WBCバンタム級世界王者の山中慎介選手がTKOで王座を陥落したのはとても残念でしたが、もっと残念というか、あきれて倒れそうになったのは所属する帝拳ジムの本田明彦会長の暴言と、それを後押しするボクシングメディアの腐敗ぶりです。
このひとたちは基本的なことをまったく分かっていないですね。
スポニチさんの記事の見出しはこうですが・・「本田会長怒り隠せず 大和トレーナーが独自判断で試合止める」・・トレーナーさんは独自判断をまかされているからトレーナーさんなんですよ。独自判断は当然でしょう。何が悪いんですか。トレーナーさんが「判断を下した」こと自体をあれこれ言うのは基本的に間違いです。
トレーナーさんが止めようと思って止めたのならそれは絶対的に正しいのです。それには誰も何の口出しも出来ません。それをゴチャゴチャ言われたらトレーナーなんかやってられませんよ。
帝拳の本田会長は「普通は止める前に相談がある」と言ってるそうですが、帝拳さんがそういうシステムならセコンド要らないですね。会長さんが全部判断すればいいでしょう。
ひとの命がかかる現場で悠長に相談なんかしてられますか。
帝拳さんでは2009年に辻昌建選手が打たれている試合にタオルを「投げないで」試合後に亡くなってます。
辻選手が亡くなったあとの帝拳ジムさんの対応は最低最悪だったのが忘れられません。辻選手に対するお悔やみの言葉もなく、事故についての説明をすることもなく、あらゆる公式の場から逃げ回って、ジムの公式ウェブサイトを閉鎖したのです。
ひどいジムです。
メディアはあの当時、ボクシング界の一大勢力の帝拳さんに遠慮してまともな記事を書きませんでした。今回は有無も言わせずトレーナーさんを悪者に仕立てて、判断が間違っていたように書き立て、会長さんのご機嫌取りに必死です。
出来た会長ならこういう場合、選手の無念をなぐさめながら、トレーナーさんのことも立てたでしょうに。それを出来ずに「個人的な感情」で動揺してるのが本田さんです。
「倒れても後半で、という狙いだった」って、そんなボクシングありませんよ。
ダメですね、この業界。
本田会長はトレーナーさんのことを「取り返しのつかないことをしてくれた」と言ってるそうですが、それは違います。取り返しのつかないこととはひとの命が消えることです。そうなったら何も出来ません。命があれば出来ることはたくさんあるんです。人生はボクシングだけじゃないんです。
トレーナーさんは山中選手の人生を守ったんです。それは山中選手もあとになったらよく分かるでしょう。
打たれてないのにストップするトレーナーはいません。ストップしたくてストップするトレーナーはいません。本人よりも選手のことをわかっているのがトレーナーさんです。トレーナーさんの判断にゴチャゴチャ言えるひとなんてどこにもいませんよ。
何も考えずに低レベルな煽り記事を書いている無責任なライターはみんな地獄におちなさい。
コメント
でも早かった。あのタオルはまちがい。
>とくさん コメントありがとうございます。
残念な気持ちは同じです。「早かった」ぐらいなら100万回でも言っていいと思います。スポーツ観戦を楽しむファンとして。自由な感想ですからね。
でも「タオルはまちがい」は誰も言う権利無いですよ。
この試合のことを理解出来るのはこの試合を戦ったチームだけですから。
トレーナーが試合を止めることができるのは一番わかっているのがトレーナーだからです。
早いタオルが糾弾される。
その空気が危険だと思っています。
考えなしの本田さんの発言に、その空気ができあがってしまえば、犠牲になるのはローカルなところで戦っているボクサーです。
世界戦以外の試合の方が多いのですから。
今回のタオルを否定する方々は、世界戦ばかり見て、きっとその結末を知らないまま、好き勝手言い続けるのでしょう。
かつてグレート金山が瀬川に地元判定で敗れたあと、ファンの署名もあり再戦となりました。
早めにストップなどかければ、またホームタウンデジジョンと糾弾されたことでしょう。
ストップのハードルが異常に上がってしまった試合で、グレート金山はこの世を去りました。
そこは適切なストップを下せる人間が誰もいないリングだったのです。
ボクシング界も、ファンも、そういった事例から学ばなければならないと思います。
