Muay Thai
2015年9月27日(日)ディファ有明
SUK WEERASAKRECK X
WPMFピン級世界タイトルマッチ 2分5R
王者 リトルタイガー LITTLE TIGER りとるたいがー(WSRフェアテックス三ノ輪)
VS
挑戦者 伊藤紗弥 いとうさや(尚武会)
9月27日ディファ有明でおこなわれたWPMFピン級世界タイトルマッチ、挑戦者伊藤紗弥選手の入場です。
ワイクルーの間も両選手に対する声援、拍手が飛び交い、盛り上がってくる場内。
試合開始。ローキックとパンチで先制攻撃をかけるリトルタイガー選手。
即座に反撃する伊藤紗弥選手。いい試合になりそうなオープニングです。
しかし、ここからが予想外の展開。伊藤選手は次々に思い切った攻撃を繰り出しますが、タイガー選手はなかなか手が出ず、相手を見ながらじりじりと後退。
伊藤選手は常に前進して近い位置からプレスをかけているので、つねに彼女の背中には広い空間があり、
タイガー選手が蹴ってきても軽く飛びのいて空振りさせることが出来ます。
反対にタイガー選手はすぐ背後がロープで連続攻撃を受けると下がるスペースがありません。
ロープを背にしながらも反撃をするタイガー選手ですが、伊藤選手はなにごともなかったように前進を続け、
いつものリトルタイガー選手なら、相手が出てきても横に動いて攻撃線をかわすので、あまりロープに追い込まれることはないのですが、この日は真っすぐ下がるばかりなので常に優位に立つのは伊藤紗弥選手です。
下がったタイガー選手が強引に前に出ようとしたところに前蹴りのカウンターを見舞う伊藤選手。
カウンターの前蹴りとタイミングのいいローキックは本来ならリトルタイガー選手の得意技ですが、この試合でそれを使いこなしているのは伊藤選手。
このような場面が試合中何度も見られたということは、タイガー選手のポジショニングや体のバランス、重心がくるっていたことのあらわれでしょう。
また、体を真横に向けて激しく蹴り込むタイガー選手特有のサイドキックも序盤に一度出ただけ。飛び技に至っては出る気配もありません。タイガー選手、あきらかにいつもと違います。
後半になっても伊藤選手のアタックは衰えず、タイガー選手の敗色は濃厚。伊藤選手は近い位置でのプレスをゆるめず、左右の動きに乏しいタイガー選手を追いつめます。
最終ラウンド。ポイントでは明確にリードされ、一打逆転しか道のないタイガー選手はパンチとヒジで前進しますが、ジャストミートせず。
伊藤選手は打点の高いキックを連発して駄目押し。勝利を強く印象付けて試合終了。
WPMFピン級世界タイトルマッチ 2分5R
×王者 リトルタイガー LITTLE TIGER りとるたいがー(WSRフェアテックス三ノ輪)
判定 0-3
○挑戦者 伊藤紗弥 いとうさや(尚武会)
伊藤選手の勝因は、半歩ステップすればなんでも当たるような攻撃的なポジションを常にキープしたこと。これは攻防ともにかなりの自信があって初めて出来ることで、素晴らしい集中力を見せてもらいました。
昨年の対紅絹戦、対イトゥー戦のころに比べて打撃の圧力も増しており、特にそのハイキックは必見。速さ、高さ、インパクトともにまさしくプロの技。試合全体もハイテンポで支配しての完勝でしたね。
一方のリトルタイガー選手は「本来の姿ではない」のひとこと。なぜそうなったのかは客席からはとうていうかがえませんが、大いに優位と思われた選手があっけなく崩れるときのパターンにおちいっているように見えました。いくら気持ちの強い選手でも長い激闘の中で、一瞬、そのようなことが訪れるときがあるのでしょう。
8月のバンコクに続いての連敗ではありますが、判定負けとなった対プンサイアーム戦では、リトルタイガー選手は攻守ともに非常にいい動きを見せており、本来なら相手を倒してのKOも期待出来るパターン。
それを逃したのはなんと言っても相手のプンサイアーム選手が驚異的に打たれ強かったため。試合内容も組んだときに少しでもヒザを入れていればタイガー選手の白星となったような僅差でした。この記事に貼ってある動画を見てもらえばわかると思いますが、タイガー選手の実力にはまったく衰えはありません。
長く女子の試合を見てきて一般論として言えることは、30代にさしかかった選手は肉体的にも技術的にもさらにもう一歩伸びる時期であり、今後もますます期待出来ると言うことです。今回は不本意な試合だったでしょうが、次のタイガー選手の試合にも大いに期待しています。
Suk Weerasakreck Fairfax X
September 27th, 2015, at Differ Ariake in Tokyo
WPMF Pinweight World title diffence 5x2min Little Tiger vs. Saya Ito
Saya Ito wins by UD.
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コメント
伊藤選手強いですね。
タイガーも不調ではなかったと思います。
本来の動きを出来ない試合、というのは
相手がこちらを上回っていたということです。
本来の動きをさせてもらえなかったから負けるんです。
負けるときはそんなものです。
>通りすがりさん
コメントありがとうございます。伊藤選手強いですよね。
リトルタイガー選手の動きを良く研究していて、タイミングを潰し、距離を潰して、動きを封じていました。もちろんそれが最大の勝因です。
しかし、リトルタイガー選手の崩れかたはそれだけの話でしょうか。
次のキルビー選手との対戦も伊藤選手のときとほとんど同じパターンの敗戦に見えました(テレビ観戦ですが)。
伊藤選手もキルビー選手も強いですが、試合にはいろんな側面があると思いますよ。