Boxing
前回は暫定王者量産や、ランキングを無視した世界タイトル戦について、危機感を感じて少し書きましたが、もうひとつ見ないふりが出来ないものに地元判定があります。
韓国でツナミ選手がキム・ジュヒ選手を追いつめながら判定負けになった試合、ボスニア・ヘルツェゴビナに遠征したカナダのジーニー・ガーサイド選手が二度のダウンを奪いながら負けになった例など、毎年どこかのボクシング途上国で繰り返される困った問題。
サッカーなどのリーグ戦では、ホーム&アウェイで試合をすることで、なるべく地元有利の結果にならないように配慮していますが、ボクシングの場合は同じ相手と二度ずつ戦うわけにもいかないので、選手たちは試合の公平性を信じて一発勝負で対戦します。
だから、ボクシングで地元ひいきの判定があるとファンはとても悲しい気持ちになります。選手からの信頼をボクシングが裏切るわけですから。
多田悦子選手とヤニー・ゴーギアットジム選手のタイトルマッチで、多田選手が勝ったと思った人はいったい何人いるでしょう。やばいなと思った人、引き分けだと思った人、負けたと思った人、いますよね?
判定を見るとごく普通のユナニマスディジョンです。でも、テレビで見る限りはヤニー選手の勝ちに見えました。しかも大差で。
ヤニー選手は素早いステップでよく動いて、ガンガン攻める良いボクサーでした。手数は多く、命中率もまあまあ。勇敢に飛び込むファイティングスピリット。スタミナもあって、ほぼ全ラウンド自分のボクシングだったと思います。
今回のジャッジは全員韓国の人でしたが、ヤニー選手は韓国の人がいかにも好きそうなボクシングをしていたのに、評価が低くてびっくりです。
試合の採点を出来るのはその試合の3人のジャッジさんだけですけど、どっちが強かったかを判断するのは、ひとりひとりのボクシングファンです。
勝ち負けは動かせてもファンの気持ちは動かせません。一度負けても、立ち上がってリベンジすればファンはついてくるのに。ほかのスポーツに比べて、ボクシング関係の人はそこが分かっていないのかも。
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コメント
これは女子だけではなく男子にも同じ事が言えます。かなり前の試合ですが、世界王座返り咲きを狙う六車選手の試合で、六車選手が顔を腫らしながら一方的な攻撃でフルラウンドを戦い、裁定を待つだけでした。結果は引き分け!しかも、ジャッジの1人が六車選手の腫れた顔が嫌いだからって、六車選手の一方的なラウンドでも相手選手にポイントを付けたのです。他にも男子の試合でも、おかしいと思うのはあります。ただ、言えるのは、我々ファンの見る目とプロの見る目が違うって事です。手数が多くても、決定打にならなければ、ポイントにならないケースだって有り得ますから。多田選手も世界戦の難しさを痛感したと思います。困難を乗り越えて立派な世界チャンピオンになるのですから。ただ、KO狙うだけでなくて、魅せるのも立派な世界チャンピオンの証しですから。
多田選手のポイントになるようなラウンドは何ラウンドも無かったと思います。テレビ観戦でしたが。
後半のストレートやコンビネーションが多田のポイントになり、と書いてある記事を見ましたがそんなシーンはなかったような。
まあ、ジャッジ的に見てあったとしても一般ファンの感想とかけ離れたような結果が出るのは競技人気として拙いんじゃないでしょうか。
それよりも多田もヤニも世界戦としてはレベルが低くて恥ずかしいというのが正直な感想。
私は多田選手の熱烈なファンで実際に防衛戦を間近で観ましましたが、判定結果は灰色に思えました。その後マスコミの地元贔屓を真に受けて喜んでいる多くの人に不快感を持っていましたが、このサイトのコメントを読んですっきりしました。これぞ正義感と信念です。
多田さん自身が不細工な試合だったと痛々しいほど消沈しています。女子ボクシングを広めるために多田さんには未だ活躍して欲しいので、このような正直なコメントは非常にありがたいです。