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前OPBF東洋太平洋スーパーフライ級チャンピオン藤本りえ選手(協栄)が現役引退を発表しました。
藤本選手はJBCさんが女子ボクシングを公認する5年前の2003年にプロデビュー。
2006年には当時の日本女子ボクシング協会によって認定されていた日本フライ級王座を獲得。続いて翌2007年に同バンタム級王座獲得。JBC公認後はOPBF東洋太平洋スーパーフライ級王座に就き、世界戦も二度経験。通算戦績は16戦9勝5敗2分4KO。
藤本選手のプロ根性あふれる気迫のボクシングは、日本女子ボクシング界にとって絶対不可欠の存在でした。
JBC女子ボクシング立ち上げ興行である第1回G-Legendでは、どの選手もそれなりに頑張ってはいたものの現在の価値基準から見ればまだまだの試合ばかりが並び、「迫力ある打撃戦」と呼べたのは藤本りえ vs 四ヶ所麻美の一試合だけ。あの日あの試合がなかったなら、とは考えるのもおそろしいことです。
藤本選手はこの「女子ボクシング公認」第1回大会で身を挺して女子ボクシングの本気と底力を見せ、高い評価を得ましたが、その代償は大きく、眼窩底骨折で半年の間リングから遠ざかります。
2008年は年内ギリギリの大晦日に復帰、翌2009年は世界暫定王座戦でタイの強打者に真っ向勝負をいどんで玉砕。しかし、このときはわずか3ヶ月で再起戦に勝利。そして秋にはニュージーランドのキックボクシング世界王者ミッシェル・プレストン選手と東洋の王座をめぐって対戦。
この試合は10ラウンドを通じて藤本選手が主導権を確保する完勝で東洋太平洋スーパーフライ級王座を獲得。
そして、同王座の2010年2月の初防衛戦には、最強挑戦者と呼ばれた山口直子選手(白井具志堅)を迎えます。
この試合は4回に藤本選手が先制のダウンを奪いますが、後半に盛り返される壮絶な展開となって王座陥落。しかし、後楽園ホールのマニアックなボクシングファンを完全に酔わせたこの激戦は大きな評判を呼び、勝った山口選手は月間敢闘賞を受賞、前王者藤本選手への評価も急上昇。女子ボクシングへの偏見が本格的に解けはじめていきます。
2010年12月には藤本選手とWBA世界王者天海ツナミ選手との対戦が実現。念願の世界穫りに挑みます。
この試合も名勝負でした。強烈な気迫で立ち向かう藤本りえ選手を迎えてついに世界王者天海ツナミ選手が持っているすべてを見せた歴史に残る激戦。スポーツ紙も「これが女子なのか」とあまりの衝撃に脱帽。
「藤本選手が打ち合いに来てくれたからこういうボクシングができた」と挑戦者を讃えるチャンピオン。激烈ながらも爽やかな好勝負でした。
天海ツナミ戦を最後にグローブを置くことになった藤本選手ですが、彼女の試合ひとつひとつが物語を編み、歴史を作り、明日へとつながる道を広げてきたことは、すべての女子ボクシングファンが知っています。
「よーし、りえ坊、やっちゃうよー」という試合直前のわくわくするブログ記事がもう読めないのは残念ですが、藤本選手が見せてくれたファイティングスピリット、プロとはどうあるべきかという姿勢、そして鮮やかな引き際から、わたしたちは多くのものを教えられましたし、これからも何度も思い出し、そこから何かを学ぶでしょう。
たくさんの試合をありがとう。おつかれさまでした。
藤本りえ選手 ボクシング戦績(+エキシビション)
2003年9月21日 TKO勝ち 八尾基代 2回TKO
2003年11月30日 ドロー 古賀友子
2004年5月23日 判定勝ち 古賀友子 3-0
2004年7月18日 TKO負け 山口直子
2005年6月12日 判定勝ち 久保真由美 3-0
2005年10月1日 ドロー マーベラス森本
2006年6月10日 判定勝ち 猪﨑かずみ 2-0 日本王座
2006年12月15日 TKO負け 猪﨑かずみ
2007年4月15日 TKO勝ち 天空ツバサ 7回TKO 日本王座
2007年7月1日 エキシビション ニーナ・アブロソワ(ロシア)
2008年5月9日 判定勝ち 四ヶ所麻美 2-0
2008年12月31日 TKO勝ち イ・へリン(韓国) 3回TKO
2009年3月2日 KO負け ウサナコーン・ゴーキャットジム(タイ)世界戦
2009年6月14日 TKO勝ち キム・ソノ(韓国) 5回TKO
2009年9月21日 判定勝ち ミシェル・プレストン(ニュージーランド) 3-0 東洋王座
2010年2月20日 TKO負け 山口直子
2010年12月6日 TKO負け 天海ツナミ 世界戦
藤本りえ(協栄)オーソドックス 163cm56kg
獲得タイトル
JWBC日本フライ級王座 2006年
JWBC日本バンタム級王座 2007年
OPBF東洋太平洋スーパーフライ級 2009年
戦績
16戦9勝5敗2分4KO
★お知らせ★
2011年2月5日16時30分より協栄ジム新年会の中で藤本選手の引退式が行われます。一般のファンの参加は自由ですが要予約とのこと(協栄ジム 03-3205-3838)。
また、3月14日後楽園ホールのガッツファイティングで、藤本選手の挨拶とリング上での引退式が予定されています。
*3月14日後楽園ホールのガッツファイティングは地震の影響で4月9日に延期されました。
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カテゴリー 藤本りえ
コメント
必ず何時かは潮時を迎えます。藤本選手は年齢的にもまだまだやれます。でも、不完全燃焼な試合してブーイングの嵐を浴びる思いをするよりは、いい時期決断したかも知れないです。年齢ではありません。西岡選手や富樫選手の様に30代半ばでありながら、加齢とともに実力が付く選手もいますし、藤本選手の様に20代で引退する選手もいます。世は本人次第です。藤本選手はまだこれからの人生です。ボクシングで培った事活かせる様健闘祈ります。お疲れ様でした。
OPBFのベルトを取った試合や山口さんとの試合がきのうのことのように思い出されます。忘れません。
藤本りえさん、おつかれさまでした。
1年ぐらいまえに知ったばかりでいい選手だなあと思っていたので残念です (>_<)
りえ坊こと藤本さんに「お疲れさまでした」。
もちろん年齢的にも実力的にもまだ現役は続けることはできるでしょうが、H・Fさんの仰るとおり、これは本人が決めることですから。
ドラフト会議で指名されても、プロ入りしないどころか、スッパリと野球をやめた例もありますし。
とは言っても、菊地さんに続いてですから、寂しい気持ちもあるのでした。
八島有美さんから女子ボクシングのファンになったものですから、思い入れが強いのは公認前からの選手たちの方なのです。