ネットで調べものをしていると、どきどき「女子の格闘技を人気種目にするにはどうしたらいいか」みたいな記事や意見を目にすることがあります。
たいていの場合の結論は「可愛い選手がいれば人気が出る」とか「美人がいれば人気種目になる」とかそんな感じなんですが、どうしてそう思っちゃうのか理解出来ません。
だって、芸能界では毎日のように可愛い子や美人がデビューしているんですよ。でも、そのほとんどが売れなくて消えて行くのです。可愛いとか美人で売れるほど世の中は甘くないみたいです。
かつてプロレスにキューティー鈴木というアイドル選手がいました。この人には本職のアイドルにも負けないくらいの絶大な人気がありました。毎日のようにテレビに出演し、一般の雑誌に記事が載り、歌手としてCDアルバムが発売され、写真集や主演ビデオが何本も発売され、ゲームの主人公にも起用されるという売れっ子ぶり。
彼女は本当にアイドルとしての要素を持っていましたし、AKB48の売り出しでおなじみの秋元康さんがキューティーブームの仕掛人についていました。
キューティーさんはアイドルではなくてプロレスがやりたかったのですが「きみが有名になれば団体も有名になるから」と説得されて芸能活動をがんばりました。そして日本中で彼女の名前を知らない人はいないくらいの存在になっていました。
しかし、彼女の所属団体ジャパン女子プロレスが人気団体になることはなかったのです。キューティーさんの人気で少しは存続出来ましたが、結局はマイナー団体という評価のままで、経営も安定せず寂しく解散。
アイドルとしてのキューティーさんに興味を持った人たちの多くは彼女の出るテレビを見たり、雑誌や写真集は買いましたが、プロレスのチケットまで買ったのはごく限られた人たちだったのです。
キューティーさんが本当の意味で会場にお客を呼ぶようになったのは、彼女が次の団体JWPに所属し、芸能活動を縮小してプロレスに専念するようになってからでした。
この例からわかるように、たとえどんなに可愛い選手がいても、売れっ子アイドルがいても、それがその種目の人気につながることはないのです。メディアで話題になっても話題と客入りは別のものなのです。
日本の女子格闘技にも何人かアイドルっぽい人気を獲得する選手が出てきました。ブログにもコメントがたくさんついていい感じです。しかし、「応援します」と書いている人のうちで実際にチケットを買う人はとても少ないと思います。
つまらない結論で申し訳ないけど、女子ボクシングや女子キックが人気種目になるためには「これだ!」という手段はありません。美人もアイドルも救いにはなりません。
一番大事なのは「いい試合」をする「いい選手」です。何千円というお金をほかのことに使わないで、試合のチケットのために使ってもらうには「いい試合」を見せるしかないのです。
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