観客席視点からの立ち技系女子格闘技
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武田梨奈の頭突きCMで思い出した残念な映画の話 アクション映画とは何か?

 ピンクのドレス姿の武田梨奈さんが、つかつかと歩み寄ったのは重ねられた15枚のカワラ。それを気合いとともに頭突きで木っ端みじんに!という大迫力のCM。

 すごく惜しいのは最後に武田梨奈さんが顔を上げる場面がカットされていることです。それがあれば完璧だったのに。

 本人がやっているというところが大事なのに、下を向いたまま終わっては「代役だろう」「本人じゃないよね」と思う人が多く、映像の持つパワーが半分になってしまいます。

 こちらのメイキング映像ではしっかりと顔も映っていて、やはり説得力が違うようです。再生回数が多いのも当然ですね。インパクト系のCMではやっぱりそういうリアル感が大事なんでしょう。

 ところで、武田梨奈さんの本職は、得意の空手を生かしたアクション女優なんですが、このCMとは逆に、彼女の主演映画の『ハイキックガール』や『カラテガール』では「本人がやっていますよ」ということばかりが強調されて散々な失敗作だったのは皮肉です。

 デビュー作では主演の武田梨奈さんをはじめ、敵キャラとして格闘技の渡辺久江選手、フルコンタクト空手の小林由佳選手など「本当に出来る」人たちを集めて「本当に当てる」のを売りにした映画だったのですが、その結果は…

 「いい」場面5つに対して「だめ」場面が50ぐらいあって、かなりのガッカリ作品でした。

 まず、カメラが最悪。対決する二人を真横から見るゲーム画面みたいな平板な構図が多く、それをスローを多用して「はい実際に当ててますよ」という場面が延々続くのですが、そのため映画としてのリズムがガタガタ、映像の躍動感が皆無で、出来の悪いドキュメンタリーのような印象でした。

 だいたい、実際に当てることを見せたいのなら、映画である必要は無く、本物の試合を見せれば済む話。間違いなく、そっちのほうが数倍面白いでしょう。

 映画というのはどこまでいっても作り物の世界です。作り物の面白さを見せるものです。銃撃戦は実際に撃ち合うわけではありませんし、サムライバトルも実際に斬り合うわけではありません。格闘技系の映画もそれと同じで実際の格闘とは違うものです。

 よく「ブルース・リーの映画は本物」と言われますが、それは「本物のアクション映画」という意味であって「本物の格闘」という意味ではないのです。

 ブルース・リーさんは本物の武術家であるとともに、本物の映画人でもあり、幼少の頃から映画の現場を知っていましたし、アクション場面の演出なども手がけていました。そして、アクションの見せ方を深く深く研究していました。

 だから、カメラアングルもいいし、動きのつなぎもいい。のっぺりとした平板な画面など絶対に撮らなかったのです。

 そして、武術や格闘技を知る人が見れば「おお」と思うような実際の技(ジークンドーの地味な手技など)を入れる一方で、何も知らない人が見て喜ぶような派手な飛び蹴り(本人は実戦では絶対に使わないでしょう)のシーンなども取り入れたのです。

 ですからブルース・リーさんの映画はよく出来たアクション映画ではあっても実際の彼の武術とは違います。リアルを追求しても映画にはならないからです。

 むかし、アメリカのアクション映画の大スターが言いました。「おれは30センチだって飛べやしない。それをうまく撮るのが監督の仕事だ。」

 簡単に言えば、映画とはそういうものです。

 ブルース・リーさんの映画が偉大なのは、彼が偉大な映画人であったからで、偉大な武術家であった事実とは直接は結び付かないのです。

 映画は本当に「出来る人」が出るだけではダメです。ちゃんと「撮れる人」がいてこそ映画になるのです。

 今回、武田梨奈さんのことを考えていて、思い出したのが悦っちゃんこと志穂美悦子(しほみえつこ)さん。彼女は打って、蹴って、ヌンチャクが出来る本格的なアクションスターでしたが、当時の日本に彼女の才能を生かせるアクション映画を作る力は無く、たくさんの映画に主演しながらも、カメラや殺陣のレベルは当時の香港に遠く及ばない恥ずかしい作品ばかりでした。

 志穂美さんが主演なのに、ピンチになると千葉真一さんに助けられたりという、ストーリーの陳腐さは、ハイキックガールでも武田梨奈さんが敵に捕らえられると先生が出て来て助けてくれるという形で受け継がれていてガックリ。

 アクションが出来る人はいても、いいスタッフがいないという日本映画の弱点は、30数年前から変わってないんでしょうかね。

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コメント

  1. 北国の男 より:

    志保美悦子(しほみえつこ)×
    志穂美悦子(しほみえつこ)○

    真田広之さんがブレイクした’80年代にはJAC(今はJAEでしたか)の門を叩く女のコが増えましたが、ほとんどが特撮ヒーロー物で注目⇒他のTV番組とかでたまに脇役⇒いつの間にか消える⇒私のようなオタクの思い出になる、がパターンでした。
    よって、アクション系以外のドラマでも活躍できた志穂美さんは幸せだと思いますね。
    これから日本に果して志穂美さんに劣らぬアクション女優が現れるかどうかを考えると、スーパー戦隊シリーズでメジャーになった千葉麗子さん、さとう珠緒さんを思えば(どちらも強さより可愛らしさが売りだった)、観る側に女性アクションを受け入れようとしない雰囲気があるのかも。
    せめて’90年代以降の女性の刑事や殺し屋が主人公のVシネマが「アクション=拳銃を撃つだけ」ではなかったら、時代の流れは変わったかも知れませんが。

  2. queens of the ring より:

    >北国の男さん
    ご指摘ありがとうございます!
    志穂美悦子さんの大事なお名前を間違えて申し訳ないです。直しておきます。
    そうなんですよね、アクション女優の活躍の場は特撮ヒーローものの紅一点が相場でしたね。志穂美さんも人造人間キカイダーで活躍してましたが、QRが一番好きな志穂美さんのキャラはジャッカー電撃隊にゲスト出演した時の空手家の夏子さんかな。とにかくかっこよかったです。

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