Boxing
いま世界で一番強いボクサーは誰でしょうか?この質問にはいろいろな答があると思います。ここではとりあえず、世界最大のボクシングデータベースである「BOXREC」のパウンド・フォー・パウンドのリストから男女ボクサーベスト3を見てみましょう。
まず、男子の1位はバーナード・ホプキンス選手、2位はフロイド・メイウェザー・ジュニア選手、3位はマニー・パッキャオ選手。そして女子の1位はメリッサ・ヘルナンデス選手、2位ホリー・ホルム選手、3位マルセラ・アクーニャ選手。「BOXREC」のデータ上はこれが世界最強の6人です。
さて、それではこの6人のうち、現在WBAまたはWBCのベルトを持っている選手は何人いるでしょう。答はマルセラ・アクーニャ選手ただ一人です。
あとの5人は他団体の王者だったり、無冠だったりの選手です。つまり「世界最強のボクサー」は必ずしもWBAやWBCにいるわけではないのです。
大昔は、ボクシングの世界王者を認定していたのはWBAだけでした。それが数十年前にWBAが分裂してWBCが生まれ、さらにそこから分裂を繰り返したり新団体が出来たりで、現在はメジャーなものだけでもいくつもの団体が活動しています。その結果、強い選手が各団体に散らばって自由な活動をするようになりました。
女子の場合はWBAとWBCがなかなか認可に踏み切らないうちに、いくつかの団体が活動を始めたので、最初から多団体で歴史がスタートしています。
そういうわけで、現在のボクシング界を冷静に見てみると、日本では「世界最高権威の2団体」と思われているWBAとWBCが、実は世界ボクシングの多団体体制の一部分でしかなく、最高の選手を独占しているわけでもない、ということが分かります。
世界のほとんどの国がWBA、WBC以外の複数団体の存在を認めている状況の中で、かたくなに二団体以外を拒否し、鎖国政策を続けているのが日本のボクシング界です。
この特殊な状況は日本のボクシングにとって「不幸」のひとこと。ファンはWBA、WBCのワクの中の試合しか見られず、選手も外の世界との交流が出来ないのです。
ずいぶん前から日本のボクシング人気の低下が指摘されていますが、WBA、WBC以外を排除している状況では、最高の試合を見せられるわけもなく、人気が無いのも当然のことだと思います。
むかしは年末になると「日本レコード大賞」という権威をどの歌手が手に入れるのかということに日本人の多くが夢中になったそうですけど、いま聞いても全然ピンと来ない話です。
それと同じで、ボクシングも権威だけで人が寄ってくる時代は終わりました。
団体の歴史や伝統に関係無く、いろんな選手を見ることが出来るようになれば、きっとボクシング人気は復活します。だって、世界中に面白い選手はたくさんいるんですから。
コメント
この国のボクシングはほんとに権威が好きだよね。
でも権威なんてないのにね。
あんな人が世界に挑戦できたり、はたまたあんな人が世界を取ったこともある。
身内の出来レース。最強なんてほど遠いよ。
ちゃんとフェアに一からやり直すか、そうでなければ完全に自由にするか。
一般の人はとっくにあきれてる。
なるほどね。
その通りだと思います。