Boxing
2010年3月9日(火)後楽園ホール
MG-1 ~W東洋太平洋タイトルマッチ~
OPBFスーパーフェザー級王座決定戦
水谷智佳(宮田)赤
VS
キム・ジユン[キム・ジーユン](韓国)青
このふたりの対戦は2008年12月23日におこなわれた6回戦のリマッチなのですが、カードを聞いたときに期待感はまったくありませんでした。
というのも、両国での二人の対戦はハッキリ言ってレベルが低く、その再戦が東洋のタイトルマッチにふさわしいとはとても思えなかったことがひとつ。
さらに、両国でのレフリングが明らかに水谷選手を助けていてフェアでなかったこと。そして、ジャッジもまたいわゆる『ジモハン』(地元判定)で、優勢だったキム・ジユン選手に黒星をつけ、非常に後味が悪かったのです。
1回 試合は中央での打ち合いで押されるかたちの水谷選手が簡単にコーナーまで詰められるという前回と同じパターンではじまりました。
しかし、前回と違うのはいったん押し込まれても水谷選手はその状態から打ち返しながら脱出出来るということです。
けれども、再びプレスをかけられると同じ状態に逆戻り。この繰り返しがこの日の基本パターンとして、延々続くことになります。
3回 この回も簡単に詰められてしまう水谷選手。打たれながらも前に出るキム・ジユン選手と、打たれるとまっすぐに下がる水谷選手ですからこういう展開にしかなりません。
前回より進歩があるのは事実ですが、タイトル戦としては内容が低調なことには変わりがなく、客席は試合への興味を失ってしだいに冷えていきます。
4回 この回も何も変わりません。4回終了後に読み上げられたオープンスコアは39-38、39-37、39-37で全員がキム・ジユン選手を支持。今回のジャッジは公平なようです。
5回 自身のリードを知ったキム・ジユン選手はガンガン出てきます。
しかし、水谷選手は打たれても簡単には下がらないで抵抗を見せはじめました。
6回 下がらずに打ち返す水谷選手の姿に客席からも声が飛びます。
一方、キム・ジユン選手はスタミナが切れかけてパンチの速さが落ち、打ち負ける場面も。
それでも距離を取らないで突っ込んでくるので、簡単に次々に被弾。
しかし、まだまだ戦意は旺盛のようです。ここで2回めのオープンスコアは67-67、67-66、67-66で、二人のジャッジがキム・ジユン選手を支持。
いよいよ問題の8回です。ポイントで負けている水谷選手に「がんばれ日本」の声が飛びます。リング中央でおたがい十数発の打ち合い。盛り上がる会場。この攻防は距離がつまっていったんブレイク。
ロープサイドで二度目の打ち合い。水谷選手が出て行こうとするところにキム・ジユン選手の左が命中。完全に上を向く水谷選手の顔。
直後に二人はほぼ同時に右を出しますが、水谷選手のパンチだけが命中。
打たれたキム・ジユン選手はすぐに反応して次のパンチをブロック。
ここで福地勇治レフリーが割って入って試合終了を宣言。どうしてストップなのか、さっぱりわかりません。
抗議する韓国側関係者(手前)、泣きじゃくるキム・ジユン選手となぐさめる水谷選手。会場からは「早過ぎる」「可哀想だよ」の声。いやな空気の流れる中でベルトを授与された水谷選手には笑顔がありません。両方の選手にとって気の毒な結末でした。
OPBFスーパーフェザー級王座決定戦
○水谷智佳(宮田)
8回0分43秒 TKO
×キム・ジユン[キム・ジーユン](韓国)
水谷智佳選手のTKO勝利。OPBFスーパーフェザー級チャンピオンに。
この試合の結果、両者の戦績は以下のようになります。
OPBF東洋太平洋スーパーフェザー級チャンピオン
水谷智佳(宮田)9戦8勝1敗2KO
キム・ジユン[キム・ジーユン](韓国)8戦6勝2敗3KO
(戦績はJBC公認以前からの通算です)
前回対戦記事 水谷智佳 VS キム・ジユン(キム・ジーユン) 試合結果 詳細
関連記事 水谷智佳 VS ヤン・イン 後楽園ホール 結果
関連記事 ヤン・ユーインはどこ?
コメント
しばらく前から事故続きだから早いストップでも最近はあんまり文句出なくなってるが、この日はさすがに声が聞こえた。いくらなんでもあの止め方はない。各ブログは早いと書いた。ブログ文化は健全のようだ。
ここ最近リング上での事故が続いたのと、金選手の動きが悪くなってきたから、止めたのかもね。仮に金選手が勝利しても、試合後に後遺症が出る可能性もあり得るし。先日は八巻選手が亡くなられてますし、漫画「あしたのジョー」や映画「チャンプ」の様に試合での勝者が試合後に死亡したケースも実際に起きてます。見たからには、ストップは早くても、選手の事を考慮したら、後々になって正解だった事が分かるかも知れません。
コメントありがとうございます。
>客さん
新聞社、雑誌社系の記事は結果に合わせるような内容になることが多いですね。一部では水谷選手のボディーが効いてTKOを呼び込んだように書かれていますが、本当にそんな試合だったら誰も文句は言いませんよね。
>H・Fさん
おっしゃるとおりにストップは遅過ぎてはいけません。たしかにこのストップは遅過ぎはしませんでした。それだけはよかったのかもしれませんね。
しかし、今回のように現場で猛抗議を受ける裁定の場合は、今後はその場でマイクを通しての事情説明などをするべきでしょう。
客席はもちろん、向こうのセコンドだって、選手の安全を望まない者などひとりもいません。
きちんと説明が出来るストップならばその場の空気ももっとマシなものになったかもしれません。
抗議が行われている最中にドクターチェックやベルト授与などを淡々と進め、既成事実を作ってしまおうとする権威主義的なやり方は、いまどきもう古いのではないでしょうか。