Boxing
2017年7月7日から8月12日 インド ニューデリー
スーパー・ボクシング・リーグ SBL
Super Boxing League SBL
アーシャ・ロカ選手をキャプテンとするノースイースト・タイガース
プロボクシングといえば普通は個人種目なわけですが、6人のボクサーで1チームを構成し、これを8チーム集めて都市対抗リーグ戦をやってしまおういう新趣向のイベントSBL(スーパー・ボクシング・リーグ)が現在インドでおこなわれています。
しかし、このやり方は、まったく新しいものではなく、数年前にチャック・ノリスさんが主宰するWCL(ワールド・コンバット・リーグ)という立ち技格闘技の団体がアメリカでやっていたものを、そっくりそのままインドのボクシングに置き換えたものと考えて間違いありません。
リーグの形式、チーム構成などの点で、SBLはWCLにそっくりです。しかし、WCLがケーブルテレビの中継をメインに割とゆっくりしたペースで予定を消化して盛り上がりに欠けたのに対して、SBLはひとつのシーズンを6週間の短期決戦型に設定しているのが大きな違い。
毎週、金・土・日曜日に定期的に試合をおこなうのでリーグの展開が非常に早く、それをTVやYouTubeで生中継。さらに、会場に多くの有名人をゲストとして招待し、そのひとたちがツイッターやFacebookで試合を見た感想を拡散するという手法でライヴ感を盛り上げています。
インドのプロボクシングは男女ともにまだ去年から本格スタートしたばかりなので、MMAなどの先行プロスポーツに対抗するためにはこのぐらいの大イベントが必要なのでしょう。
SBLには全部で8チームが参戦し、4チームずつに分かれて総当たり戦で上位チームを決定し、8月12日に上位チーム同士の決勝をおこなって優勝が決まります。 それでは実際の試合をご覧ください。
ラルアフェリ VS アニタ・クマリ 7月23日
インドの選手の資料を探すときに困るのが、ラルアフェリ選手のようにファミリーネームも何も無い場合です。しかもラルアフェリ選手は珍しい名前ではないらしくて、複数のひとがヒットするんです。今回のアニタ・クマリ選手も年齢が違って同姓同名の選手がヒットしたりで、結局、特定できませんでした。申し訳ありません。というわけで、映像だけになりますが、技術はそこそこでも溢れるほどのガッツがあって面白い試合になっています。
結果はご覧のようにハリヤーナー・ウォリアーズのアニタ・クマリ選手がユーピー・ターミネイターズのラルアフェリ選手に判定勝利。
このリーグでは女子は2分4回戦、男子は3分4回戦で、一戦ごとにチームに勝利ポイントが与えられます。試合結果がドローの場合は1点、判定勝利は3点、TKO勝利は4点、KO勝利は6点。ということで、クマリ選手の勝利で、ハリヤーナー・ウォリアーズが3点を獲得しました。
シヴァニ・ダヒヤ VS サロージ・ブガリア 7月28日
こちらは7月28日、デリー・グラディエイターズのシヴァニ・ダヒヤ選手とパンジャブ・スルターンズのサロージ・ブガリア選手の試合。
シヴァニ・ダヒヤ選手は14才の時にデリーのジュニア大会でベストボクサーに選ばれるなど早くから活躍していた選手で、インドにプロが出来るとともに転向してきた現在22才の選手。サロージ・ブガリア選手はどうやら今年プロテストを受けたばかりの新人選手。23才(画面ではインドの数え年で24才となっていますが、これは日本の満年齢でいうと23才になります)。
ラクシュミ VS アーシャ・ロカ 7月30日
最後は7月30日におこなわれたマラーター・ヨッダスのラクシュミ選手とノースイースト・タイガースのアーシャ・ロカ選手の一戦です。マラーター・ヨッダスはおそらくインド中央部のチーム、ノースイースト・タイガースはその名の通り北東部のチームなのでしょう。
男子は軽量級から重量級までの5階級がありますが、女子はどのチームもスーパーフライ級の1階級だけです。
ラクシュミ選手はこのリーグでデビューした新人で、現在22才、アマチュアボクシングではジュニアのころから経験があるようです。アーシャ・ロカ選手は国内のアマボクシング大会で何度も優勝経験があり、MMAでも数戦しており、ノースイースト・タイガースのキャプテンを任されているチームの柱。
結果はダウンを奪ったアーシャ・ロカ選手がユナニマスデシジョンで勝利。人気、実力ともにこのイベントの女子ナンバーワンと言われるアーシャ・ロカ選手、18才。なかなかいい選手です。彼女の判定勝利によりノースイースト・タイガースに3ポイントが与えられました。
『スーパー・ボクシング・リーグSBL』は現在準決勝までを終了して、あとは12日の最終戦を待つばかり。 アーシャ・ロカ選手のノースイースト・タイガースは準決勝までいき、ロカ選手はリーグ通算で5戦4勝1敗の好成績を挙げたものの、チーム総合得点で同じ山のハリヤーナー・ウォリアーズに及ばず、決勝はハリヤーナー・ウォリアーズ対マラーター・ヨッダスの対戦と決まりました。
しかし・・・リザーブ選手も用意されていて、KOやひどい負け方をした場合はリザーブ選手との交代が認められてはいるものの、ロカ選手のようにキャプテンで勝ち進んでいたりすると交代というわけにもいかず、結局、一ヶ月で5試合も戦ってしまうわけですから、これは、まったく選手の安全を考えていないシステムです。もしもチームが決勝にまで行ったらロカ選手は6試合めを戦うことになったのですから、危険すぎますね。
タイガースをポイントで抜いて決勝に行くことになったウォリアーズの女子選手は、途中で一度交代しているのでロカ選手の半分しか戦っていませんが、それでも一ヶ月に3試合ですからねえ。これはもうブラックスポーツでしょう。企画としては面白いんですが、選手の安全が犠牲になるのは問題です。
会場にWBCさんのロゴがあるということは、なにかの形で協力しているのだと思いますが、ちゃんと指導してもらいたいと思います。選手は勝っても負けても連投禁止などのルールを作らないと、これは明らかにマズイです。インドのボクシングはまだ始まったばかりで、右も左も分からない状態なので、誰かがちゃんと教えなければ。
しかし、今回の大会で収穫だったのは「インドにはイキのいいライトフライ級の女子即戦力が8人、プラス、リザーブ8人で、少なくとも16人いる!」ということです。
ねえ、関係者さん、インドの女子ボクサー呼んでくださいよ。スーパーフライ級ですよ。日本選手と体重バッチリ合いますよね。強すぎず、弱すぎず、ちょうどいいレベルですよね。インド選手呼んで欲しいなあ。
今はまだインドとコネ無いのでしょうけど、急いで作りましょうよ。たのみますよー!
さらに多くの試合を見たいひとはこちらのページで動画をお探しください。
なお、リーグ戦の全体像は試合数が多くてブログではフォローできないのでこちらの公式ページをご参照ください。
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