Boxing
日本の女子ボクシングの不人気の原因はいろいろありますが、最大の原因は試合がつまらないことでしょう。
というのも、日本の選手はみんな競って減量し、痩せることが命みたいになって、パンチ力の増強は2の次、3の次。手足が細く、体も薄く、パワーはふつうの人並み。そのため、ダウンを取れる選手はごくごくわずか、KO取れる選手はさらに少ないというのが現状で、面白い試合なんて出来るわけがないのです。
ダウンが取れないと、一度傾いた試合の流れを変えることが出来ず、そのため序盤の2ラウンドぐらいを見れば、どっちが勝つか簡単に分かってしまい、最後まで試合を見る意味がなくなるのです。これじゃあ人気なんか出るわけがないですね。スリルもドラマもないのだから。
いままで何人もの日本人女子世界王者が出ていますが、ダウンを取れない選手多数で、ハッキリ言って世界のレベルに遠く及ばず、もしも、韓国やタイなどの噛ませ選手がいなければ彼女たちの記録はもっと平凡なものだったでしょう。
現在、まともな外人選手相手にKOを取れる実力者は、池山直選手、藤岡奈穂子選手、次点で黒木優子選手、高野人母美選手ぐらいで、ほかの王者のみなさんは、パワー不足が課題だと思います。
しかし、過去には素晴らしいKOパンチャーもいました。その代表が東郷理代選手、そして山口直子選手ですね。上掲の動画が東郷理代選手が世界にその名を知らしめた大金星KO。メキシコの大会場で、当地の大スターで、WBC本部のお気に入り女子であるマリアナ・フアレス選手をひっくり返しちゃったパンチは実に豪快でした。素晴らしいですね。
これを当時の国内メディアは全然伝えませんでした。本当はこういう試合こそが「人気の起爆剤」なんですけどね。どうしてそれが分からないのか?残念な話です。
2008年5月10日 スージー・ケンティキアン VS マリー・オルテガ
お次はドイツのスージー・ケンティキアン選手20才の時の出世試合、対マリー・オルテガ戦です。当時のケンティキアン選手はすでに人気世界王者にはなっていましたが、さらにビッグな存在になるには経験豊富なベテラン選手に打ち勝って実力を証明する必要がありました。そこで選ばれたのは29勝4敗で難攻不落のオルテガ選手。このビッグスターへの査定試合は完璧な勝利となりました。
ケンティキアン選手はドイツの選手ですが、そのコーチ陣はロシア出身で、そのためケンティキアン選手は東側の高度で緻密なボクシングテクニックを身につけています。さらに、155㎝という平均的な日本人女子よりも小さい体を、徹底的にパワーアップし、フライ級で戦えるパンチ力で『キラークイーン』となったのです。テクニックとパワーがバランスよく発揮された、これぞボクシング。
メキシコにはWBCの本部があるためボクシングが国技と言われた時代もあり、現在でも男子はもちろん女子でもチャンピオンクラスは、ボクシングを職業としてそれだけで食べていけるほどの、あるいはセレブと言われるほどの収入も得られるプロスポーツです。そんなメキシコで若手女子のスター候補だったIBFフライ級王者のアレリー・ムシーノ選手が、ホームでの防衛戦に迎えたのがアメリカのエイヴァ・ナイト選手。
ナイト選手は実力がありながらもアメリカでは無名で、ひたすらチャンスを待つ毎日でしたが、このメキシコからの緊急オファーを衝撃のKOで世界王座という結果に結びつけ、その後は何度もメキシコでのビッグマッチをおこなっています。若手メキシコ女子ボクサーの中では最も洗練されたムシーノ選手が一瞬で気を失って人形のように倒れていく光景は実にショッキング。
2004年5月8日 ヴォンダ・ウォード VS アン・ウルフ
ヴォンダ・ウォード選手は元バスケットボール選手。かつて、大学バスケットNCAAやプロリーグで活躍し、『オールアメリカンガール(アメリカ女子の理想像)』というキャッチフレーズがついたほどのスポーツエリート。対するアン・ウルフ選手は治安の悪い街での悲惨な底辺生活から拳だけでのし上がってきた雑草ボクサー。198センチの長身から175センチのウルフ選手を見おろすウォード選手でしたが、試合は一撃決着となります。ウォード選手は担架に乗せられて医務室直行。
一躍注目を浴びるウルフ選手。しかし、この勝ち方があまりにも強烈すぎて、このあと対戦希望者がいなくなってしまうという悲劇が訪れます。歴代女子世界最強ともいわれるアン・ウルフ選手のマネージャーは、レイラ・アリ選手との対戦を実現するために数千万円のファイトマネーで打診しましたが、結局OKはもらえなかったのです。強過ぎる女子ボクサーとはまさに彼女のことですね。
いかがでしたか?女子ボクシングの壮絶KO特集。今後も折りを見てこの続きをお届けしましょう。
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コメント
私はボクシングの不人気はちょっと打ち込まれると、すぐ試合を止めてしまうのも原因の一つだと考えています。
特に女子ボクシングにその傾向が強いと思います。
ただ、ボクシングに限らず格闘技は一生に残るけがや下手をすると死亡することもあるのでその辺は難しいのでしょうが・・・・・。
あと、不謹慎な考えかもしれませんが以前に髪型の話が出ていましたが、日本の女子ボクシングは、まだ、黎明期を脱していないと考えるているので、女子選手は海外の選手のようにもっと女性らしいアピールも必要かもしれません(いやらしい意味ではなく)。やはり、プロというのは技術も含め人に見てもらってなんぼの世界だと思うので。
女子プロボクシングの試合はレフェリーストップにするタイミングが早過ぎるという意見がクイーン・オブ・ザ・リングさんの指摘ではないのかと私は推測します。試合終了後にTKOで敗れた選手の中には、まだまだ戦えたのにレフェリーどうして試合を止めるのといったケースもあったみたいだ。ちなみに、私個人的な話ですが、以前恋をした女子プロボクサーはKO負けの経験があり、女子プロボクシングのKO決着は怖い一面もあり、特にビジュアル系の選手がKOされたケースでは胸がドキドキして、目が離せなくなることも・・・。KO決着の場合は、yashimaさんの言うように命の心配も考えられるケースだってあり得る。ここの部分が1つの課題でもありますが、女子プロボクシングのKO決着はTVドラマのネタの面でも注目点は多いように思われます。観てる人が楽しめることが一番だと思いますね。
>yasimaさん コメントありがとうございます。
JBCさんが女子ボクシングを始めた頃は「女子の試合は早く止めろ」みたいな内規があったらしく、神経質になったレフリーがむちゃくちゃ早く止めた試合もありましたね…。
でも、止めないレフリーよりは止めるレフリーのほうがいいレフリーだと思うので、レフリーストップは仕方ないと思います。
その件に関しては選手の側が打たれないディフェンス能力を磨いてほしいと思います。
>プロというのは技術も含め人に見てもらってなんぼの世界だと思うので。
まったくそのとおりだと思います。人気商売ですからね。
女性らしいアピールに限らず、カッコ良ければなんでもいいんで、いろいろやってみるのがいいですよね。
>若鷹さん コメントありがとうございます。
かすったぐらいで止める「おんなこどもレフリーストップ」は勘弁してほしいですよね。
けど、打たれてのストップなら文句はありません。
止めないレフリーより止めるレフリーのほうが絶対にいいと思っています。