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藤岡奈穂子選手が12月1日の王座決定戦で獲得したばかりのWBO女子ライトフライ級王座を返上したとスポーツ各紙が報道しました。
記事によれば「WBA女子フライ級王座の防衛に専念するため」だそうです。
どこの記事もだいたい同じで、所属ジムからの発表をそのまま書いているだけのあっさりしたもの。
だけど、コレはとんでもないことです。
取ったばかりのベルトをこんなにすぐに手放すということは、最初から防衛する気は無かったということ。ボクサーがベルトの価値を否定するわけですからこれはNG。このベルトを欲しいのではなくて「5階級制覇」という肩書きが欲しかっただけなんですね。
藤岡選手が5階級制覇をしたかった気持ちは分かります。関連記事でも書きましたが、藤岡選手は過去に「強いやつと戦う」「大きな会場で勝つ」という偉業にチャレンジしました。
しかし、強いやつと戦っても国内の反応はゼロに等しく、海外の大会場で勝利しても国内の反応はイマイチでした。
でも、そのあと「4階級制覇」を目指して後楽園ホールで弱い相手と戦ったときは会場は満員になり、メディアの反応も良好だったのです。よっしゃー、それじゃ次は5階級制覇だ、となるのも無理はないと思います。
で、5階級制覇を成し遂げ、対戦相手のヨカスタ・ヴァイエ選手も女子軽量級にしてはなかなかの選手で試合自体の評判も良く、藤岡選手はこのベルトを大切にしていくのかな、ベルトの価値を高めていくのかな、と思った矢先の返上発表。
このベルトにはいずれ天海ツナミ選手が挑戦することもWBOさんが公式に発表しており、ファンもそれを楽しみにしていたのに、いきなりの世界王座放棄・・。唖然です。
むかしの藤岡選手なら強いやつとの対戦が決まったら喜んで受けたと思うんですけど、いまは違うんですね。
負けたら面目丸つぶれですけど、それはツナミ選手だって同じこと。というか、それがプロボクシングです。「絶対に負けられない戦い」に片方しか勝てない非情な世界ですけど、ファンはそれでも戦うボクサーが見たいんです。
まあ、藤岡選手にも同情すべき理由はあります。日本にはJBCさんという組織があって、そこがボクサーの引退年齢を37と決めています。それを越えている人はチャンピオン以外は引退が原則なんです。
だから、もし、ツナミ選手とやって負けたら、藤岡選手は王座を失い、それは42才の彼女にはボクサー引退を意味します。
それは出来ないですよね、自分のこととして考えれば。
でもね、今回、藤岡選手はWBOを捨てて、今後は3月に取ったWBAのほうの防衛をすると言っていますが、本当はもうそのベルトの初防衛期限(原則6ヶ月)はとっくに切れているんです。だから、いつ剥奪されても文句は言えません。
剥奪されたらチャンピオンじゃなくなりますからJBCさんから引退勧告がきます。そのへんはWBAさんと「もうちょっと待って」という話は付けているのでしょうか?
話が付いているとしてもそうそう待ってはくれないはずです。経済的に苦しいチェ・ヒョンミ選手や、階級的に層が薄くて対戦者探しが難しいハンナ・ガブリエル選手あたりは結構待ってもらったみたいですが、容赦なく剥奪される選手もいますから。
最後に、現役WBA女子王者の戴冠から初防衛までの日数の実例をあげておきます。これを見ればすでに戴冠後9ヶ月を過ぎ、さらに「待って」という立場の藤岡選手がいかに危ういところにいるかがわかるでしょう。
ライトミニマム級 古川夢乃歌(ワタナベ)現在戴冠後12ヶ月が過ぎているので返上または剥奪が決定的
ミニマム級 アナベル・オルティス(メキシコ)戴冠後4ヶ月
ライトフライ級 ジェシカ・ボップ(アルゼンチン)暫定戴冠後4ヶ月
フライ級 藤岡奈穂子(竹原&畑山)現在戴冠後9ヶ月経過
スーパーフライ級 リンダ・レッカ (ペルー)暫定戴冠後3ヶ月
バンタム級 マイヤリン・リヴァス(ベネズエラ)戴冠後4ヶ月
スーパーバンタム級 リリアーナ・パルメラ(コロンビア)先月戴冠
フェザー級 ジェリーナ・マジョナヴィッチ(カナダ)戴冠後7ヶ月
スーパーフェザー級 チェ・ヒョンミ(韓国)暫定戴冠後9ヶ月
ライト級 ケイティー・テイラー(アイルランド)戴冠後2ヶ月
スーパーライト級 アナ・ラウラ・エステチェ(アルゼンチン)戴冠後5ヶ月
ウェルター級 セシリア・ブレークフス(ノルウェー)戴冠後2ヶ月半
スーパーウェルター級 ハンナ・ガブリエル(コスタリカ)戴冠後11ヶ月
以上、現役WBA女子王者の初防衛戦までの平均的な日数は5ヶ月強です。
コメント
藤岡選手 「5階級制覇」に加え「下階級で負けたのに1年間王座保持」そして海外スター選手がよくやる「転級先の王座即返上→元階級王座保持」も日本人初です スゴイですね 年齢制限もあっていちいち返上するのが面倒になったんでしょう笑
ズボラにみえるWBAですが 今年に限れば全王者がTMに顔を出し LM級新王者?のミラノ選手も1年経ってようやく防衛戦です
ボップ選手とエステチェ選手は防衛ロードの中で負けがあります
ただ暫定王座の悪癖は WBC同様治らず 今週末4つめ(LF級)の暫定決定戦があります
>転級先の王座即返上→元階級王座保持
しかも、その元階級の防衛を一度もしてないという・・。
同時にふたつ王座をキープし、ツナミ選手や箕輪選手から対戦を求められた新しいほうを放り出して、未防衛でほったらかしてた注目の低いほうに逆戻り。
なんだかんだでデタラメ運営のWBAさんは、こういうときに便利ですね(苦笑)。
空位の決定戦はツナミ対岩川より ツナミ対チャオズが有力かもしれませんね
「試合数を犠牲にしてでも 強豪とやる」という空気が充満してる今こそ 畳み掛けるのもアリかもしれません
女子の場合「日本人対決は国内で」「強豪外国人とは海外で」が普通になってくるかも?
