃなくて、もう決定でしょう。ベルト初防衛のあと9ヶ月の義務期限は切れているということで・・。
本来は返上してからのタイトル挑戦が筋でしたね。実際、アトムからフライに行ったらもう元の体重では出来ないでしょうし。遅かれ早かれ古川選手のベルトは消滅決定。日本人とやりとりしただけの世界ベルトでした。
小関選手もWBCアトム級の防衛期限を超過しますから剥奪ですね。返上しないでしょうから。
WBO王者の池山選手が次の防衛戦でWBC/WBAも統一認定されちゃえばスッキリするんですけどね(笑)。
最軽量級は選手数少なくていくつも王座があるとタイトル戦が組めなくなるのですからプロレスの三冠ベルトみたいにひとつのセットにしてしまえばいいんですよ(マジ)。四冠パックにして年に一回防衛。池山選手は公務員でファイトマネーもらってないので認定料も安くしてもらいたいですね。
>金平会長のツイート
「昨日、高野人母美からLineのみにて、協栄ジムを辞めて、アメリカにてボクシング活動すると報告がありました!
去る者追わず!
健康に留意されたし」
いくら研鑽しても性格・常識だけは 直しようがないということでしょうか?
>g1j2p5i5さん うわ。おどろきました。
日本のジム制度にはいろいろ問題がありますからジムとうまくいかないのは仕方ないにしても、こういう辞め方ではもう彼女の日本国内でのボクシング活動は(自主興行以外は)無理ですね。海外だけの活動は、世界ランカー中村チカ選手の例がありますが、かなり難しかったようです。
高野選手がどういういう人かはわかりませんが、判断にはいろいろ問題あると思います。
今後ほんとうにボクシングをやるなら頑張ってほしいですが、これで引退の可能性の方が大きいでしょう。残念です。