MuayThai
ムエタイは古くからタイに伝わる武術で軍隊格闘技でもありました。両方の拳と、ヒジ、ヒザ、足を武器として戦います。
ボクシング以外の格闘技としてはいち早くグローブとリングを採用したムエタイですが、その価値観や採点方法はボクシングとはまったく違います。
もともと古流ムエタイではヒモをバンテージのように素手に巻いていましたが、グローブを着用するようになってからはグローブ効果で大幅にパンチの威力が増加し、拳と、ヒジ、ヒザ、足の威力のバランスが崩れてしまいました。
これを本来のムエタイの技のバランスに戻すために、採点方法を工夫した結果、現在ではパンチは相手をダウンさせたり、それに近い状況にならない限りは何発命中させても基本的に0ポイントになっています。
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また、難易度の高い技ほど評価も高くなるポイントシステムとなっており、ローキックよりはミドルキック、ハイキック、そして同じ技でも単発よりは連発で出した方が高ポイントを得られます。
ムエタイの最大の特徴とも言える組み技「首相撲」も高ポイントで、たいていの試合で大きな見せ場になります。
ボクシングのクリンチは防御のテクニックですが、ムエタイの首相撲は相手の体勢を崩して攻め込む攻撃の技です。
そして、首相撲は技術の優劣がハッキリ出やすいので勝負の流れが決まる場面ともなります。
組んで相手のバランスを崩し、ヒザ蹴りを入れる、投げる、倒す、などが首相撲からつながる攻めですが、単に相手を不利な体勢に追い込むだけでもポイントになります。
ムエタイではミドル、ハイ、ヒザ、首相撲がポイントが高く、反対に、パンチやローはポイントにならないと覚えておきましょう。しかし、もちろん格闘技ですので、パンチで相手を倒しても、ローで相手を倒しても、どんな場合でもダウンはビッグポイントです。
このようなシステムで各ラウンドを10点満点で集計し、3名のジャッジのうち、全員、または2名の集計でポイントが上位だった選手が勝ちとなります。
ダウンした相手が10カウント以内に試合に戻れない場合がKO(ノックアウト)。
もう優劣は明らかだとレフリーが考えて試合をストップした場合はTKO(テクニカルノックアウト)となります。
ヒジ打ちなどの有効打によるケガで試合がストップした場合、ケガをした選手がTKO負けです。
有効打ではなく偶然のバッティングなどの理由によるケガで試合が途中で終わった場合、その時点で規定のラウンド数を消化していればそれまでのポイントを集計して勝敗を決します(負傷判定)。
偶然のケガによるストップが規定ラウンド以前の場合はドロー(引き分け)となります。
注意点
ムエタイは防御のテクニックもポイントになりますので、出したキックを相手にかわされると相手のポイントになります。
逆にキックを腕でガードされても、腕にキック攻撃をしたと見なされ、蹴った側のポイントとなります。
首相撲からの投げは相手のバランスを崩して投げ倒すものであり、柔道のように腰や背中に乗せてからの投げ、レスリングのように相手を持ち上げてからの投げは反則です。
ムエタイと名乗っていても独自基準でK1のような採点システムになっている団体もあり(WBCムエタイさんや、ムエタイオープンさんなど)、それらのリングではパンチとローだけで押しまくれば勝ちになります。
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