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矢吹純と誰も戦わないのはなぜ? 対戦拒否とかそういう話ではなく もともと何も考えないで作った無理ゲーシステムが問題 ボクシング女子

 Boxing

矢吹純 VS 石井愛世_12
 5月5日に予定されている矢吹純選手(協栄/写真)の対戦相手がなかなか発表されないので、おそらくタイ人だろうなあと思っていたらやっぱりタイ人だそうです。


 矢吹選手は昨年日本女子王者になっていて、その最初の防衛期限が今年の2月でした。

 ですから、本来はタイ人なんかと戦わずに日本人と日本王座の防衛戦をやらなければなりません。しかし、それは出来ませんでした。

 なぜかといえば簡単な話です。

 日本ではまだ日本王座のタイトルマッチを定期的におこなえるほどの選手の数がそろってないのです。

 この件に関して協栄ジムさんが会見を開いて、さも相手選手が逃げているようなコメントを出していましたが、それは客観的な事実とは言えません。

 協栄ジムさんは記者さんたちに「(日本王座への)挑戦資格のある3選手」に声をかけたものの対戦を拒否されたと語っているようですが、誰のことかはすぐわかるので、誤魔化さないで事実を具体的に見てみましょう。

 矢吹選手の日本ミニマム級王座に挑戦資格があるのは、日向野知恵選手(スパイダー根本)、塙英理加選手(UNITED)、下岡由美子選手(厚木ワタナベ)の3人です。

 この3人に、1月の試合の打診をしたけど断られ、5月の相手も見つからないと言っているわけですが、当ブログの読者さんたちならお分かりのとおり、この3選手は全員、3月に試合がありました。

 3月の試合の予定が先に決まってたとするなら、1月の試合を持ちかけてもダメに決まってますよね。3月が未定の段階で交渉したとしても元旦の試合は特殊すぎたかもしれません。

 また、3月に試合をしたばかりですから、5月もダメと言われても仕方ないでしょう。

 さらに、もっと重要なのは、日本ミニマム級王座はB級(6回戦)の王座だということです。日向野選手や塙選手はA級の選手で、日向野選手はすでに2回も世界戦をやっているし、塙選手は東洋タイトルマッチをやっているのです。3月の試合がそうだったんです。

 普通に考えればわかりますよね?世界王座や東洋王座を狙っている人たちが、なんで一歩下がって日本王座に挑戦しますか?そんなことしないでしょう。

 金平さんがこのふたりに文句をいうのはおかしいのです。

 結局、いま現在、矢吹選手の王座に本当の意味で挑戦権があるのは下岡由美子選手だけです。

 ですから、下岡選手の試合予定の二ヶ月前とか、二ヶ月後じゃなくて、ちゃんと常識的な準備期間のあるとき、両者の都合の合うときに試合を設定するしかないのです。ひとりしかいない挑戦権保持者なのですから、両者が歩み寄るしかありません。

 しかしね、そうやって初防衛戦をやっても、次の防衛戦はもう挑戦者がいないんですよ。ダメでしょう、このシステム。

 選手が試合を受けてくれないとかいう話ではないんです。選手がいないんですよ。

 いまの日本には全階級で数十人の女子選手しかいません。

 そのうち、アトム級には6人前後のB級選手がいますから、アトム級王者の鈴木菜々江選手(シュウ)は挑戦者探しに困ることは無いでしょうけど、ほかの階級には二人か一人しか挑戦権保持者はいないんです。

 ですから、今後、日本女子王者の防衛戦はどこもおなじような問題にぶつかります。

 文句を言いたいなら、こういうおバカちゃんなシステムを作った人たちに言うべきであって、よその選手やジムにいうことではありません。

 「中南米や南米の強豪選手とやるというのは、なかなか今の状況で予算的な意味もあって厳しい」という理由で、タイ人との試合になったそうですが、なにも中南米の強豪選手とやる必要は無いですよね。

 世界中どこの国でもいいから6回戦の実力に見合う選手を呼べばいいだけで。予算内でそのような選手をたったひとりすら探せないというなら、その無能なマッチメイカーに文句をいいましょう。記者会見で言うことじゃありませんね。