藤岡がいつも何かのベルトを保持しながら他のベルトに手を出すのはフェアじゃねえし、印象も良くないけど、JBCからの引退勧告よけとして必要なのはわかる。
だけど、箕輪やツナミの挑戦から逃げるためにベルトを捨てるのはさすがにねーだろよ。
藤岡さんよ、あんたがいま複数階級のベルトを巻くきっかけは山口直子があんたの挑戦を受けてくれたからだよな。
階級が違うんだからあんたの挑戦を受ける義理なんてねえのに山口は受けてくれたんだよ。そうやってチャンスつかんできたのに自分が挑戦されるとそれは受けないんだ?
いま思うと、山口のほうが試合面白いしパンチもあったし若いし、藤岡に負けて引退したのはもったいなかった。試合受けなきゃよかったのにな(笑)。
挨拶回りは WBAではなく持ち運びに有利なWBOベルト(笑
確かこの人 以前WBAベルト到着が遅いって嘆いてたんですよね・・・
何度も暫定立てられてるし・・・
逆にWBOベルトの到着早いですね。放棄も早いけど・・。
承認料もベルトの実費も安くないでしょうに、それをとっとと投げ出すとは、よほどのことですね。
>逆にWBOベルトの到着早いですね
>承認料もベルトの実費も安くないでしょうに
男子尾川もそうでしたが 決定戦の場合 ベルトは即納品?
世界戦承認料は 収入による変動もありますが 何百万
ベルトは17万前後?
次元さんの仰る「JBCからの引退勧告よけ」はなるほどと思いました。
新しい人生(現役引退後)で苦戦するアスリートのニュースとかが最近やたら見られるように思えますし。
そうなんすよ。
おれはJBCの罪がいちばん大きいと思う。
ふと思ったことなんですが
・藤岡選手側が マニアックなファン(の疑問)を犠牲にしてでも 王座保持の言い訳しないのは JBCとの軋轢を防ぐため?
・池山選手 江畑選手 好川選手の立場はどうだったんだろう?
・世界水準以上ではあるが どこか間抜けなJBCが 藤岡選手の年齢を問うぐらいなら 「下階級世界戦で負けたのに世界王座保持」の方も疑問視するのでは?
まあ小ネタとして流してもらっても結構です笑
JBCとの軋轢を防ぐ のは関係者のみなさん全員そうでしょうね。
JBCさんのやることにはちゃんと一本理屈が通っているなんてことは無いと思います。
その時その時で違うこと言ってます。
各選手それぞれ違う扱いでしょう。そういうとこなんです。
意思統一無いと思いますよ。
>宮城 女子プロボクシング「5階級制覇」藤岡奈穂子選手凱旋
>WBO女子世界ライトフライ級チャンピオン 藤岡奈穂子 選手
>藤岡選手は今後アメリカに拠点を移すということで、年明けには現地でのトレーナーやプロモーターを探すためアメリカに渡るということです。
この人 今WBO王者なんでしょうか?それともWBA王者?笑 公の場ではWBAベルトも持参すべきだと思いますが バレ選手も可愛そうですね 吉川晃司もそうですがまわりには助言してくれるようなファンがいないみたいですね というか聞く耳持たない笑
矛盾には矛盾で返すメンタル強い藤岡選手のこと WBAの手厚い看護(防衛戦不履行2年位までOK)のもと きっと米国でも活躍してくれるでしょう
んー、そう来ましたか。
アメリカ行けば年齢制限とかありませんからね。
ほかの選手でアメリカ行きたいって言ってた人もいたので、そのことについて書こうと思っていたところでした。
まあ、ほんとうにそういう流れが出来れば面白いですね。
藤岡奈穂子選手の5階級制覇。
詳しいことは知らなかったのですが、凄いんだろうな、と調べてみたら、マッチメークや経緯に違和感だらけ。
しかし、どの記事も、お褒めの内容ばかりで(?)。
・・・こちらのブログを拝見して、ホッとしましたw。
tkd-boxさん コメントありがとうございます。
業界のみなさんとは少しもつながりの無いところで小さくつぶやいているブログです。
少しでもファンのみなさんと本当のことを共有していきたいと思っていますので今後ともどうぞよろしくです。