観客席視点からの立ち技系女子格闘技
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一般の格闘技ファンのための100の大事なことがら その16 MMAは「実戦的」? 戦闘とスポーツの違いを考えてみる

 わたしたちが見て楽しんでいるプロ格闘技というものは、実際の格闘、つまり、おまわりさんが犯人を制圧する逮捕術や、軍隊の戦闘術、ケンカ術、護身術とは似ているけど違うものです。

 もちろん、反則規定の有る無しこそがもっとも大きな違いですが、それ以外には何が違うでしょうか。

 例えばMMAのチャンピオンの試合なんか見ていると本当に強そうに見えますし、もしかしたら最強なんじゃないかと思ってしまいます。だって、打撃も出来るし、関節も出来るし、立っても、寝ても、戦えるんですから。

 しかし、MMAは地面じゃなくて、マットの上でのスポーツです。だから投げられても平気。

 けれども、逮捕や、戦闘や、ケンカや、護身は、地面や路面や固い床などの上で発生します。この場合、投げられたり、倒されたりするだけで大ダメージは避けられません。

 実際、柔道経験者がケンカに巻き込まれて投げで勝った話はいくらでもあります。街の普通の環境で投げられたら骨なんか簡単に折れてしまうので。

 柔道が投げで一本勝ちを認めるのもうなずけますね。

 また、MMAと違って現実の世界には金網は無いので、相手がひとりである保証はありません。途中で助っ人が来る可能性を考えれば、寝技は最初から考えないほうが実際的です。

『ピーク・サブミッション』(アメリカ/グレー)VS 『サンダPFC』(ラトビア/ブルー)

 寝技の際は、自分が上であろうと下であろうと極端に視野が狭くなることも忘れてはいけません。

 そのため状況判断能力が非常に低下するんですね。つまり、相手の人数が増えたり、相手がポケットから武器を出したり、相手が石や棒などを拾ったりした場合に、それに気が付くのが遅れてしまいます。これは本当に危険です。

 ここに上げた動画は、昨年おこなわれたMMAの多人数チーム戦ですが、ひとりでも人数の均衡が崩れたらあとは寝ている人がタコ殴りになって勝負が決まることがハッキリわかると思います。グランド状態はとても危険ということです。

 もともとは軍隊格闘技であるムエタイで、倒されると大きくロストポイントになる意味はこういうことなんですね。

 そういうわけで、MMAを「実戦」にそのまま使おうとすると「投げられるダメージを過小評価している」そして「寝技に重点を置き過ぎている」というふたつのことがネックとなってしまいます。

 逆に言えば「実戦で使用出来る格闘術」としては、「投げられない」「寝ない(テイクダウンしてもすぐ立つ)」ことが必須条件と言えるでしょう。そして、いつでも移動出来るように立っていることも生命線なのです。

 でも、現代では、ひとまえでおこなわれるすべての格闘技はどこまで行ってもスポーツです。今回の動画のようなクレイジーな団体戦でも(笑)。

 だから、格闘技が盛んになることは平和の象徴だと思います。戦争になったら格闘技なんかやっていられませんからね。

 最後になりますが、QRは戦わなくてもいい状況に身を置くことが最高の護身だと考えます。危ないところに近付かない、危険を知らせる情報には常に敏感である、それがどんな時でも一番大事。あぶないと思ったらすぐに逃げましょう。

 感覚を研ぎすまして自分と自分の大切な人を守りましょう。

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