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プロボクシングとアマボクシングは違う競技 日向野知恵 VS 千本瑞規 日本女子ミニマム級タイトルマッチ 試合経過 Dangan beyond ボクシング女子

 Boxing

2019年6月25日(火)東京 後楽園ホール
Dangan beyond

第5試合 日本女子ミニマム級タイトルマッチ 6回戦
王者 日向野知恵 ひがのちえ(スパイダー根本)
VS
挑戦者 千本瑞規 ちもとみずき(ワタナベ)

青コーナーは千本瑞規選手。もとアマボクシング全日本2位の実力者。なんとプロ2戦目でタイトルマッチです。

赤コーナーはチャンピオンの日向野知恵選手。世界戦やアジア戦など、経験値豊富なプロボクサー。

千本瑞規

挑戦者の千本選手はゴング直前にカメラにこの表情。アマ出身ながらプロの風格は十分です。

第1ラウンド 千本選手は距離を置き、両腕を下げて相手をうかがいます。ガードに頼らないディフェンスに自信があるのでしょう。

 王者の日向野選手はいつものように積極的に仕掛けるのですが、どうも様子がヘン・・。不安定なステップで少しづつ近づき、止まってからジャブを出すというなんともらしくない動きです。

 これでは打つタイミングがモロバレで当然千本選手のジャブのターゲットに。

 サークリングしながら距離を置き、接近してくる日向野選手を狙い撃つ千本選手。

右に左に動きながらジャブを放ち、初回からリードを奪う挑戦者。

 第2ラウンド このラウンドも日向野選手は千本選手のジャブに苦しみます。

 前進しながらジャブ、そして右ストレートを出す日向野選手。でも、写真では当たっているように見えるこれらのパンチが実際にはことごとく千本選手にはずされています。見事な距離感。これをやられると日向野選手は焦るでしょう。

 打ち気に早って出てくるチャンピオンに、待ってましたと出迎える挑戦者の右アッパーカット。これで日向野選手は鼻から流血です。

 ジャブとアッパーが次々に弾着し、早くも旗色が悪い王者日向野選手。

 しかし、第3ラウンドになると日向野選手の動きが変わります。読まれやすい小さなステップを捨て、比較的遠い間合いから飛び込みざまに左あるいは右のパワー勝負。

 左はジャブではなくてボディーを狙い、対角線上で右オーバーハンドという強引な攻め。韓国メデイアから『ブルドーザー』と言われた日向野選手の前進に、千本選手が勢いを無くしていきます。このラウンドは互角でしょうか?

 第4ラウンド 強打を放ちながら進む日向野選手を相手に、千本選手が出来るのは苦し紛れのクリンチ。アマチュアでは経験しないであろうブルファイトに、プロ1戦のキャリアしかない千本選手は対処できません。

 距離のあるところではジャブを刺し、華麗にパンチをかわす千本選手。

 しかし、詰められると抱きつく以外になすすべなく・・、

 一方、ペースをつかんだ日向野選手は、それまで見せなかったダブルボディーや左フックなどで比較的近い距離をうまくリードし、混戦の中で有効打を打ち始めます。

 第5ラウンド 勢いに乗った王者日向野選手は強引な接近からショートレンジで有効打を放つと、千本選手にダメージは無いものの体勢は崩れて日向野選手有利の展開。

 クリンチが続く千本選手。やはり日本の女子アマチュアボクシング出身の選手は共通してショートレンジでの勝負の経験が乏しいのか、距離が詰まるとなにも出来ないようです。日向野選手の圧力が強いということもありますが、それにしてもクリンチ一択とはプロとして情けない光景です。もう少し期待していたのですが。

 千本選手は離れたところでは正確なパンチが打てるし、タイミングで打つ右アッパーも良かったのですが、そこから続く攻撃が何も無いので状況を支配できません。

 アマと違ってプロでは選手同士の体が接近してもそのまま試合は続きます。その結果、お互いの体が接触したり、もつれあったりすることになります。そこで簡単に倒れてしまうのもアマっぽいなあと思ってしまいました。もちろん、スリップダウンは減点にはなりませんが、ショートレンジの体勢争いで負けている、重心が不安定ということを意味するので、いい材料ではありません。

 千本選手のジャブをもらったとしても、右の威力で勝てると判断した日向野選手の前進には迫力があり、このラウンドは日向野選手が支配しました。

 ここまでの採点ではおそらくドロー。差があったとしても1ポイント程度の流れと思われます。日向野選手がこの勢いでベルトを防衛するのか?千本選手には序盤の勢いはなく、ワンダウンでも奪えば日向野王者の勝利も考えられます。

 最終第6ラウンド 前進する王者とバックステップの挑戦者。

 日向野選手がプレッシャーをかけていくと、

 例によって千本選手はクリンチの一手。しっかり押さえつけたい千本選手と、それを振り払いたい日向野選手の顔面が激突してしまいます。この時に千本選手が負傷。

 離れた瞬間にハッキリわかった挑戦者の流血。

 ドクターチェックの結果は試合続行不可能。試合は後半まで消化していたので、勝敗はほんの少しで終わった第6ラウンドを含む判定となります(負傷判定)。このラウンドをどっちに付けるかはもう気分でしかないですね・・。

 判定はジャッジ一者がドロー、二者が千本選手を支持してチャレンジャーの判定勝利。日本女子ミニマム級王座は新王者へと移動しました。

第5試合 日本女子ミニマム級タイトルマッチ 6回戦
×王者 日向野知恵 ひがのちえ(スパイダー根本)
負傷判定 0−2 第6ラウンド 0分33秒
○挑戦者 千本瑞規 ちもとみずき(ワタナベ)
千本瑞規選手が第6ラウンド負傷判定を2−0で勝利。
日本女子ミニマム級新王者となりました。
(57−57、56−59、56−59)

 日向野選手にとっては、押していた流れの中での突然の終了でしたので残念な結果だったと思います。QRの視点では内容的にはドロー。つまり、日向野選手の防衛という印象でした。現実には千本選手に予想外にポイントが流れていましたが、現実とポイントが一致しないのはよくあることなので・・。

 試合の質ということに関しては、日向野選手の前半の出来が悪かったのは事実ですし、千本選手の引き出しがけっこう浅かったのも事実で、特に熱戦ではなかったです。

 負傷判定は双方に不満が残るので、出来れば再戦がいいと思います。王座と言っても、主に経験値を得るための6回戦王座なのですから、もったいぶらずにどんどん組んでいくべきでしょう。ファンとしては、お互いに向上して次回はもっといい試合になることを望みます。

日向野知恵 ひがのちえ(スパイダー根本)17戦8勝(うちタイ人1)9敗2KO(うちタイ人1)1分
千本瑞規 ちもとみずき(アマチュアボクシング全日本2位/ワタナベ)2戦2勝(うちタイ人1)1KO(うちタイ人1)

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コメント

  1. 匿名 より:

    有料動画で拝見させてもらいましたが、私の採点では日向野選手が取ったの5ラウンドだけでした。それにしても千本選手のスタミナのなさには情けないです。恐らくあのノーガードのスタイルはスタミナ消耗のためにガードを下げてるものだと思われます。日向野選手も日向野選手で、頭とパンチが同時に飛んでくるあのスタイルは見ていて見苦しいです。辛口コメント失礼しました。

    • queensofthering1 より:

      >匿名さま コメントありがとうございます!
      結果的に辛口であっても甘口であっても、見たままのコメントなら大歓迎です。
      日本のボクシングメディアのレポートは事実にそぐわない激甘なものばかりですが、
      ファンまでそうなっちゃたらおしまいですもんね。今後ともよろしくです。

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