 キックやムエタイでそんなこと言ってるの聞いたこと無いですよ。外国から適格な対戦相手を探し出せない格闘技なんてボクシングだけでしょう。情けない業界だと思います。

 4月1日からタイのインチキ戦績証明が使用出来なくなり、ボックスレック(BoxRec)の戦績だけしか受け付けられなくなったJBC体制下で、矢吹純選手の対戦相手の戦績がどんな数字なのか、これは見ものと思う人も多いでしょう。

 JBCさんがあまり考えないで作った新ルールによって恥をさらすことになった第1号が今回の試合ということで、そのへんのイラ立ちも、今回の会見になったのだろうと思います。

 今回のことは矢吹純選手だけではなく、フライ級の池本夢実選手、バンタム級の吉田実代選手、フェザー級の藤原芽子選手もいずれ突き当たる問題です。

 スマートに解決するにはとっとと日本王座は返上して東洋王座を取るしかないでしょうね。

 選手は悪くありませんよ。スタッフの人材に恵まれていないボクシング業界が悪いんですよ。

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コメント

  1. g1j2p5i5 より:

    OPBFランク更新
    MF級 王者花形選手
       1位黒木選手
    LF級 王者岩川選手
       1位矢吹選手(日本MF級王者)

    そういえば 矢吹選手元LF級シルバー王者(いきなり)でしたよね   当時も王者は岩川選手   対戦実現なるか?

  2. 韮沢 より:

    記者会見を知った時は矢吹純かわいそう、逃げるなよ他の選手と思ったんだけど。そうじゃなかったんですね。
    考えてみたらそんなに選手いないもんね。どうすんだろう。

  3. queens of the ring より:

    >韮沢さん そうなんですよ。矢吹選手は可哀想なことはそうなんですが、一方的に文句言われてるほかの選手はもっと気の毒です。
    昨年9月に、女子日本王座を作ると発表あった時、こうなるのは分かってたんですが、何か書くと「なんにでも反対するやつ」と思われるのもイヤだし(笑)、どうせすぐに問題が表に出るだろうと思って黙ってました。
    防衛期限や指名試合の期限が男子と同じなんですよ、日本女子王座。
    つまり、初代王者は3ヶ月以内に指名選手と防衛戦が義務(今回の矢吹選手はその期限をすでに2ヶ月超過しています)。
    その後は6ヶ月以内に次期防衛。
    さらに9ヶ月以内に指名戦を続けなければいけません。
    と言っても、ほとんどの階級でチャンピオン以外に1人か2人しか挑戦資格者がいませんから、指名戦も、普通の防衛戦も毎回のように同じ相手になってしまいます。
    こういうことになるのを何も考えないで作ったんですよね。日本プロボクシング協会(JPBA)さんと、日本ボクシングコミッション(JBC)さんは。
    かれらは、この問題に気がついていなかったんです。
    どういう人たちなんでしょうか?
    決まりだけ作ってあとは知らん顔でしょ。そりゃあ金平会長もキレますよ。
    キレる方向が違いますけどね(苦笑)。

  4. どうかな... より:

    >韮沢さん そうなんですよ。矢吹選手は可哀想なことはそうなんですが、一方的に文句言われてるほかの選手はもっと気の毒

    イイエ5月に矢吹が逃げられたのは大マジだと思いますよ。
    5月だけでなく1月も交渉したが断られた。
    新設した日本タイトルこそ盛り上げるべきなのに、日本タイトルより明らかにゆるいアジアでの試合などを口実とし、矢吹との対戦を避けたとしか思えません。
    矢吹の返上まちで、1位と2位が決定戦を行うと予想。

    タイのアルバイトさんは確かにひどすぎますが、
    女子のフィリピン人も同じようにしか見えない。
    タイのアルバイトさんは、もう誰もが承知していますので、
    そこだけにこだわらないほうがいいと思います。
    かませは昔からつきものですから、対戦相手がいない場合は
    仕方ないと思います。
    タイ人としかやらないものとしかたなくタイ人とやるものを
    しっかりとくべつしてあげないといけないと思います。

  5. queens of the ring より:

    >どうかな…さん
    コメントありがとうございます!

