モハメッド・アリ選手(選手と呼ばせてください)が亡くなったとき、自分はちょうど旅の途中でした。我が心の師であると勝手に明言している彼の最期について何か書くべきと思いましたが、なにも思い浮かびません。
マスコミや評論家が「アリ、絶対不利」と書いた強豪に次々に打ち勝って「どうだ!一番強いのはオレだ!」と豪語し、「ウソ書いたやつはオレに謝れ!」と吠える、彼の若き日のストーリーのカッコ良さ・・・。自分にはとてもそれは伝えられないなあ、なんて考えているうちにブログのアクセスが急上昇。以前に書いた「本当の勇者は戦争になんか行かない」が人気記事として浮かび上がりました。
これでいいんだ、と思いました。どんな追悼の記事よりも、この文章を読んでもらったほうがモハメッド・アリという人の真実を伝えられると思いました。
映画やアニメのヒーローは『腕っぷしが強くて正義感も強い』というのが定番ですが、現実にはそんな人はほとんどいません。腕っぷしが強くても、権力があっても、正義には関心が無かったり、正義の反対側だったり、そんなところが現実の世界です。
世界チャンピオンで正義感も人一倍に持ち、間違った現実と戦い、間違った現実に勝った、それがモハメッド・アリというひとでした。男の中の男です。
彼の正義感については「本当の勇者は戦争になんか行かない」で書きました。ボクシングの強さについては本もたくさん出ているし、映画やDVDもあるから探して見てください。
さて、「本当の勇者は戦争になんか行かない」の最後の行で、QRは「戦争で得をするのは軍に関連する産業だけ」と書きました。これを軍事産業、兵器産業と思っている人が多いようなので、ちょっと補足させてください。
「軍に関連する産業」というのは狭い意味では兵器産業ですが、広い意味では兵隊さんの日用品から、軍服、医薬品、食料から、アイスクリーム、コカコーラまでなんでもあるのです(アメリカ軍ではコカコーラは正式な軍需品)。
戦争になればお互いに弾丸をバラまき、兵器を破壊し、燃料を大量に使い、兵隊さんのご飯もお酒もコーラも医薬品も次々に消費されます。破壊されたもの、消費されたものは、すぐに補給しなければなりません。だから、いろんなものが売れるんですね。
結局、客観的に世界に起こっている現象を見る限り、戦争は「悪」ではなく「必要悪」のようです。経済を回すために「必要な悪」なんですね。兵器から棺桶、墓石まで、なんでも売れる商売のチャンスというわけです。
「ひとの死ぬ戦争を商売のためにやるの?」そうですよ。死ぬだけではなくて生き残っても手や足を失う人が大勢出る戦争を商売のためにやるのです。
ふつうの人の感性では理解出来ないことですが、自分の利益には敏感でも人の不幸にはなんにも感じない人が世の中にはいるのです。
戦争とか社会とかいう大きなことだけでなく、自分の人生を他人から守るためにも覚えておいてください。
人の不幸なんかなんとも思わない冷酷なひとが世の中にはけっこういるのです。
「憎しみが消えれば戦争も無くなる」というラヴ&ピースのヒッピーの言うことは的はずれな寝言です。なぜなら、世界の指導者は感情では動きませんから。
戦争はただおカネのためだけに起こるのです。
世界のあちこちでワケの分からない事件が起こされ、それへの報復として大爆撃がおこなわれ、どこかの国がボロボロになる。
そこに『復興事業』が始まり、負傷した市民への医療支援、廃墟の解体撤去、そして、施設やインフラの再建設といった大工事が始まる。関連業者のみなさん大もうけです。
地球ではこんなことがもう何十年も繰り返されているんです。これが現代の戦争の正体です。
本当の勇者はこんな戦争には行かないのです。
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