Boxing
11月10日に多田悦子選手(真正)とWBOアジアパシフィックミニフライ級王座を争ってやぶれた柴田直子選手(ワールドスポーツ)が現役引退を発表しました。ご本人のブログでの発表でしたが、その後、所属ジムや関係者さんからの否定のコメントが無いようですので、正式な引退決定と受け取って間違い無いようです。
柴田直子選手は2005年にアマチュアボクシングの全国女子大会で秋田屋まさえ選手(現OPBF女子東洋太平洋ライトフライ級王者)、新本亜也選手(現アマチュアボクシング日本代表)らをやぶって優勝。
2008年にプロデビュー。この時、柴田選手は4回戦からスタート。多くのアマ出身の女子選手が、過去の実績を理由に4回戦を免除されて6回戦からスタートしていたにもかかわらず、全日本王者の柴田選手はそういう道は選びませんでした。
しかも、最近は3勝するだけで6回戦に昇格する選手も多い4回戦を(本来は4勝で昇格)柴田選手は5戦も経験してから6回戦に移行。
はじめての6回戦は小田美佳選手(のちのOPBF女子東洋太平洋ミニフライ級王者/宮田ジム)との素晴らしい熱戦になり、当ブログは女子ボクシングのレベルを証明する好試合として詳細記事を書きました。
ろくにプロ経験を積んでいないアマ出身ボクサーが頭突きの反則や、穴王者を狙った世界戦、新設される階級の二流選手相手の王座決定戦などで世界のベルトを巻く流れはすでにこの頃からありましたが、粗製濫造の王者の誕生によってボクシングファンの女子への目は厳しく、低評価が固定しつつある中にあって、柴田選手のゴマカシの無いボクシング、テクニック勝負のボクシングは実に貴重な存在だったのです。
2013年3月にはメキシコの強豪イベス・サモラ選手とWBC女子世界ライトフライ級王座決定戦を戦って惜しくも1-2のスプリットでベルトを逃します。
しかし、この試合はやぶれたとはいえ柴田選手の実力を余すところなく発揮した好試合で、彼女のベストバウトだと思います。サモラ選手のパワーとスタミナには負けましたが、技術戦とボクシングセンスでは柴田選手が明らかに上で、素晴らしい試合でした。
2013年11月、今度はIBF女子世界ライトフライ級決定戦に挑んだ柴田選手は判定でアロンドラ・ガルシア選手(メキシコ)に勝利してついに世界王者に。
決定戦の相手のガルシア選手はお世辞にも一流とは言えない経験の浅い選手でしたが、2014年8月、IBFが指名戦の相手として送り込んできたのは歴戦のベテラン、アナ・アラソラ選手(メキシコ)。他団体WBFedの現役ライトフライ級王者です。
この難敵を柴田選手は堂々のTKOでやぶってワールドクラスの実力を証明。これもまたいい試合でしたね。賞賛に値するワールドクラスの防衛劇 柴田直子 VS アナ・アラゾラ(アラソラ)
その後は世界のトップ選手との対戦プランが浮かんでは消え、カードには恵まれませんでしたが5回の防衛を達成。
安定王者路線が続くかと思われましたが2017年3月、初の海外防衛戦(メキシコ)で2013年に一度戦ったアロンドラ・ガルシア選手との防衛戦に判定負け、王座を失いました。
しかし、ガルシア選手は前回対戦からの成長が少なく、試合内容では王者柴田選手が勝っており、地元メキシコ(1名)と隣国アメリカ(2名)のジャッジによるこれは明らかな不当判定。柴田直子 VS アロンドラ・ガルシア II IBFライトフライ級タイトルマッチ 結果&ノーカット動画
その後、柴田選手はプロで一度やぶれている宿敵の多田悦子選手(真正)とのリマッチを世界王座復活への足がかりとしたい考えでしたが、2017年11月に判定で敗れ、いさぎよく引退を決意しました。
クイーン・オブ・ザ・リングは、もしも柴田直子選手がいなかったら、腐った日本の女子ボクシングに見切りをつけ、今頃は海外ボクシングと、キック、ムエタイ、シュートボクシングだけのブログになっていたかもしれません。そのぐらい、柴田選手はわたしたちにとって大きな存在でした。
いままで良い試合をありがとう。お疲れさまでした!
柴田直子 しばたなおこ(ワールドスポーツ)
獲得タイトル
IBF女子世界ライトフライ級(防衛5回)
OPBF女子東洋太平洋ライトフライ級(防衛3回)
プロ戦績
23戦17勝5敗1分6KO
コメント
私も柴田選手は大好きな選手でした!
女子の中でも技術はズバ抜けていましたし男子顔負けの試合は毎回楽しませてもらいました。いつでもポーカーフェイスの柴田選手は忘れられないです。引退は淋しすぎます。
まだまだ柴田選手の試合が見たかったです。