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ボクシングコミッション制度は時代遅れ リングスポーツの環境を考える

 Boxing

 長い間日本のプロボクシングを統括してきた組織であるJBCさんが事実上の機能停止状態におちいり、新コミッションに実権が移行することになったようです。新コミッションの名称や具体的なディティールは未定ですが、旧JBCのスタッフのみなさんがほとんど新組織に移動するとのことで、実際的には名前が変わるだけで運営方針などにはこれまでとの明確な差は生じないもよう。

 あるいは、新コミッションに移行しないで旧JBCが幹部の一部を入れ替えただけでスタッフとシステムはそのまま存続する可能性も高く、いずれにせよ日本のボクシングコミッション制度に根本的な変化はないと思われます

 さて、今回のJBCさんの大激震では安河内事務局長の使い込み疑惑などのスキャンダルや、あるいは事務局長が一部選手に不当に便宜をはかっていたのではないかという癒着疑惑が注目されていますが、問題の本質は個人の資質や行動に限定されるものでは無くて、JBC(日本ボクシングコミッション)さんという組織全体の在り方から来るものであると思います。

 というのは、日本のプロボクシングのシステムは大相撲のそれとほとんど同じ構成になっていて、ボクシングジム(=相撲部屋)が実質的に業界を動かし、ボクシングコミッション(=相撲協会)がその活動を管理するという仕組みであるわけですが、問題は、ボクシングであっても相撲であってもプロ興行のみを専門に管理する組織であるために、プロの業界との距離が近すぎて、なにか業界内で問題が起きてもそれに客観的に対処が出来ない、具体的に言えば、有力ジム(部屋)やスポンサー(タニマチ)その他の影響を受けた対処になってしまうという共通の弱点があるのです。また、距離の近い人たちの集まりであるために外部に対する情報公開の意識が低いということも共通の問題です。

 近年、相撲協会にいろいろな深刻な不祥事が吹き出していますが、おなじ財団法人仲間である日本ボクシングコミッションにも同じような問題が噴出するのは機構の仕組みからして時間の問題だったと言えるでしょう。ですから、今回はいまのところ個人の責任問題に焦点が当てられているこのイザコザも、再発防止を考えればもっと深いところから手をつけることが相撲と同じ道を行かないための根本的な選択となるわけです。

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 ボクシングコミッションがプロボクシングの管理をするのは一見当然のような感じもしますが、実はそうではありません。たとえば、アメリカにはボクシングコミッションというものが無く、ボクシングの管理をしているのはアスレチックコミッションとかスポーツ会議などと呼ばれる各州の組織となっています。そして、この組織はボクシング、ムエタイ、キック、総合格闘技などのコンバット・スポーツのすべてを一括して管理し、コンバットスポーツ全体の健全性をチェックしているのです。

 これと同じものが日本にもあれば画期的に状況は変わります。例えば、日本ではボクシングに他競技の選手が出ることや、他競技にボクサーが出ること、ボクシングとキックやムエタイの合同興行などを旧JBCさんがかたくなに拒否してきましたが、すべてが同一コミッションのもとに管理されればこれを否定する理由はなくなります。どの競技も同じ基準で同じ内容のメディカルチェックをおこなうわけですから安全管理上の問題はありませんし、ジャッジやレフリーの管理も共通なら不公平が起こることも防止出来ます。

 ボクシングと他の格闘競技の垣根が取り払われれば、選手のほうもより可能性のあるリングを求めて自由な活動が可能になりますし、プロモーターも大会の内容に個性を打ち出せますし、何よりお客さんにとっては興味ある大会の数が増えるわけで、格闘競技全体が活性化されるのではないでしょうか。

 アメリカ型のアスレチックコミッションは、選手の健康診断、ジャッジやレフリーの資格認定、プロモーターの資格認定など試合の公正保持にかかわるすべてのことを管理し、さらに、ファイトマネー、有料入場者数などもすべてチェックして全部公開情報にしてしまいます。このために、アメリカではガラガラの大会を超満員などといってありもしない人気をでっち上げたり、選手のファイトマネーをごまかしたりというようなことが出来ないのです。

 このシステムが日本でも導入されれば、日本のこの業界につきものの「実は裏ではひどいことがおこなわれているのではないか」「自分が払うチケット代がへんなほうに流れていくのではないか」というような悪い噂も消えて行き、クリーンなイメージを獲得することが可能になるでしょう。

 このようなことが日本で実現出来るのかどうかはわかりません。遠い夢かも知れません。でも夢があるからこそわたしたちは生きていけます。

 どうすれば、日本のボクシング界が、真剣勝負の格闘競技が、より評価されて、選手や関係者たちの努力がむくいられるようになるのか。コミッションの問題を考える時には目の前のスキャンダリズムに流されることなく、そのことをいつも頭の中に置いていたいものですね。

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コメント

  1. X より:

    今回のJBC問題、泥沼に向かっていると見ています。
    安河内氏のどのような行動が問題だったのか、団体分裂までしなければならない問題なのか。
    もっと大きな問題があるんだぞと匂わせながらそのことについてはなにも明らかにしておらず、結局は追求するほうも隠蔽体質なのは困ったものだなと。

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