Kick Boxing
2011年6月4日(土) 新宿FACE
RISE 78
48kg契約 3分3R(延長1R)
RISEルール つかみ無し ヒジ打ち無し
神村エリカ(TARGET/WPMF&WMC世界女子ミニフライ級王者)
VS
シルビア・ラノッテ(イタリア/J-GIRLS World Tournament 2008、2009王者、WAKO世界女子48kg級、50kg級王者)
厳しい表情で入場するシルビア・ラノッテ選手。Kー1系ルールの世界王者としてのオーラにあふれています。
こちらも気合いの入った目をした神村エリカ選手。壮絶な試合となる予感。
第1ラウンド まずはラノッテ選手の主武器であるサイドキックが1発、2発と飛んできますが神村選手は冷静。
さらにラノッテ選手が打ってくるローキックには左フック、高い蹴りにはローキックと的確に応戦する神村選手。
ラノッテ選手の左前蹴りをつかみブロックしながら左フック。これは浅い当たり。
さらにボディキックにいく神村選手ですが、腰を引いてこれをかわすラノッテ選手。
しかし、神村選手はそれ以上の追撃を許さず、鋭いキックでプレッシャーをかけてコーナーまで追い込みますが、距離がつまりすぎてクリンチブレイク。
ラウンドの中盤、ペースを奪いたい神村選手は得意の左回し蹴り。ガードをしたラノッテ選手がそのまま後方にはじかれるほどの威力。
続けて左ミドルで攻める神村選手。けれども、待っていたのはラノッテ選手の強烈なカウンターパンチ。
そして突き上げるような左のヒザ蹴り。つかみ禁止のルールですが、偶然のからみ合いを装いつつ、しっかりとホールドしながらの攻撃。このあたりはさすがに63戦のキャリアを持つシニアのうまさです。
直線的に相手を追うような動きになっている神村選手にコーナーから「面を使って!」の指示。左右の幅のある動きに修正しながら攻める神村選手ですが、それでもラノッテ選手のカウンターをもらってしまいます。
そこから左ミドル、左右のパンチのラッシュにつなげるラノッテ選手。
ここで神村選手は防戦一方とはならずに、強気に打ち返してラノッテ選手を下がらせます。
攻守がめまぐるしく入れ替わる息詰まるような展開に名勝負の空気がただよい始めますが、ラスト30秒は両者ともクリンチが増えてこれ以上の進展は無し。
第2ラウンド 開始50秒、神村選手の中段前蹴りが決まるとすぐに、ラノッテ選手も上段蹴りで反撃。
開始1分、今度は神村選手のキックとラノッテ選手のパンチが相打ち。まったく互角です。
しだいに2~3発を出してはお互いに組み付くという流れが多くなり、レフリーから両者に口頭注意。
1分30秒、ラノッテ選手のローキックに左を合わせる神村選手。しかし、このあとはレフリーの注意にもかかわらずクリンチの多い展開のために、ブレイクとリスタートの繰り返しでどちらの攻撃も続きません。
残り35秒、ラノッテ選手のローに神村選手がきれいな左のカウンター。
しかし、そのあとは組んでしまうということで両者にイエローカード。
再開後、ガンガン攻める神村選手にラノッテ選手が左サイドキックから右バックスピンキックという技ありのコンビネーション。
そして神村選手の左ミドルに合わせて左ストレート。神村選手も打ち返しますがクリーンヒットはせず。
なおもせめて来るラノッテ選手を押し倒す神村選手。2ラウンドの後半ぐらいから神村選手はこの押し倒しを多用していて、これがラノッテ選手の体力をかなり奪っていたと思います。しかし、RISEルールは組み技禁止ですからこの戦法も実はグレーゾーン。少なくともRISEさんが理想とするピュアな打撃戦からは遠い戦い方であるのは確かです。
1分を過ぎる頃から、飛び込みざまに左フックを打ち、すぐに組み付くという一発勝負的な戦い方にシフトしていく神村選手。
1分25秒、神村選手の飛び込みながらの左フックを、ラノッテ選手がテンカオで迎え撃とうとして相打ち。
ここで打たれた鼻を気にしながら自主的にニュートラルコーナーに下がっていくラノッテ選手。鼻からは血が流れ落ちています。
ドクターチェックの結果は「鼻骨骨折の疑いで試合続行不可能」。
経験と実績ではるかに上の存在のシルビア・ラノッテ選手を10代の神村エリカ選手がTKOで撃破。
しかし、手を挙げられる神村選手には笑顔が無く、マイクを向けられると大泣きしながら「すみません、こんな試合してしまって」と観客に謝罪。
たしかに、これがムエタイだったのなら手放しで神村選手の圧勝と言える勝ち方ではありましたが、組み技無しを売りにしているRISEルール的には微妙な勝利だったとは言えるでしょう。
距離が詰まるとすぐに組んでしまうのは相手の圧力がすごかったのか、ショートレンジの展開に課題があるかのどちらかですし、左フックでの突撃戦法も結果的には正解でしたが、不発の場合はきわどい判定になってしまう可能性もありました。
しかし、勝負論的には勝ちは勝ちです。サッカーでも、華麗なパス回しで相手を崩しての勝利も、単純な放り込みで1点をもぎ取っての勝利でも、勝利は勝利ではないですか。なにも恥じることではありません。いまから世界に向けて売り出そうという神村選手にとってはビッグネームの撃破こそが最大の武器となるのです。
48kg契約 3分3R(延長1R)
○神村エリカ(TARGET/WPMF&WMC世界女子ミニフライ級王者)
TKO ドクターストップ 3回
×シルビア・ラノッテ(イタリア/J-GIRLS World Tournament 2008、2009王者、WAKO世界女子48kg級、50kg級王者)
神村エリカ選手のTKO勝利。
シルビア・ラノッテ選手鼻骨骨折の疑いによりドクターストップ。
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コメント
試合に勝つ事の難しさをわかってくる様になるよ。勝っても悔し涙、この悔し涙が次に繋がるからね。