ShootBoxing
2011年6月5日(日)東京 後楽園ホール
SHOOT BOXING 2011 -act.3-
SB日本レディース王座決定戦 51.0㎏契約
3分5ラウンド 延長ラウンド無制限
RENA[レーナ](及川道場)赤
VS
高橋藍(シーザー)青
13年の長きにわたって凍結されてきたSB女子王座。復活第1号の女王の座を射止めるのはRENA選手か?それとも高橋藍選手か?
歴代女王も両選手の激励のためにかけつけました。高橋選手に話しかけているのが第5代王者の中村ルミ(なかむらるみ)さん。その隣のメガネのひとが第2代王者の石本文子(いしもとふみこ)さん。さらにその隣が初代および第4代王者の藤山照美(ふじやまてるみ)さんです。
第1ラウンド 開始すぐから右へ左へと素早く動くRENA選手。
15秒にはワンツーからの左前蹴りで高橋選手のアゴをはねあげ、まずは快調な滑り出し。
高橋選手は大技を狙わないでジリジリとプレッシャーをかけていきます。
接近してきた高橋選手に組み付いてヒザ蹴りを打つRENA選手ですが、高橋選手は背筋を伸ばして身長差の有利性をキープ。この体勢ではRENA選手のヒザ蹴りはボディーへは届かず、狙えるのは大腿部のみ。
1分45秒、RENA選手は左前蹴りを放ちながら組み付いていきますが、これを高橋選手は浴びせ倒し。腰の強さを見せます。
2分20秒、高橋選手の左サイドに回り込みながら締め技に持ち込むRENA選手。しかし、高橋選手は難なく振りほどいてヒザ蹴り。組みや締めへの対策は万全のようです。
ラスト30秒、RENA選手はロープ際でラッシュ。そこから組み合いになってラウンド終了のゴング。いつものように右手を挙げながら自陣コーナーに帰るRENA選手。
第2ラウンド 前のラウンドと同じように左を蹴り、パンチを打ちながら組み付くRENA選手。
一旦ブレイクになってリスタート。直後に出したバックハンドブローは空振り。しかし…
これはきれいに決まったように見えますが、レフリーの判定はノーポイント。
このあと両者は組んで、崩し合って、倒し、倒されるという展開。これは体力を消耗しそうです。1分50秒には高橋選手が投げますが、これはやや流れてノーポイント。
ここまでの高橋選手はRENA選手の動きを見てからのリアクションファイト。試合前にあれだけ舌戦であおっておけばRENA選手は必ず出て来るわけで、これはある意味、作戦どおりでしょうか。
RENA選手のほうは左前蹴りからの組み付き以外のパターンが見られず、いつもの変化と創造性にあふれたファイトとはだいぶ様相が違います。しかし、このラウンドまでは常にRENA選手が試合を引っぱり、優位を保っていることは確かでしょう。
第3ラウンド このラウンドもRENA選手が蹴りながら組み付くというパターンですが、徐々に高橋選手の打撃のプレッシャーがキツくなってきます。
開始1分、組んでのヒザ蹴りを放ってきた高橋選手をRENA選手が投げ。軸足が崩れるのが早かったせいかシュートポイントは入らず。
1分45秒、左右のストレートで攻め込むRENA選手に高橋選手が応じて激しい打撃戦。
前回の対藤野恵美戦で猛威をふるった高橋選手の同側左パンチがここでRENA選手に命中。見た目は地味ながらも威力は抜群で、RENA選手としては絶対に受けたくないと警戒していたはずの一撃でした。
この必殺パンチを3発、4発と連続でもらったRENA選手は、さらに右ストレートもまともに受けてダメージ大。必死に組み付いてブレイクに持ち込みます。
打たれながらもRENA選手が必死に投げたところでラウンド終了のゴング。
ラウンド終了と同時に双方のトレーナーがリングに入って、選手を少しでも休ませようと自陣コーナーまで急いで連れ戻します。
第4ラウンド 開始早々から高橋選手が強力な左。ノーモーションのこの技に対応出来る俊敏さはすでにRENA選手にはなく、次々と被弾を繰り返すばかり。
騒然とする場内でかき消されてコーチングが聞こえないのでしょうか、RENA選手がセコンドのほうを見る回数が増えます。
左同側パンチ、ヒザ、投げの三段攻撃で追い込む高橋選手。鼻から血をしたたらせたRENA選手は敗色濃厚。まはやこれまでか。
前蹴りを飛ばしてワンツーを打ちながら前進するRENA選手。まったくこの試合をあきらめてはいません。
