Boxing
ボクシングの世界では、海外から選手を呼んでみたところ、あまりにもひどい選手だった場合、JBCさんから『招聘(しょうへい)禁止ボクサー』に指定されることがあります。招聘禁止ボクサーリスト
ひどいというのは、お客さんに見せられないほどヘタクソだったり、やる気がなかったり、打たれてないのにバッタリ倒れてKOになったりの、要するにインチキボクサーだったということですが・・・。
ボクシングファンなら日本国内の試合でタイ人ボクサーが出てくると「あ、KO負けだな」と試合前から分かってしまうほどタイ人選手の日本国内での負け率は圧倒的。90%をはるかに越える負け率で、試合放棄みたいなTKO負けも多いです。
ところがこれが世界タイトルマッチとなると、タイ人選手は見違えるほど強い選手が多く、特にタイでおこなわれる世界戦(JBC公認)ではこれまでのところ日本人男子選手は通算20敗1分で、全然タイ人に勝てません(WBC女子世界戦でJBC非公認時代の菊地奈々子選手と、2010年の富樫直美選手がタイで勝ったのが貴重な例外)。
これはどういうことかと言うと「弱い選手、負けてくれる選手しか日本側が呼ばない」からです。
だから、日本では日本人選手が圧勝なのに、タイではタイ人選手が圧勝なのです。それ以外にこんなことになる理由はありません。
というわけで、日本国内でのタイ人選手の試合は世界戦以外はハナっからインチキなのですが、その中でも特にひどかった場合に『招聘禁止』となるのです。よほどひどい試合をした場合ですね。
女子では数年前に、試合開始のゴングの直後に何もしないでコーナーにへたり込んでTKO負けになったタイ人女子が招聘禁止になっています。
そして、つい数日前サオスコータイ ・ポー・プリーチャジム選手(タイ/写真)が招聘禁止に指定されました。
しかし彼女は2014年に西村聡美選手と戦って以来、一度もボクサーとしては来日していないのでいまごろ招聘禁止になるのは実にヘンな話です。
で、理由を見ると「複数リングネーム、複数戦績判明」ですね。
たぶん、最近、日本人選手の相手として呼ぶことが決まっていたタイ女子選手の写真資料を送ってもらったら「あれ?前にこの選手見たことあるぞ。サオスコータイ選手じゃないか。名前も戦績も違うけど!」ということなんでしょうね。
でも、そんなの驚くことではないのです。当ブログでは何度も書いていますが、タイでは女子のプロボクシングは事実上存在しません。一般にまったく人気が無く、女子のプロボクサーがほとんど存在しないので、女子ボクシングの試合を組みたいときは、プロモーターがムエタイ選手を借りてきて「蹴らないムエタイ」をやってもらいます。タイの女子ボクシングはその程度の世界なのです。
日本では所属ジム間の選手の貸し借りは禁止されていますが、タイでは一般におこなわれていることです。
だから、公式戦績とかの資料も選手を借りてきているだけのプロモーターはよく分からないので、勝手に作っているものと思われます(当ブログではタイ人選手のボクシング戦績は白紙扱いにしています)。
日本と違ってリングネームが変わることも珍しくなく、また、プロモーターが勝手にリングネームを付けたり、キャッチコピーとネームが混同されたりということも日常茶飯事で、それも日本から見れば「複数使用」に見えるかもしれません。
というわけで、おそらく、サオスコータイ選手本人がまったく知らないところで今回の『問題』は発生し、来日が流れ、彼女は二度とボクシングでは日本に来れなくなったわけですが、QRはこれで良かったと思っています。
だって、彼女はボクサーではないのですから。
彼女はムエタイ選手で、ボクシングで上を目指しているわけでもなく、ボクシングのトレーニングも受けていないのに、プロモーターから日本行きをブッキングされ、仕方なくリングに上がっただけです。
仕事ですから聞かれれば「頑張ります」とか「勝ちます」と言うかもしれませんが、それは本心ではありません。
これはとても危険なことです。ボクサーじゃない人にボクシングをやらせてはいけません。
ムエタイ選手だといっても、技術体系が違い過ぎてボクシングには応用出来ませんし、ムエタイでは相手をボコボコにする直前に試合を止めますが、日本のボクシングではストップが遅いこともあります。
今回、日本のボクシング界から追放されて、サオスコータイ選手は本当に良かったわけですが、これは彼女に限らず、タイの女子選手全般に共通することですので、この際、全部のタイ人女子選手をボクシング招聘禁止にしてくれたらとても嬉しいです。
また、男子のタイ人ボクサーも世界タイトル保持者以外は全部招聘禁止でいいと思います。
最初からゴミみたいな試合にしかならない日タイ戦を組もうとする日本とタイのボクシング関係者さんたちも全員ライセンス停止にして下さい。
そうじゃないと、いつまでも日本のボクシングの不人気は続きます。
タイ人選手相手の噛ませ試合が無いと困るジムは多いでしょうけど、噛ませを見せられるファンはもっと困っているんですよ(苦笑)。
コメント
それも一理あるなぁ。
忘れてはいけないが富樫直美元選手も タイで勝利したことも 誇りに思うが
>ゆめさん
そうです、富樫選手もタイの炎天下で勝ってましたね!本文訂正しておきます。ご指摘どうもありがとう。