Boxing
2011年5月8日(日) 後楽園ホール
WBCライトフライ級タイトルマッチ 10回戦
王者 富樫直美(ワタナベ)
VS
挑戦者 ジュジース・ナガワ(フィリピン)
WBC正規王者でありながら、タイ、メキシコと不利な敵地での連続防衛戦を余儀なくされ、その絶体絶命のピンチを強い精神力で圧勝で切り抜けた富樫直美選手が、ついに後楽園ホールでの凱旋試合を迎えました。相手は昨年4団体王者キム・ジュヒ選手(韓国)を限界まで追い込んだフィリピンのジュジース・ナガワ選手。
そのナガワ選手が左胸に手を当てて国歌が流れるのを待っている時に事件は起こりました。少し無音の時間が続いたあとにホールに鳴り響いたのは、なんと、フィリピン国歌とはまったく違う曲だったのです。胸に当てた右手を下げて首を振り、困ったような表情を浮かべるナガワ選手。国際戦であってはならない大変なミスです…。それでもフィリピン側からの抗議は無く、普通に試合は始まりました。
第1ラウンド もともとアトム級のナガワ選手は富樫選手に比べていかにも小さい印象。前日の計量もスポーツウェアを着たままおこなったそうで、ちょっとこのマッチメイクには無理があったでしょうか。
いつもは距離を詰めて果敢に打ち込んでいくイメージの富樫選手ですが、この日は、打つときは踏み込み、打ったら飛び退いて距離を作るというインアウトのはっきりしたボクシング。動きも非常に軽快です。
第2ラウンド 左右のフックで積極的に挑むナガワ選手ですが、富樫選手は相変わらず距離をとり、ストレートやアッパーを打っては離れる展開。両者とも手数が増えてきましたが決定的な場面は無く互角。
第3ラウンド 距離を詰めてくるナガワ選手、サッと離れる富樫選手という場面が1分ほど繰り返されます。中盤には富樫選手がさかんにアッパーを狙いますがクリーンヒットは無し。
後半に入って少しのところで左フックを打ってくるナガワ選手と、ボディー打ちに行こうとする富樫選手が激突。富樫選手の頭が、下から突き上げる形でナガワ選手のアゴに当たり、吹っ飛んで尻もちをつくナガワ選手。
この試合を裁いているのは中村勝彦レフリー。彼は菊地奈々子 vs アナベル・オルティス戦の時に軽度の接触でもいちいちバッティングを取ってオルティス選手に何度も繰り返しタイムを与えていたレフリーですが、今回はナガワ選手にまったく休憩を与えずに即座に試合再開を促します。体ごと吹っ飛ぶほどの激突で、あきらかにダメージが疑われるのにこの対応はないでしょう。同じWBCのタイトルマッチで、この扱いの違いは何でしょうか?
再開後は激しい打ち合いになり、フックを打ってくるナガワ選手の顔面に富樫選手のストレートが決まりはじめました。
第4ラウンド ワンツーを打ちながら詰めてくるナガワ選手を富樫選手はサークリングしながらステップでかわして左ジャブ、右アッパー、右ボディー打ちを当てていきます。
後半になると焦りが出たのかナガワ選手は大きなフックをふるってきますが、これを余裕でさばく富樫選手。そして、ラウンド終盤、ナガワ選手が右を打って来るところをかわしながら富樫選手は技アリの左ボディーブロー。
これが鮮やかに決まってリングにしゃがみ込むナガワ選手でしたが、なんと、中村レフリーはダウンカウントを取らずに様子を見ています。そしておもむろにローブローをコール。
ローブローはもちろん反則ですが、レフリーは打った富樫選手に警告をしません。そして、苦しんでいるナガワ選手にタイムを与えず「立ちなさい」と何回も要求。まったく不可解なレフリングです。この間も時間は経過していて試合再開後すぐにラウンド終了のゴング。
ここでオープンスコアの発表があり、39-37、40-36、40-36とジャッジは三者とも富樫選手を支持。
第5ラウンド ポイントで差がついたナガワ選手は前にも増して積極的に前進しますが、これをストレート系で迎え打つ富樫選手にはまったくスキがありません。
残り15秒のところで王者は左右のストレートを15発ほどまとめて連打。これで戦意を失ったナガワ選手が横を向いたところでレフリーが試合を止めました。
富樫選手が久しぶりの後楽園ホールでの試合を圧勝して王座を防衛。
運営やレフリングの面で絶対にあってはいけないようなミスがこの試合にはありました。その事実を忘れず、反省していただきたいと思います。
WBCライトフライ級タイトルマッチ 10回戦
○王者 富樫直美(ワタナベ)
TKO 5回 1分32秒
×挑戦者 ジュジース・ナガワ(フィリピン)
富樫直美選手のTKO勝利。6度目の王座防衛に成功。
今回の結果を含む両選手の戦績は以下のとおりです。
富樫直美 とがしなおみ(ワタナベ)10戦9勝1分5KO
ジュジース・ナガワ(フィリピン)20戦9勝10敗1分5KO
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コメント
テレビ見たけど
このレフリーはひどい。
ダウンかどうかわからなくてアナウンサーも困ってた。
国歌の間違いは侮辱と思った。