東洋王者が日本王者に挑戦？　ムチャクチャが通る日本女子プロボクシング界　そして、ワケの分からない話をそのまま伝えるボクシングメディア

　ボクシングの世界にはいろんなチャンピオンがいますが、その「格」はそれぞれ違います。簡単に言えば、世界王者が世界一強い人で、東洋王者は東洋一、日本王者は日本一です。記号で表せば、世界＞東洋＞日本ですね。

　ですから、東洋王者が日本王者に挑戦するなんてことはあってはいけません。序列から言って東洋王者が勝つわけですから（理論上は）。

　日本王者（or経験者）が、東洋王者に挑戦するのが普通で、逆走は異常です。

　さて、東洋太平洋アトム級王者の松田恵理選手が、日本女子王者の鈴木菜々江選手とそれぞれのベルトをかけて戦うことが発表されました。松田選手と所属ジムのチームテンカウントさんは、昨年１２月から何度も「来春には日本王者とタイトル戦」と新聞記者などに語って記事にしてもらっていましたから、これは松田選手の希望だったことが分かります。

　要するに、東洋王者が日本王者に挑戦を望んで、それが実現するということです。なんでいまさら下のクラスに挑戦したいのでしょうか？　東洋女子は８回戦のＡ級のベルト、日本女子王座は６回戦のＢ級のベルトです。格がまったく違います。

　「日本王座を欲しがる東洋王者」ってなんですか？　下のベルトですよ？　ベルトならなんでも欲しいのでしょうか？

　世界で勝つ自信が無いから一歩下がって日本で勝ちたいのでしょうか？あきれて言葉がありません。

　ほかの階級と違ってアトム級は選手が豊富ですから、鈴木菜々江王者への挑戦のチャンスを待っている人はたくさんいます。だから、すでに東洋を持っている松田選手はこの試合に出るべきではないんです。

　普通は東洋から日本に降りて勝ってもなんの評価にもならないはずなんですけど、今のボクシングメデイアさんは芯から腐ってますから、何とでも言って持ち上げるんだろうなあと思っていたら、やっぱりそうです。「世界へのステップアップを懸けたアジア頂上対決」だそうです。あたま大丈夫ですか、ボクシングモバイルさん？東洋王者が日本タイトルに挑んで世界へのステップアップ？ダウンでしょう？

　東洋王者が日本王者をつぶすマッチメークをメデイアがそんなこと言って持ち上げたらそんな試合ばっかりになりますよ。そしたら日本王者いなくなるじゃないですか？序列ムチャクチャですよ。

　それから、ボクシングモバイルさんもテンカウントジムさんも、この試合を「王座統一戦」と呼んでいますが、東洋と日本で「王座統一戦」はありません。世界と世界、東洋と東洋の同じようなベルトなら統一戦はありますが、カテゴリーが違う王座で統一なんて言葉は使いません。

　ここに貼ったポスターは１３年まえの内藤大助選手（当時日本王者）と、ありし日の小松則幸選手（当時東洋太平洋王者）の試合です。小松選手が熱望して内藤選手が受けた試合ですが、ごらんのように「史上初！！」と書いてあります。日本王者と東洋王者の二つのベルトを賭けた試合というのはそれほど異例なんです。

　でも、今回の松田恵理 VS 鈴木菜々江戦に比べれば、このマッチメイクは理解できました。当時すでに内藤、小松両選手とも世界戦経験者で、その意味では互角だったのです。

　そして、「２冠対決」と書いてあります。統一戦ではありません。こういう試合は２冠対決、２冠戦と呼ぶのです。当時、これを統一戦と言った人はおバカちゃん扱いされていました。

　しかし、最近はおバカちゃんが増えたらしく（困）、昨年１０月にワタナベジムの三代選手（東洋太平洋王者）が末吉選手（日本王者）と戦ったとき、渡辺会長をはじめ関係者全員がそれを「王座統一戦」と言っていました・・・。

　話を戻して今回の女子「統一戦（困）」ですが、ムチャクチャなマッチメークでもジャッジが公正におこなわれるならまだ救いはあります。しかし、松田恵理VS鈴木菜々江戦はいままでの経緯（松田恵理VS葉月さな戦のエコヒイキ判定とエコヒイキインタビュー、そして鈴木菜々江選手の初防衛戦のあとの乱入をリングアナがサポート）を見る限りは、不当判定になる可能性は非常に高いでしょう。

　いままでもＪＢＣさんの不当判定は山ほどありましたからね。　頭突き王者の暗黒の１０年が終わっても、また新しい暗黒が始まったようです・・。

関連記事　エコヒイキ体質を堂々と丸出し！　ＪＢＣ日本ボクシングコミッションは不公正な演出を選手とファンにあやまれ　特定の選手にだけ肩入れするゲス行為はボクシングを破壊する愚挙

関連記事　Ａ級ライセンス無し 女子３人 東洋タイトル戦 予定　江畑佳代子(A) VS 多田悦子(A) 世界戦、藤原芽子(A) VS 三好喜美佳(A) 東洋戦、タイ人 VS 佐伯霞(B) 東洋戦、松田恵里(B) VS 慶美奈代(B) 東洋戦