Boxing
ボクシングが危険なスポーツであるということはいままでも何度か書いてきました。ほかの格闘技や、格闘技以外のスポーツでも危険なものは数多くありますが、その中でもボクシングは飛び抜けて危険です。
でも、危険だから禁止にしろなどとはいいません。危険であろうがなかろうが、やりたい人がいる以上は禁止にする権利なんか誰にもありません。
しかし、危険であることの実態が隠されていたとしたら、それは話が変わってきます。
危険の度合いを分かっていてトライする人は誰にも騙されてはいないのですが、それを知らないでする人はある意味で騙されているのに等しいでしょう。
写真素材 足成
日本では、ボクシングコミッションが出来て正式にプロボクシングが始まって以来、数十人の死者が出ていますし、死に至らなくても開頭手術まで行った事例は毎年のように発生しています。
過去1年間では、昨年4月、昨年7月、今年1月、合計3つの試合で、試合後に選手が倒れて緊急開頭手術がおこなわれました。
このことはJBCさんより公式に発表があり、ネットやボクシング雑誌で記事になっているのですが、その扱いは小さく、また、術後経過とかのフォロー記事もほとんどありません。
では、客観記事ではなくて、選手が所属していたジムのブログやツイッターやフェイスブックではどれだけの情報が出されていたでしょうか?
これがまた信じられないような扱いで、手術を受けた選手のその後の経過や、入院中のお見舞い記事などをきちんと出していたのは、7月12日の試合で倒れた島倉裕矢選手が所属する岐阜ヨコゼキジムさんだけ。
昨年4月と今年1月に選手が倒れた二つのジムでは、公式ブログ、ツイッター、フェイスブックのいずれにも一切の報告がなく、ただ「負けました」の結果のみ。命をかけて戦った選手に対してこの扱いです・・・。
こんなことってありますか?どこのスポーツ界でその所属選手が命に関わる怪我をして、しかも、プロ生活からの引退が確実なのに一切の公表をしないジムがありますか?
ジムがこうだから、ファンの人たちにも事の重大さが伝わっていないのか、2月にテレビ放送されたある試合に対して「トレーナーのタオル投入が早すぎる」などと書く人が出ています。
1月に開頭手術があったばかりなのに、2月にもうそんな発言ですよ。
で、その「早すぎる」の根拠が「まだ出来たはず」「ファンとしてはものたりない」だそうです。
タオルというのは、まだ出来るうちに投げるから選手を救えるのであって、もう出来ないようになってから投げても意味はないのです。交通標語に「まだ渡れるはもう危ない」というのがありますがボクシングでも「まだ出来るはもう危ない」のです。
「ファンとしてはものたりない」は馬鹿馬鹿しくて取り上げる価値もない寝言。選手の命の前では、ファンなんかどうでもいいんです。トレーナーが投げようと思うなら、そのタオルは正解です。トレーナー以上に選手を分かっている人はどこにもいません。トレーナーのタオル投入に早いと文句つけるなんて、そんな人にファンを名乗る資格はありませんよ。
トレーナーのみなさん、馬鹿にかまわずタオルはどんどん投げましょう。タオルを投げるのに早すぎるなんてことはありません。
コメント
いつも素晴らしい記事を有難うございます。
「タオルというのは、まだ出来るうちに投げるから選手を救える」全くその通りだと思います。
今回の記事の一件は選手個人のプライバシーの関係から公表するかどうかの判断はボクシングジムのサイドに任せる以外ないように思われる。しかし、人の命にも関わることなので、ボクシングジムにはファンに対して所属選手のリング上での事故で開頭手術をしたとの報告はした方が内容として納得するではないのか。岐阜ヨコゼキジムの判断については、ファンに対しての説明義務を果たしたと私は判断します。
>phaidrosさん コメントありがとうございます。
ファンはなるべくトレーナーさんたちの立場を理解して、もっとタオルを投げやすい環境にしていきたいですね。
>若鷹さん コメントありがとうございます。
そうなんですよ。ファンへの説明責任を果たしてくれるジムがいいジムだと思います。
どういった場合にこういった事故が起こりやすいかなど
原因究明も出来るといいですね
そのためにも隠蔽体質はやめて
情報を共有するべきだと思います
単純にファンとしてどうなったんだろうと選手の経過が気になりますし
現状だと開頭手術をしました、一命はとりとめました、ぐらいまでしか経過がわかりませんから
>原島さん
おっしゃるとおりです。
試合のあとに手術を受けたというニュースになった場合、
それから日が経っても訃報がないからああ助かったんだなと分かる
というような、いかにも配慮に欠ける現状はとても受け入れ難いものですね。
最悪の場合じゃないのなら、手術に成功しましたとか、意識が戻りましたとか、快方に向かっていますとか、なにかのきっかけにひとことほしいですね。