観客席視点からの立ち技系女子格闘技
スポンサーリンク
スポンサーリンク

ボクシングマガジンさん、しっかりしてください 山口卓也選手負傷/中村幸裕選手反則負け事件について

 Boxing

 ボクシングマガジンさんの最新号に不思議な記事があります。

 「一瞬の判断にミスが許されないレフリーに課せられた重い責任」と題された文章で「先日、後楽園ホールであった事故」について書かれているのですが、どの試合のことなのかがまるで書かれていないのです。

 もちろんこれは6月8日におこなわれたスーパーバンタム級8回戦中村幸裕 VS 山口卓也戦のことなんですが、そのことをどうしてぼかす必要があるのでしょう。ハッキリ書いてはいけないことなのでしょうか?

 実際の記事はこんな感じです。まず、「レフリー、ジャッジというのは、つくづく辛い立場にいると思う」という前置きから、結論としては「一度起きてしまった事故をしっかりと検証し、問題点を洗い出し、2度と事故を起こさないこと」となっていて、ここだけを見れば実におっしゃるとおりです。

 しかし、自身で「事故をしっかりと検証し、問題点を洗い出」すことが「大事」と書いておきながら、記事では事故の原因を間違った表現をしていて、全然問題点を洗い出せていません。

 記事では事故の原因をレフリーが「選手からはなれた位置でストップをコールしたため」としていますが、このときのレフリーは本当は距離ではなくて立ち位置を間違っていたのです。
レフリーの立ち位置
 レフリーは試合中の立ち位置をはっきりと規定されていて、出来るだけ図のAのような位置にいることが要求されています。このように、ふたりの選手に対して自分が三角形の頂点になるように立つのがボクシングのレフリーの基本なのです。しかし、この試合でレフリーが立っていたのはBの位置です。ふたりとほとんど直線上で中村選手の死角に入っていました。これでは中村選手からレフリーの動作が見えるわけがありません。

 そして、次にはストップのタイミングを間違っていました。レフリーは単に中村選手のテーピングを直したかっただけなのだから、ふたりが打ち合う最中ではなく、ちょっとだけ待てば良かったのです。

 それだけのことです。それだけのことをおろそかにしたために山口選手は重傷を負ってしまったのです。

 また、この時レフリーは中村選手に反則減点の処置をしたあとで、山口選手が試合続行不可能なほどの重傷であることが明らかになったために、さらにもう一度反則負けという処置を言い渡しました。つまり、ひとつの案件で二度罰したのです。これもレフリーの今回のミスのひとつとして明確に挙げなくてはなりません。

 けれども、この記事でもうひとつ不備なのは、同じ日におこなわれた65kg契約8回戦塩谷智行 vs 沼田康司戦で起こったメッタ打ち見逃し事件について、まったく書いていないということです。どちらかといえばこの事件のほうがレフリーのミスとしては悪質で、一歩、いや半歩間違えば人の命に関わる大事件になるところでした。

塩谷智行 vs 沼田康司

 この試合を裁いた福地勇治レフリーは、以前にも何度か選手が打たれすぎた事件の当事者で、ボクシングマガジンさんが「一度起きてしまった事故をしっかりと検証し、問題点を洗い出し、2度と事故を起こさない」と本気で望むのなら、今回の福地レフリーのパフォーマンスについてまったく触れないのは理解が出来ません。

 ボクシングマガジンさんと、レフリーのひとたちと、ボクシングファンに共通する一番大事なものは何でしょう?それはもちろん、実際にリングで戦う選手ですね。

 「適切なレフェリング、正しいジャッジを毎回するのが当たり前。それがちょっとでもブレたりすると、たいへんな非難の的になってしまうことがある」とレフリーに対して気を使うのはいいのですが、それよりも大事なのは選手の健康です。

 はっきり言って、ボクシングのレフリーが「たいへんな非難の的になる」ことが今まで何度あったでしょうか?野球のレフリーのミスがワイドショーやスポーツニュースで取り上げられて全国から叩かれるのを見たことは何度かありますが、ボクシングでそんなことが過去にありましたっけ?

 サッカーのレフリーなんか選手と一緒に90分以上走り回りながら(選手に交代はありますがレフリーにはありません)、疲労の極致にあっても正確に裁くのが仕事です。正しいジャッジをしてもそれを理解しない数万人のお客さんからブーイングを受けることもあります。それに比べてもボクシングのレフリーの「大変さ」を強調しなければならないのでしょうか?ミスの内容を具体的に記すことさえ遠慮すべきなのでしょうか?

 ボクシングマガジンさん、もう少し毅然とした態度でこの業界のご意見番として機能してください。わたしたちのリングはわたしたちボクシング好きが当事者意識を持って接していく以外に守る方法はないのですから。

関連記事 あまりにも酷いレフリング 選手の安全は誰が守るのか

にほんブログ村 格闘技ブログ ボクシングへ

qbar

コメント

  1. 正論好き より:

    クイーン・オブ・ザ・リングにまたまた敬礼!言うべき事も言えない男子主体のヘッピリ腰のメディア関係者に比べて、何と爽快なことか!頑張れ!ビシビシ正論を書いてくれ!

  2. queensofthering より:

    正論好きさんありがとうございます。
    まあ、このブログは、ふつうにファンどうしで言っていることを文章にしているだけなんですけど、いま声をあげないとだめになってしまうという危機感は確かに感じています。みんなでもっと自由にものを言えるようにしていきたいですね。

  3. es より:

    最近のレフェリーの試合捌きはうまくないと思います。それとジャッジの地元選手への身びいきジャッジが非常に多いと感じます。

  4. queensofthering より:

    esさま コメントありがとうございます。
    ボクシングのホームびいきはなかなかなおりませんね。
    根が深い問題なのでしょう。それが当たり前みたいな空気はなくなってほしいです。

スポンサーリンク
スポンサーリンク