そのRENA選手の必死の反撃を左ではじき飛ばし、ヒザ蹴りを決めて、組み付き、長身を浴びせて押し倒す高橋選手。確実に相手の体力を削って一歩ずつ勝利へと近付きます。華のある戦い方ではありませんが、なにしろこれはタイトル戦、とにかく勝利こそが必要なもの。
一部では「もつれて倒れたあとダウンを取られてもおかしくないほど起き上がるのが遅かった」などと言われているRENA選手ですが、実際にはそんな場面は一度もありません。RENA選手はふらつきながらもキッチリと起き上がり、最後まで前へ前へと出続けます。
復活したシュートボクシング女子王座は高橋藍選手が獲得しました。
SB日本レディース王座決定戦 51.0㎏契約
3分5ラウンド 延長ラウンド無制限
×RENA[レーナ](及川道場)
判定 0-3
○高橋藍(シーザー)
高橋藍選手が判定勝利で第6代シュートボクシング女子王者となりました。
(46-50、47-50、47-50)
試合を振り返って高橋選手の勝因を挙げるなら、これはもう左パンチの強烈な破壊力と、体格を上手に生かしたコンタクトワーク、そして、5ラウンドをきっちりペース配分したクールな頭脳プレイでしょう。
左のパンチは以前にもご紹介したとおり、SB男子のエース宍戸大樹選手が使うリードブローと同じワザで、熱血タイ人トレーナーのダムさんが高橋選手に伝授したものと思われます。これは単なるジャブではなくて、少し浮かせた左足をパンチのインパクトの瞬間に踏み込んでパワーを強化した「倒せる武器」。このパンチにはRENA陣営も充分に注意を払っていたものと思われますが…。
実はこの日のRENA選手の戦い方にはいくつかの大きな欠陥がありました。以前は流れの中から出していた投げ技を今回はあまりにも露骨に狙っていたこと、そして、右のキックをまったく使っていなかったこと。また、長身選手対策に必須な跳躍技やローキックもありませんでした。
左右に偏らないバランスのとれた動き、ローから、二段蹴り、ジャンピングパンチなどの飛び道具までを持ち合わせた、変幻自在なファイトスタイルがRENA選手の最大の強み。それがこの試合では出なかったのは、長いブランクのための勝負勘の狂いか、あるいは思い過ごしかもしれませんがなにかの故障でしょうか。
まったく勝手な憶測ですが、もしかしたら、サッカー選手の職業病と言われるグロインペイン症候群かなと気になっています。これは一口に言えば酷使されすぎた関節部の重度の炎症。片足だけが痛い、前に蹴ることだけが出来ない、など、さまざまな症状が出て動きが制限されてしまうものです。スポーツ選手にとっては油断ならない問題ですが、腕のいいスポーツカイロプラクティックの先生に見てもらえば改善は充分に可能でしょう。もしもそのような症状が出ているのなら、しっかり休養を取ってから、いい先生をさがしてじっくりと療養し、また元気な姿を見せてください。
この症状はJリーグブームが起こるまでは日本ではあまり知られていなかったため、普通の病院では治療方法のノウハウが今でも足りないと言われています。くれぐれも焦って近場の病院で済ましたり、すぐに手術を考えたりせず、この症例を知っているスポーツカイロの先生をさがすべきだと思います。
関連記事 復活 SBレディース王座決定戦 RENA vs 高橋藍 シュートボクシング女子
関連記事 女子シュートボクシングの歴史
関連記事 決勝 RENA vs 高橋藍 写真で見るGirls S-cup2010 女子シュートボクシング
関連記事 注目の一戦 高橋藍 vs 藤野恵実 詳細 シュートボクシング女子
コメント
RENA負けた後の態度が悪すぎだね。
あれじゃ叩かれて当たり前。完全に高橋の引き立て役だ。
リベンジの機会はあるのかなあ?
RENA選手叩かれてるんですか?
RENA選手にももちろん高橋選手にも何も悪いところはないと思いますよ。
叩いている人がいるとしたらわけの分からない話ですね。
言われてみればたしかにレナの右が出ないのが敗因か。右は得意のはずだが。最近は試合が無かったけどテレビで品川をダウンさせたのも右ハイ。高橋の左は普通に考えて最初からローを入れていけばつぶせたと思う。どうしたのかな。
いい記事をありがとうございます。試合の流れがよく分かりました。