Shoot Boxing
2012年2月5日(日)東京 後楽園ホール
SHOOT BOXING2012~Road to S-cup~ act.1
54㎏契約 エキスパートクラス特別ルール
3分3ラウンド 無制限延長ラウンド
高橋藍 たかはしあい(シュートボクシング日本女子王者/シーザー)
VS
魅津希 みづき(空手道白心会)
負傷が癒えてついにSBのリングに戻ってきた高橋選手。王者の証のベルトをまとって堂々の入場。
対するはシュートボクシングのスターティングクラスルール(2分3ラウンド)で2戦の経験がある魅津希選手。エキスパートクラスルールでは初めての試合になります。
第1ラウンド 高橋選手は得意の前蹴り、そしてヒザ蹴りを積極的に放っていきます。
しかし、魅津希選手は高橋選手の前蹴りの距離と角度を微妙にかわしてダメージを負いません。
第2ラウンド お互い手数が増え、ヒートアップしていくリング上。魅津希選手の積極的なパンチ攻撃がしだいにリズムを生んでいきます。
高橋選手は接近して打ってくる魅津希選手の首をかかえてヒザ攻撃を繰り出しますが、魅津希選手は両方のグローブを高橋選手の腸骨の部分に当てて腰の旋回の自由を奪うというディフェスで対抗。
これによって高橋選手は、フォロースルーのあるヒザ蹴りを出せない、打点の高いヒザ蹴りを出せない、投げの体勢に移行出来ない、という制限を受けてしまい、活発に攻撃を出してはいるものの思い通りの試合ではない感じ。
第3ラウンド 組み付きからの接近戦を封じられてしまった高橋選手は、中間距離からパンチを打ち込んでいくスタイルにスウィッチ。しかし、魅津希選手は素晴らしい反射神経でこれを次々に回避。その際、魅津希選手は上下左右の方向にダッキングやウィービングで攻撃をかわし、決して後ろに下がることはありません。
距離が詰まると魅津希選手のショートパンチが冴えを見せ、高橋選手と互角かそれ以上の戦いになります。
パンチでの攻撃に行き詰まった感のある高橋選手はもう一度ヒザ攻撃にトライ。組まずにヒザを出していくテンカオや、いままでよりも深く組んでのアタック、あるいは両手で相手を突き放して距離を作りながらのヒザ蹴りなどのバリエーションで必死の攻勢をかけます。魅津希選手はパンチの手数でこれに対抗。
本戦3ラウンドの判定は0-1でドロー。試合は延長戦へと突入となりました。
延長ラウンド 少々強引にでも攻め込んでポイントを稼がないと負けが決まってしまう延長ラウンドでは、とにかく攻撃を当てることが大事ですが、体と頭を常に動かし、立ち位置を左右に変える魅津希選手の機動力に高橋選手は振り回されているような感じ。
パンチとヒザで休みなく攻めていく王者高橋選手。しかし、焦りからしだいにパンチやキックのモーションが大きくなってきたところを魅津希選手にクリーンヒットを奪われて延長後半の印象はよくありません。
「リーチのある選手にはフトコロに入れ」というセオリーに従って見事に王者を攻略して見せてくれた魅津希選手。強い攻撃力を持つ相手に自分から飛び込んでいく勇気と、すぐれたディフェンス能力があればこそ可能となった素晴らしい勝利だと思います。投げや蹴りをあまり使わずに攻撃時のスキの少ないパンチを主軸に戦ったことも金星を引き寄せた要因でしょうか。大技がなく一見地味ながらも激しい闘争心を感じさせるパフォーマンスでした。
一方の高橋選手は、ロングレンジでの前蹴り、中間でのパンチ、ショートでのヒザ、という主武器が封じられたとき、それにかわる引き出しが開けられなかったことが敗因だったのではないでしょうか。いつもは落ち着いてカウンターを狙うことから攻撃の起点を作る選手なのに、最初から前に出よう出ようとしていたこともいつもとは違う感じでした。
大アップセットを果たした魅津希選手のこれからの活躍、シュートボクシング女王高橋選手の復活ロード、どちらも目を離せない大きなドラマとなっていきそうです。
54㎏契約 エキスパートクラス特別ルール
3分3ラウンド 無制限延長ラウンド
×高橋藍 たかはしあい(シュートボクシング日本女子王者/シーザー)
延長判定 0-3
○魅津希 みづき(空手道白心会)
本戦3ラウンドは0-1でドロー、延長1ラウンドを行った結果、ユナニマスデシジョンで魅津希選手の勝利。
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