むかし、ブルース・リーさんは言いました。
「攻撃は続けば続くほど良い。途中でやめる理由はない。」
このことばを知った時、無茶なこと言うなあ、と思いました。だって、攻撃が続けば続くほど良いのは当然としても、実際には一発打ったり蹴ったりすればそれだけ体のバランスが崩れるわけですから、どこかで修正のために区切りが必要ですし、体力の問題もあります。だから無限の攻撃なんか不可能です。普通は。
しかし、この人の出現でリー先生のことばが実際上も正しかったことが自分にも分かりました。見て下さい、アンディー・サワー選手の相手が倒れるまで続く無限の攻撃を。
これぞ途中でやめる理由の無い理想のファイター。打っても蹴っても飛んでもまったく崩れないバランス、見事なコンビネーションです。
一方、日本にはむかしから「一撃必殺」ということばがあるためか、それにとらわれ過ぎている人が多いように思います。そのため、主な攻撃が単発攻撃だったり、連打も「単発の繰り返し」になっているのかもしれません。
しかし、冷静に考えれば、わたしたちアジア人は海外の筋肉質で大柄なひとたちには一撃の重さでは勝てないんですから、どうしたってキッチリつながる形の多段コンボが必要になってきます。リーさんのことばはそれを言っているわけですね。
そして、その正しさを欧米人としてはとても小柄なアンディー・サワー選手が実際に見せてくれたのです。サワー選手と同じことをみんなが出来るはずもありませんが、コンビネーションの大事さは忘れないようにしたいですね。
また、わたしたち日本人に染み付いているもうひとつの問題は、何らかの理由で自分から攻撃を中断したときに自然に出てしまう「一歩下がる」動きです。
柔道や空手や剣道では「始め」のときの立ち位置を「開始線」と呼び、試合中に主審から「待て」と言われればその線に戻って再開を待ちます。もしかしたらその時の「開始線に戻る」習慣が、一歩下がる動きにつながってるのかもしれません。
ボクシングやキックに開始線はありませんが、ふだんの練習でワン、ツー、スリーのあとなどに一歩戻る習慣がある人はリングではそれが出ないようにしなければなりません。
レフリーにブレイクを命じられたら指定の位置まで下がりますが、自分の都合で攻撃を中断したときは下がる必要はありませんし、相手の正面に立つ必要もないのです。
むしろ、何かの理由で攻撃を切ったあとには、下がらず距離はそのままで、自分の位置を左右にずらすのが大事。海外のすぐれた選手はそのようにしていますが、日本人選手は一歩下がって「正面に立つ」人が多すぎます。
下がらない、正面に立たない、そしてなるべく攻撃を切らなくてもいいように普段からコンビネーションを長く続けるようにしていれば日本の選手はもっともっと大活躍出来ると思います。
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コメント
いつも興味深い記事を有難うございます。
>パイドロスさん
こちらこそ御愛読に感謝しています。
読者のみなさんがいるからこそ続けられるのです。