    矢吹選手陣営/協栄ジムさんが各選手に交渉して断られたのは事実でしょう。
    協栄ジムさんがそう言っていますからね。

    でも、日向野選手や塙選手に断られるのは当然でしょう。
    日向野選手は世界戦経験者。塙選手は東洋戦経験者。
    どうしていまさら日本タイトル戦をする必要がありますか?
    普通に考えればわかるでしょう。

    「新設した日本タイトルこそ盛り上げるべき」というのは一方的な価値観ですよ。
    A級の選手がなんでB級タイトルに手を貸さなければならないんですか?
    そんなことして何が得られるんですか?

    また、タイのアルバイトさんとフィリピン選手は決定的に違うのです。
    タイのアルバイトさんはボクサーじゃありませんが、フィリピン選手はボクサーなのです。どんなに下手なボクサーでも、素人のバイトさんよりはマシです。スポーツとしても、倫理面でも。

    素人のバイトさんをA級やB級の試合に出して「仕方ない」という感覚は自分たちにはありません。
    C級にだって出して欲しくありません。

  6. g1j2p5i5 より:

    岩川選手は OPBF王座を保持したままの池山選手への世界挑戦でしょうから 矢吹選手はまずは待たなければならない・・・ 

    バイトと試合するな→当然
    試合間隔を開けすぎるな→当然
    不条理という一言ではカバーしきれない
    ボクシング業界・・・

  7. queens of the ring より:

    >g1j2p5i5さん
    ええ、本当に不条理な話で。
    選手は戦いたいのに国内では相手が不足。海外選手はマッチメイカーの力不足でタイの素人バイトさんしか調達できない。
    でも、ここでわたしたちファンが「仕方ないからバイトさんでもいいですよ」とはなりませんよね。

    ラーメン屋さんに行って「材料の仕入れが出来なかったからインスタントでいい?」と言われて「仕方ないからそれでいいです」という人はいないでしょう。
    それをどうするのかはお店(ボクシング業界)の問題なんです。
    お客さん(ファン)の譲歩で解決する話じゃありません。
    業界の経営努力が必要なんです。

    仕方ないと言ったらそれでおしまいだと思います。

  8. どうかな... より:

    レスありがとうございます。
    女子ボクシング通なQRさんのご意見とは思えない残念な回答です。
    日向野選手は世界戦経験者って言っても、
    日本アトム級のリーグ戦に参加して敗退した選手。
    『世界戦経験者』だから挑戦するメリットがない!ってことになりますかね…
    塙選手に至っては、QRさんの指摘通り、クリスティーラトゥペwとか、
    フィリピンでタイ人とシルバータイトルwとか不自然極まりない。

    「新設した日本タイトルこそ盛り上げるべき」というのは一方的な価値観ですよ。
    そんなことして何が得られるんですか?」

    世界戦に失敗したA級が日本タイトルに再度挑戦し、
    もう一度世界挑戦をアピールするのはファンに対し一番の説得力だと思います。
    日本タイトルを避けた姑息な世界戦狙いのマッチメークにQRさんは賛成ですか?
    また、新設した日本タイトルを盛り上げるべきは一方的な価値観ですかね?
    純粋に日本チャンピオンが世界チャンピオンに挑戦してもらいたいと思う気持ちが間違っていますか?

  9. どうかな... より:

    「タイのアルバイトさんとフィリピン選手は決定的に違うのです。
    タイのアルバイトさんはボクサーじゃありませんが、フィリピン選手はボクサーなのです。
    スポーツとしても、倫理面でも。」

    タイ人でも、一生懸命戦って悔しなみだを流している女子選手を何人か見ています。
    実際にボクシングジムで練習しているタイの女性も多くいると聞きます。
    昔の話ですが、ウィンユーは小関桃に勝利しています。
    逆に、フィリピン選手の明らかにやる気のない戦いぶりに呆れた事はありませんか?
    予言します、宮尾対アイサーオリコ、100%タイ人以下の試合となるでしょうw
    おそらく3Rまでに棄権すると予想しますよw

