観客席視点からの立ち技系女子格闘技
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タイにおけるムエタイのイメージとその変化 「ダサい」から「かっこいい」へ

 Muay Thai

optimum ムエタイと言えばタイの国技。しかし、相撲が日本で人気ナンバーワンのスポーツでないのと同じようにムエタイも現在のタイでは人気ナンバーワンではありません

 70年代、ムエタイは非常に人気で、80年代、カオサイ・ギャラクシー選手やサーマート・パヤクァルン選手など、ムエタイの王者がボクシングでも世界チャンピオンになるとさらに人気は加熱し、彼らの試合がある日にはみんなが中継を見るためにテレビの前に座り、いつもは大渋滞のバンコクの道路もガラガラになったそうです。

 しかし、どんなことでもそうですが、人気のピークが高ければ高いほどその反動も大きく、人気選手が引退すると急激に人気は下降。そのうちに「いまごろまだムエタイを見ているのは時代遅れの人」という空気が生まれてムエタイマニアだけが残り、ボクシングに至ってはほとんど誰も話題にもしないという状況になってしまったようです。

 今のタイの人たちが好きなスポーツは断然サッカーで、英プレミアリーグやスペインリーグなどの話題が連日スポーツ紙のトップ。ムエタイは最後の方にちょっと載っているぐらいです。

 ムエタイのテレビ中継は今でもたくさんありますが、そのほとんどが全盛期のころとあまり変わらない古い感覚で作られており、インターバルに入るCMも農機具や肥料、トラクター、漢方薬などの渋いものばかりで「ムエタイはダサい」のイメージを醸し出す原因となっているようです。

ムエタイのイメージを変えるブアカーオ選手

 そんなわけで、ブアカーオ選手がK1で大人気となっても「ブアカーオ?知らないよ」「なんで日本でムエタイ選手が人気なの?」という感じ。タイの人気お笑い芸人も「なんだか知らないけど日本の女の子はブアカーオが好きなんだよね(笑)。彼はムエタイがなければただのバイクタクシーの運転手なのにね(笑)」というひどい職業差別ネタでウケていたのでした。

 カオサイ選手やサーマート選手がどちらかというと色白なのに対して、ブアカーオ選手が褐色であることも差別につながりました。肌の色が黒いことは田舎くさいイメージらしいのです。実際、タイのテレビには白い人しか出ていません。

 褐色の肌が「精悍」「ワイルド」「かっこいい」という感覚はまだあまり一般のタイの人の意識にはないのです。

 しかし・・・ブアカーオ選手をリスペクトしているのが日本人だけではなく、世界中の格闘技ファンや選手も同じだということがタイにも伝わると、タイ国内に変化が現れました。

 その中でも、タイ最大の航空会社『タイ国際航空(タイエアウェイズ)』がイメージキャラクターにブアカーオ選手を採用したのは大きかったと思います。彼は世界で一番有名なタイ人ですから航空会社としてはある意味当然なのですが、このこともタイの人の意識に作用したようです。

 日本人も自国の良さを外国の人から言われて初めて分かることが多いように、タイの人も外からの視線を感じて価値観を見直したのです。

 以前のジムをやめて独立したブアカーオ選手が自分から積極的にメディアに出たことも、彼が理知的でひょうきんな人であることを知ってもらうのに役立ちました。

 そんなわけで、ブアカーオ選手は今やいろんなCMに出続けています。上掲のスポーツドリンクのCMもその一つ。この秋には、なんとフランス系のファッション雑誌のタイヴァージョンにモデルとして数ページにわたって登場。下はその撮影風景です。これで「黒い肌はかっこいい」とすぐにはならないかもしれませんが、そんな流れにつながればいいと思います。

 また、女子ムエタイも最近は「かっこいい」ものとして認識され始めています。それには、やはりワールド・ムエタイ・エンジェルスに世界中の女子選手が参加したのが大きいです。

 今までも女子ムエタイの大会はありましたが、全員タイ選手だったり、一部しか外国人選手はいませんでした。エンジェルスはほとんど外国人選手だったのがポイント高かったのでしょう。

 一般のおしゃれ系のCMやポスターにムエタイコスチュームのモデルさんが出ることが増えてきていますし、テレビドラマの登場人物が女子ムエタイ選手の設定だったり(試合のシーンはありませんが… )、お金持ちのお嬢様がお屋敷の中でミット打ちをする場面があったり、「ムエタイはダサい」と言われていたことが過去のものになりつつあるのが、2015年から2016年にかけての現在のタイのメディア。このまま本当にかっこよくなればいいんですけれどね。

 もちろんQR的には、ムエタイはいつでもかっこいいです。今年もできるだけ書きますのでどうぞよろしくお願いします。

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コメント

  1. queensofthering より:

    本文とは直接は関係ありませんが、ブアカーオ選手の現在のリングネームは、最後のkを発音しないで『ブアカーオ・バンチャメー』が正しいようです。

  2. queensofthering より:

    なぜここでメディア露出の話を書いたかというと、格闘技興行の維持・発展には常にスポンサーの獲得が大事だからです。

    メディア露出とそれによる一般層からのイメージ向上が、さらなるスポンサーの獲得に繋がれば、それはとてもいいことなのです。

    もちろん、これはちゃんとコアファンを獲得しているスポーツで言えることで、不人気スポーツの場合はまるで違う話ですけどね。

  3. なゆずみ より:

    ブアカーオってこんな表情するんですね。印象変わっちゃった。

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