Boxing
2013年3月3日(日)東京 後楽園ホール
G-Legend 5
WBC世界ライトフライ級王座決定戦 10回戦
柴田直子(ワールドスポーツ)
VS
イベス・サモラ(メキシコ)
二回めの世界挑戦のチャンスを得たOPBFライトフライ級王者柴田直子選手。きょうの試合にかかっているのは富樫直美選手(ワタナベ/引退)が2008年から4年間保持していたあのWBCライトフライ級のベルトです。
柴田選手とベルトを争うのはメキシコから来たイベス・サモラ選手。過去に多田悦子選手(フュチュール)のWBAミニマム級王座に挑んで敗れていますが、それから2年の間に7試合して3連続KO勝ちと判定勝ち2つを記録。判定負けが2つありますがいずれも僅差で実際は勝っていたと言われる内容。経験値を重ねて初来日の時よりも大きく成長していることが予想されます。
第1ラウンド フェイント含みの動きからジャブ、そして右ボディーを多用する柴田選手。サモラ選手も打ち返しますが、確実性では柴田選手。
第2ラウンド サモラ選手はジャブを省略していきなり距離をつめ、そこから左右のボディーフックを連打。柴田選手は左ストレート、ボディーで対抗しますが、しだいにサモラ選手が力任せにペースを掴みはじめた感じです。
第3ラウンド イベス選手は両拳を体の前にかまえている時間が非常に短く、絶えずパンチを出している印象。強引に接近して小さなボディーパンチを4~5発続け、その後にアゴへのフックやアッパーにつないできます。
柴田選手はカウンター気味にきれいに当てますが、イージーなパンチを大量に打ってくるサモラ選手が手数では上。
ラウンド中に突然両手を挙げたり、右手をグルグル回したりして挑発するサモラ選手。柴田選手はまったく気にせず5発6発と叩き込みますがダメージを与えるまではいきません。
第4ラウンド この回の前半は柴田選手が明確に距離を作ってアウトボクシング。追いかけてくるサモラ選手にカウンターを見舞います。
後半は打ちに出て4連5連のコンボを決める柴田選手。けれどもサモラ選手も打ち返し、互角な展開です。
ここで最初のオープンスコア。ジャッジひとりが39-37で柴田選手を支持。あとのふたりは38-38でタイ。明白に勝ってる、とは言えない小差リードの非常に競った状況。
第5ラウンド この回も柴田選手はサモラ選手のフック乱打封じのために離れて距離を作ります。すると、サモラ選手はフックをあきらめて左右のストレート。
続けて距離をつめながら結局はまたフック連打状態。きちんと組み立てたコンビネーションではなく依然としてそのほとんどはボディ打ち。手数で勝負、という感じです。
柴田選手はパンチの緩急で試合のリズムを作っていくタイプなので、最初からずっと同じペースで手を出し続けるサモラ選手とはあんまり相性が良くないように見えます。
第6ラウンド この回は柴田選手も連打で出て行きます。柴田選手らしい上下左右に打ち分けながらのラッシュです。
サモラ選手も連打で反撃。ひたすらボディを打ち続け、その合間にアゴを狙ってきます。とにかくしつこいというか、驚異的な粘り強さ。
第7ラウンド 柴田選手がワンツーからボディで相手を下がらせます。
ここで2回めのオープンスコア。なんと、ジャッジ全員が67-66でサモラ選手を支持。柴田選手の手は世界タイトルには届かないのか?
第8ラウンド この回はサモラ選手のほうから距離をとってアウトボクシング。というより、手を休めて相手の動きを見ています。ポイントでリードした余裕か?それとも体力が切れたのでしょうか?柴田選手がジャブで誘い出してストレートを当てると、再びサモラ選手が出て来て後半は密着戦となりました。依然として手数ではサモラ選手。
第9ラウンド 柴田選手がアッパーとフックを連続ヒットさせたのを皮切りに密度の高いラッシュで押していくと、サモラ選手はキレたように体ごと押し返しながらメチャクチャなボディー連打で対抗。表情から察するにサモラ選手の体力と集中力もそろそろ限界に近い印象。
第10ラウンド 柴田選手が攻勢。勢いのあるパンチを緩急と角度の変化を付けながら次々にヒットさせます。
サモラ選手は柴田選手をハーフクリンチにとらえて片手でボディを連打しながら時間かせぎ。最後は体ごと押し込むようにして柴田選手のボクシングをつぶします。ここで試合終了のゴング。サモラ選手は即座にコーナーに駆け上がって両拳を高々と突き上げて自分の優勢をアピール。
最後の2ラウンドで柴田選手が逆転か?それともサモラ選手が苦しみながらも逃げ切ったか?注目の判定は、柴田選手支持1、サモラ選手支持2のスプリットでサモラ選手の勝利。
柴田直子選手は的確なワンツーと鋭いカウンターでしばしば対戦者の顔面を弾いて良い場面を作りましたが、イベス・サモラ選手は無尽蔵とも思えるスタミナと前進力で大量のパンチの雨を降らせながら10ラウンドを疾走。僅差の勝負を強引に押し切って世界タイトルを掴みました。
ボクシングの中身では柴田選手が断然上ですが、なんとしても勝ちたいという執念、しつこさではサモラ選手だったかもしれません。柴田選手、実に惜しい一戦でした。
WBC世界ライトフライ級王座決定戦 10回戦
×柴田直子(ワールドスポーツ)
判定 1-2
○イベス・サモラ(メキシコ)
スプリットデシジョンでイベス・サモラ選手が勝利しWBCライトフライ級新王者となりました。
(94-96、96-94、94-96)
この結果、両選手の戦績は以下のようになります。
柴田直子 しばたなおこ(ワールドスポーツ)12戦9勝3敗3KO
イベス・サモラ(メキシコ)22戦17勝5敗7KO
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