    最後に、タイ人がいいと言っているわけではありません。
    QRさんのおっしゃっている通りだと同感します。
    わざわざタイ人とマッチメークするものと、
    しかたなくタイ人とマッチメークしたものを、
    同等のように表記されるのは、少しかわいそうに感じました。

  10. queens of the ring より:

    >どうかな…さん

    わたしたちは矢吹選手だけではなく、どの選手だろうが、相手が噛ませバイトさんの場合には、そのように書いています。

    タイにはプロの女子ボクシングはほとんど存在しないことは断言できます。タイで「ボクシングジム」という名前の施設のほとんどは「タイボクシング」つまり「ムエタイ」のジムです。純粋なボクシングジムはほとんどありません。

    わずかな例外として純粋ボクサーのソピーダ・サトゥムラン選手(http://queensofthering.com/archives/51906804.html)の記事を書いたこともありますが、どこのジムも彼女を呼ばず、ど素人のバイトさんばかりが呼ばれます。

    矢吹選手の1月の相手も5月の相手も、ど素人のバイトさんでした。

    これは事実ですので事実を書くしかありません。

    フィリピンのどんなにひどい選手でもタイのバイトさんよりはマシです。なぜなら、ボクシングジムで練習しているからです。その結果、ヘタであってもそれは選手個人の責任であって呼ぶ側の責任ではありません。

    タイのバイトさんがボクサーでないことは過去の記事でわたしたちは何度も証明しています。ボクサーではないことは呼ぶ側はハッキリ分かっています。それでも呼ぶのは呼ぶ側の責任なのです。

    バイトさんと試合するしかない日本の選手を可哀想だと思うのなら、そのように所属ジムに言ってあげてください。

    「仕方ない」と認めるのは誰のためにもなりません。

  11. queens of the ring より:

    >どうかな…さん
    >残念な回答です。

    残念なのはわたしでも、あなたでもなく、選手でもなくて、日本のボクシング業界です。出来もしないタイトルマッチ規定が残念なのです。

    日本女子王座の規定は「男子に準ずる」となっていますが、選手がいない女子では男子と同じ防衛規定は実行不可能です。

    フェザー級では神成選手をやぶって藤原選手が王者になりましたが、神成選手以外には誰もいないので防衛戦が出来ません。

    バンタム級では吉田選手がカイ選手をやぶって初防衛を果たしましたが、ほかに選手がいないので、もう防衛戦はできません。

    しかし、防衛期限はあるのです。

    どうするんでしょうね? こういう「なにも考えないで作った」決まりこそが一番残念なのです。

    あなたが日向野選手や塙選手の戦績をどう考えるのかは「あなたの主観」の問題です。

    客観的に見れば、彼女たちは現時点ですでにA級であって、B級ではないのですからB級のタイトル戦に出る必要はありません。

  12. queens of the ring より:

    >どうかな…さん

    「日本タイトルを避けた姑息な世界戦狙い」というのは、あなたの一方的な思い込みです。

    世界戦というのは(ましてや日向野選手の場合はJBC未承認の世界タイトルへの挑戦ですから)それなりの根回しや準備期間が必要なのです。

    「矢吹選手から対戦オファーがあったから世界戦を設定してそれに逃げよう」などということは現実的に考えてありえません。協栄ジムさんから打診が来るずっと以前から動いていたプランだったと考えるのが普通です。

    また、3月にタイトルマッチをした選手に、5月の試合をオファーしても、断られるのは当然だと思います。相手にB級タイトル戦に出る意思があったとしても、6月か7月にずらしての話ならともかく、5月では断るほうが自然でしょう。交渉ごとは相手に歩み寄らなければ良い結果は出ません。

    あなたが矢吹選手を応援する気持ちはわかりますが、ほかの選手もわたしたちQRにとっては大事なボクサーです。片寄った見方は出来ませんし、一方の肩を持つことも出来ません。

    協栄ジムさんの一方的な会見を信じないでください。

    悪いのは選手ではないのです。
    公平な目で見てください。

    しかし、なんであんな会見をしたのでしょうね。
    あれでは今後よそのジムとの良い関係を維持するのは難しいでしょう。
    常識的に考えて、要謝罪案件だと思います。

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