Boxing
2011年3月6日(日)大阪府 IMPホール
ドラマチックボクシング
52.5kg契約ウェイト 6回戦
川西友子(大阪帝拳)赤
VS
菊川未紀(東海)青
この日、男子8回戦の好カードをセミにまわしてメインイベントとしておこなわれたのは女子の6回戦。地元大阪出身のホープ川西友子選手と名古屋の技巧派ベテラン菊川未紀選手の対戦でした。
川西選手はこれがデビュー4試合め。通常は4勝以上が条件である6回戦昇格を特例で3勝で認められての出場。ボクシング界の期待の高さがわかります。
しかし、相手は日本でもトップクラスの技術とキャリアを誇る菊川選手。ふつうに考えて4試合めの選手が崩せるような相手ではありませんが、どういう展開になるのでしょうか?
第1ラウンド 時計方向にサークリングしながらジャブを繰り返す川西選手。菊川選手はあまり打ち返さずにこれを良く見ています。
そして、川西選手のジャブにあわせてカウンターを命中させ、ジリジリと詰めてプレッシャーをかける菊川選手。
川西選手は相手の前進を止めようと左を連射しますが、ダッキングでかわされます。
1分過ぎ、ようやく川西選手の左がヒット。しかし、続く右を左手のパリングで防ぐ(振り払う)菊川選手。
思うように試合を組み立てられない川西選手は、打つのをやめて長い腕をいっぱいに伸ばしながらバックステップ。
この行為で川西選手の弱気を察したのか菊川選手は笑みを浮かべながら強引に接近して左フック。川西選手の顔を大きくハネ上げます。
なおも追撃する菊川選手に今度は川西選手の右カウンターが炸裂。衝撃で体が泳いでしまう菊川選手。
ここで1ラウンド終了のゴング。しかし、ゴングが聞こえずに打ち合いを続けようとするふたり。止めようと割って入るレフリーの体が菊川選手を押しのけるような形になって菊川選手が倒れますが、これはもちろんノーダウン。(報知新聞系ネットはこれをダウンと書いていますが明らかな誤報)
このラウンドは互角という感じでしょうか。
第2ラウンド 川西選手のジャブをかわしながら接近戦を挑む菊川選手ですが、開始20秒過ぎ、右フックをきれいにもらって鼻から血がしたたり落ちます。
デビュー12ヶ月でここまで出来る川西選手は確かにいい素材。会場が沸いています。が、彼女のいい場面はここまで。
川西選手の攻勢は強烈な右カウンターを受けて停止。続けてボディーを被弾した川西選手はたまらずクリンチに逃げます。しかし、密着度が甘いため続けてショートフックの連打を受けてピンチ。
いったん離れた川西選手はバックステップをしながら左。これを冷静に回避する菊川選手。
菊川選手優勢のままラウンド終了。
第3ラウンド 状況打開のために左をさかんに打つ川西選手。しかし、ほとんどがかわされてしまい効果が薄いためか、打つのをあきらめて前方に腕を伸ばしたままになってしまいます。早くも手詰まりの印象。
接近戦では打たずにクリンチ。レフリーの方を見ながらブレイク待ちの川西選手。
菊川選手の後頭部に左手を引っかけて押し下げる行為で川西選手に口頭注意。前半はこんな場面が続いてボクシングになりません。
1分過ぎ、意を決したように打ち合いに出る川西選手に菊川選手の右フックがクリーンヒット。
これをロープに追い込んだ菊川選手はボディー連打。続いて顔面への右、左。アッパー。
成す術のない川西選手は左手を相手の頭に置いたままずるずると後退。
この左手をレフリーが払いのけたのをブレイクの指示だと勘違いして気をゆるめた川西選手は打たれ放題。
続いてダブルのアッパーをもらって本格的にピンチ。ここでゴングに救われる川西選手。
第4ラウンド 劣勢の川西選手は距離を取ってバックステップの連続。戦意は旺盛ながらもどうすればいいのか分からないという感じ。遠い距離から左を打ってはいますがこのままでは逆転は無理でしょう。
バックステップを続ける川西選手を根気強く追いかけていた菊川選手ですが、1分30秒を過ぎた頃、ついに追うのをやめてガードを下げ、ほんの一瞬、疲れたようにロープに寄りかかります。
チャンスと見て打ちかかっていく川西選手でしたが、これは菊川選手のワナ。右のカウンターを強烈に被弾。
笑いながら両ガードを下げて「打っておいでよ」というように何度も挑発する菊川選手ですが、川西選手は手が出ません。
後半残り30秒。ワンツーをもらった川西選手はクリンチにいきますが、腰が引けてボディー連打をもらってしまいます。
この回も菊川選手優勢は動かず。
第6ラウンド 川西選手は最終回もいいところなく後退とクリンチの繰り返し。
菊川選手の圧勝かと思われましたが、判定はなんとジャッジ全員一致でホームの川西選手の勝利。露骨な地元判定でした。こんな判定は両方の選手を傷つけ、ボクシングという競技の価値を下げるだけです。
後楽園ホールなど、どちらのホームでもないリングでの近日中の再戦が必要と思われます。
52.5kg契約ウェイト 6回戦
○川西友子(大阪帝拳)
判定3-0
×菊川未紀(東海)
川西友子選手が判定勝利。
(58ー57、58ー57、58ー57)
ジャッジ
半田隆基 はんだたかき(JBC関西)
坂本相悟 さかもとしょうご(JBC関西)
野田昌宏 のだまさひろ(JBC関西)
この結果、両者の戦績は以下のようになります。
川西友子 かわにしともこ(大阪帝拳)4戦4勝1KO
菊川未紀 きくかわみき(東海)22戦11勝10敗1分1KO
(上記戦績はJBC公認以前からの通算)
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コメント
あの判定は酷い!
勝ったほうはともかく、必死に練習を積み上げて来た選手に失礼ですね。
地元判定のおかげでボクシングの熱き戦いの場と、ダイヤモンドよりも美しい選手達を傷付けないで欲しい!
いわゆる大阪判定というやつですね。
野球の審判が地元びいきの判定なんかしたらあちこちから叩かれるだろうけど、ボクシングはマイナーだし、ファンの意識も低いからこういう判定もはびこってしまうのが悲しい現実。
大阪帝拳は自分のとこの選手に自信があるなら再戦をやらせるべきでしょう。
報知は記事の間違いを訂正する気配がないね。
「初回に奪ったダウンが効いて、僅差の判定を制した」という報知の記事は、現実にはダウンが無かったのだからまったくおかしい。
ダウンが誤報であるから川西が判定勝ちした根拠が崩れる。
重大な問題になるから訂正しないでおこうということなのだろうか。あまりにも無責任だ。
このような判定で勝っても後々恥ずかしいだけ。
プライドを捨ててしまっているような選手は別だか。
勝っても負けても傷か付く。
第三者による仲裁機関を設けたほうがいい。
スポーツはクリーンであってほしい。
再戦だな。