選手「どんなことがあっても試合を止めないでくれ。」
セコンド「・・・ああ、わかった」
こんな場面ありますよね、マンガや映画なんかで。でも、試合を止めることはセコンドの大事な仕事なんで、止めるべきときはしっかり止めてほしいものです。
そういう話をすると「大丈夫、ちゃんとレフリーが見ているよ」なんて言うセコンドの人もいるんですが、レフリーをそんなに信用しちゃいけません。それに、選手のことを一番良く知っているのはセコンドさんなんですから。
ここで動画をふたつご覧ください。 まずは、ことし5月にフランスでおこなわれたアニッサ・メクセン選手とヨランド・アロンゾ選手のムエタイマッチ。ヨーロッパタイトルがかかっている大事な一戦です。
次に、クンルンファイト32でおこなわれたブアカーオ選手とグゥー・フゥェイ選手のムエタイマッチ。地元中国のグゥー・フゥェイ選手にとっては負けられない試合です。
いかがでしたでしょうか?アロンゾ選手はタオルが投入された瞬間に「ノーーーーッ!」と叫んで、怒り爆発。しかし、これは当然のタオルだったでしょう。
彼女は相当に打たれてましたし、頬も引き裂かれ、心の平静も失っていました。ブレイクされても気付かないし、しかもローブローまで入れる始末。ちゃんと戦える状態じゃなかったですね。
クンルンファイトのほうは、早々にブアカーオ選手のハイキックが爆発し、ばったり倒れたグゥー・フゥェイ選手は目を閉じて瞬間気絶状態。ふつうならここで試合終了のゴングです。しかし、グゥー・フゥェイ選手が気が付いたので、レフリーは続行を指示。
でも、技量の差は明らかで、グゥー・フゥェイ選手に勝てる見込みはありません。しかし、中国のセコンドがタオルを投げるはずも無く、ここからボコボコにされて無駄なダメージを負ってのKO負けという危険なコースが見えていましたが、相手が大ベテランのブアカーオ選手だったことが彼を救いました。手を抜いてくれたのです。
途中からパンチは封印、ハイキックはいつもの半分のスピード、最後はボディーに攻撃を集中させ、頭部には不要なダメージを与えずにヒザ蹴りでKO。ブアカーオ選手グッド・ジョブです。
グゥー・フゥェイ選手はブアカーオ選手に寿司折でも持ってお礼に行くべきでしょう。
ヨランド・アロンゾ選手は次は彼女と体格がさほど変わらないシルビア・ラ・ノッテ選手との対戦が決定したようです。ダメージが少なかったからこそ次も思いっきり戦えるわけで、止める決断が出来た優秀なセコンドチームと今後も仲良くやってほしいと思います。
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