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賞賛に値するワールドクラスの防衛劇 柴田直子 VS アナ・アラゾラ(アラソラ) IBFライトフライ級タイトルマッチ 試合経過 ボクシング女子

 Boxing

2014年8月2日(土)東京 足立区総合スポーツセンター
EARNEST EFFORTS 2 Thank You Father

IBFライトフライ級タイトルマッチ 2分10回戦
王者 柴田直子 しばたなおこ(ワールドスポーツ)
VS
挑戦者 アナ・アラソラ(メキシコ)

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 IBFライトフライ級チャンピオン柴田直子選手の二度目の王座防衛戦です。

 日本人女子のボクシング世界王者は常に何人か存在し、防衛戦も少なからずおこなわれていますが、悲しいことに、その防衛戦の相手がボクシングファンでも知らないような無名/無実績である場合が多く、それが日本にある女子王座の価値を非常に低くしているのです。しかし…

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 この日、柴田選手が迎える挑戦者は現WBFed王者で、世界のトップクラスと何度も拳を交えてきた歴戦のアナ・アラソラ選手。この人なら世界の誰に見せても恥ずかしくない挑戦者と言えます。つまり、かなりヤバイ相手。

 ドイツのスージー・ケンティキアン選手、アルゼンチンのジェシカ・ボップ選手(二回)、韓国のパク・ジヒョン選手といったトップ中のトップと10回戦を戦っており、その経験値は絶大。いずれも黒星であったもののすべて判定まで持ち込んでいるところが彼女に『倒されない能力』があることを証明しています。また、勝利のうちの半数以上がKOでありパンチ力もあなどれません。


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 挑戦者らしく第1ラウンドから積極的に打ってくるアラソラ選手。サウスポーの彼女はメキシコ女子特有のヨコに広がる軌道のパンチを思い切り放ちます。

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 ちょっとタメがあり、決して速いパンチではないものの、日頃の練習ではほとんど経験しないタイミングで打ち出されるためか、山口直子選手など日本のトップクラスでも意外にこういうタイプのメキシカンには苦戦しています。また、見た目以上に重くて効くパンチなので、これはうかつにもらうと一発でも命取り。

 このパンチを柴田選手は軽いステップで前後左右にさばいて無難に序盤を切り抜けます。常に距離をコントロールし、相手の正面に立たず、速い出入りを心がけた素晴らしいフットワーク。

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 スキを見つけてはヒットを奪っていた柴田選手の左右が、中盤になって相手のスピードが落ちてくるとともにその頻度を増します。

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 アラソラ選手は強引な前進からの打ち合いを望みますが、クールなボクシングに徹して乱打戦には応じない柴田選手。

 このクラスの相手になると乱打戦は単なる打撃戦ではなく、体全体を使った押し込みや、もたれかかってくるようなクリンチ、片腕をホールドしての密着パンチなどのグダグダのテクニックで、心理的・体力的な消耗戦を仕掛けてくるのが定石。それをよく知っている柴田陣営、ダークな密着戦は拒否する的確なゲームコントロール。

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柴田直子 VS アナ・アラソラ
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 自分のペースを作れないアラソラ選手はそれでも勝機を求めて手を出し続けますが、柴田選手は機先を制するカウンター、相手の打ち終わりを狙った追撃、上下に散らしたパンチからのコンビネーションなどで、要所要所を押さえて優勢をキープ。

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 後半になると柴田選手の猛攻に耐えきれずクリンチが多くなるアラソラ選手。

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 さらに柴田選手の左右がアラソラ選手の顔面を直撃するシーンは増えて、

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 第9ラウンド1分49秒、柴田選手のパンチで棒立ちになったアラソラ選手を見てレフリーが試合をストップ。肩を落としてコーナーに帰る挑戦者。柴田直子選手、堂々のTKOでIBFライトフライ級2度目の防衛に成功。もともと定評のあるテクニックに加え、課題であったパンチ力も増しており、説得力十分の理想的な完勝でした。

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琴奨菊関と柴田直子選手
 応援に駆けつけた琴奨菊関と

IBFライトフライ級タイトルマッチ 2分10回戦
○王者 柴田直子 しばたなおこ(ワールドスポーツ)
9回 TKO
×挑戦者 アナ・アラソラ(メキシコ)
柴田直子選手がレフリーストップTKOで勝利し同王座の2度目の防衛に成功。

この結果、各選手の戦績は以下のようになります。
IBFライトフライ王者
柴田直子 しばたなおこ(ワールドスポーツ)16戦13勝3敗4KO
WBFedライトフライ級王者
アナ・アラソラ(メキシコ)32戦20勝10敗2分13KO

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コメント

  1. より:

    柴田さん、おめでとうございます!柴田さんの試合は幾度も観戦しましたが、クールであっても何か物足りない印象でしたが、素晴らしいチャンプに成長された事を喜んでいます。
    格下相手の指名試合などでは何度防衛しようとも価値は無く、選手では無く、所属ジムの姑息さが非難されるところです。
    柴田さんと所属ジムに対して敬意を表したいです。益々、頑張って下さい。

  2. 北国の男 より:

    動画は見ていませんが、この試合、なかなかの迫力ですね。
    両選手のウェア(ブラトップ&トランクス)のデザインも良いと思いますし。
    柴田選手の試合、機会があればライヴで見てみたいです。

    ちなみに8月2日(土)ですが、入っていた予定がなくなったので、思い切って上京してGirls S-cupを観戦したのでした。
    こちらの試合の観戦も考えましたが、足立区総合スポーツセンターは綾瀬駅から更にバスに乗らなきゃならないようなので、代々木駅前のGirls S-cupにしたのです。
    よってGirls S-cupのレポは不要ですし、柴田さんの試合をレポしてくれて感謝、です。

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