セコンドのタオルを否定することは絶対に避けなければなりません。
この記事を書いてくれてありがとうございます。
選手の体調管理を一番間近で担っているのはレフリー。
より近くで試合を見ているレフリーにこそ、その判断を委ねるべき。
一度もダウンしていないのにセコンドがタオルを投げるなんてあり得ない、そういう意見も至極当然。
>名無しさん コメントありがとうございます。
でも、レフリーは距離が近いだけで本質的には他者です。
レフリーがいちばんわかっているなんてことはありません。
神様じゃないんです。過信してはいけません。
過去に2度の死亡事故の試合をさばいていたレフリーさんが
いまでも現役でリングに立っていますよ。
そしていまでも打たれ過ぎの選手を止めないで見てますよ。
それが現実です。 理屈とは違うんですよ。
自分がボクシングマガジンの購読を辞めた理由に、どうしようもないほどの帝拳陣営への提灯記事と読むに値しないほどの安っぽい文章を1000円で売り払っていたことがきっかけです。
おそらくはボクマガもビートもこのことを話題にしないでしょう。こうやって自分らで挙げていくしか方法はないのかなと思います。
>黒髪のかねろさん コメントありがとうございます。ブログも拝読させていただきました。ご意見に同意します。
マガジンさんはボクシング界になにか問題がおこってもまともな対応はしたことがありませんよね。それどころか、ミスしたレフリーを紙面使って擁護したり。ひどい村社会ですよね。
あの場面ですが、私は山中選手は手数もほとんど返せない、まともなガードディフェンスもない棒立ち状態、クリンチもできずスイング気味に少しだけ手数を返しているだけ状態では、それ程早いストップに見えず、ほんの少し他の方は思うかもしれないが妥当と思ったのですが、ここまで異論が多いのは正直意外でした。
確かに、ネリ選手は空振りが多く、クリーンヒットは少なかったですが、本当に効いていないならクリンチか長谷川選手のラストほどではないですが手数をせめて返さないと、主審はためらわずTKOを又はストップを宣告するということが、全然問題ないということを、『リング禍』の度に各団体・JBCでも確認してきたはずです。
リチャード・スティールやビニー・マーチン(敬称略)なら迷わずストップしていたと思います。それぐらい危険な場面に見えたTKO妥当と思った、私は視聴者としての判断を間違っていたのでしょうか・・・。
>横レス的なコメントになってしまいますがさん
妥当なストップだと思いますよ。
もしもあれを早いと思うひとがいるなら、そのひとは自分の中の基準をあの試合の例に合わせて修正するべきです。
わたしたちファンの手元にある判断材料なんてトレーナーさんの1パーセントにも満たないんで、素直にトレーナーさんの判断に学ぶのが正解でしょう。
こういうタイミングもあるんだなと。
第一線で戦っているトレーナーさんはプロの中のプロですもんね。
まともなレフリーとまともなセコンドなら鷹村は絶対にホークにTKO負けだなwww
そうですねえ。そういうまともじゃない漫画や映画の世界を現実に投影する人も少なくないみたいで、困りますね。
ひとつ。
本質的にはトレーナーも他人ですよね。
リングサイドでみてましたが、あっという間の30秒でした。
テレビの映像見ても、表情はしっかりしてるものの、返しのパンチも上の空だったし、最後にコーナーに追い込まれたシーンでは試合が止まっても仕方ないかな、というかんじでした。
残酷ですが、本人が余力があったと思うくらいで止まるのがスポーツとしては適切に思います。
早いという意見もわかるので、複雑な感情ですが、概ねstopは致し方ないと思っています。
ただ、本人が納得できない形で幕切れたことに関して、stopのタイミングとは切り離して、不幸だったとは思いますね。
>柴さん コメントありがとうございます。
レフリーは情報共有のない赤の他人なんですけど、
トレーナーさんはきょうのご飯も、起床の時間も知っているひとですから
その重みはまるで違いますよね。レフリーには決してわからないこともわかります。
あの試合をリングサイドでご覧になられてうらやましいです。
おっしゃるとおり、ボクシングは余力があると思うくらいで止めるのが適切ですよね。
いいストップだったと思います。