Boxing
2018年3月4日(日)韓国 テジョン広域市
WIBAフライ級タイトルマッチ 10回戦
王者 イ・ウネ (元WBOライトフライ級王者/韓国)
VS
挑戦者 日向野知恵 ひがのちえ(スパイダー根本)
激闘が伝えられていた今年3月の日向野知恵選手(スパイダー根本)の世界戦動画の情報を、当ブログ愛読者のゆめさんよりいただきましたのでご覧ください。
WIBAは日本の一般のボクシングファンにはなじみがない団体だと思いますが、最初のWがボクシング団体によくある「World」ではなくて「Women’s」のWなのが特長。つまり、最初から女子ボクシング専門に作られた世界タイトル認定団体なのです(正式名称 Women’s International Boxing Association)。
今年で設立18年となり、いわゆるメジャー世界4団体の女子王座よりもずっと長い歴史があり、日本人としては過去にライカ選手、袖岡裕子選手、池山直選手が世界王座についたことがあります。
現在、日本はWIBAには加盟していないので「未公認タイトル」という扱いなわけですが、事前にJBCさんに相談すれば挑戦することは可能。その場合「勝って王座を奪取しても日本国内での防衛戦は不可」という条件付きだとは思いますが、試合は出来ますし、勝てば日本では未公認でも世界では公認された王者になることが出来ます(同じような扱いの女子専門団体としてはIFBAなどがあります)。
レフリーは日本でWBC世界戦などを担当したこともある韓国人女子国際レフリーのシン・キョンハさん。この人は1.女子に甘くない、2.試合に介入する必要の無いところでは静観する、3.介入するべきところでは確実に介入する、という大変しっかりしたレフリー。
もちろん、ホーム選手へのエコヒイキなどもしない立派な人。この試合でも理由なく挑戦者の攻撃をさえぎることはありませんでした(当たり前の事のようですが、ホーム選手が打たれる場面でやたらと割って入るレフリーは、実はどこの国にも非常に多いのです)。
チャレンジャーは日本のA級ボクサー日向野知恵選手。右のパンチ力が売りものの良い選手なのですが、この時まで7勝6敗とギリで勝ち越しでいまいちパッとしない戦績。
それはなぜかといえば、1.本来のライトフライ~フライ級を大きく下回るアトム級あたりの試合が多い、2.左のパンチが極端に少ないかたよったファイトスタイル、というあたりが原因でしょう・・・。
しかし、今回は本来の階級と思われるフライ級。しかも、第1ラウンドから「左」をバンバン出して日向野選手が過去最高に良い動きです。
前に出続ける日向野選手。王者イ・ウネ選手は後退一方。・・が、下がりながらも手を出すことを忘れないイ・ウネ選手の抵抗は激しく、最初の2、3ラウンドで日向野選手は目のあたりが腫れ始めます。
日向野選手は随所にウィービングとダッキングを入れながら前進。第6ラウンドには左で王者をロープにまで吹っ飛ばします(海外記事では右ストレートとなっていましたが、動画を見ると左ですね)。
しかし、イ・ウネ選手はピンチに立ちながらも完全には崩れません。限界まで追い詰められているように見えながら、驚異のねばりで持ちこたえる王者。
終盤はフットワークを使ってリングを大きくまわるイ・ウネ選手が日向野選手の出てくるタイミングにあわせて巧みなカウンター。どこにこんな体力が残っていたのか、シャープで伸びのあるパンチを繰り出します。
最後は、日向野選手の拳圧が低下し、王者が巻き返して全10ラウンドを終了。
判定はドロー1者、王者支持2者。2-0でイ・ウネ選手の勝利。
日向野選手はなにかのきっかけで覚醒すれば化けると思っていましたが、この試合こそまさに目が覚めた感じのベストバウト。敗れたとはいえその存在を大いに示す素晴らしい一戦でした。
また、正直言って、イ・ウネ王者がここまで良い選手だとは知りませんでした。この試合はイ・ウネ選手にとってもベストバウトなのではないでしょうか。
良い試合でした。両選手に感謝します。
WIBAフライ級タイトルマッチ 10回戦
○王者 イ・ウネ (元WBOライトフライ級王者/韓国)
判定 2-0
×挑戦者 日向野知恵 ひがのちえ(スパイダー根本)
イ・ウネ選手が判定勝利で同王座の2度目の防衛に成功しました。
(97-93、96-96、97-95 ジャッジ全員が韓国人)
イ・ウネ(韓国) 12戦11勝(うちタイ人4)1敗4KO(うちタイ人2)
日向野知恵 ひがのちえ(スパイダー根本)14戦7勝(うちタイ人1)7敗2KO(うちタイ人1)
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